マンション建築で知りたい「建築基準法」!建てる条件や違反建築物・既存不適格物件を解説

マンションの建築にあたって、建築基準法をあらかじめ把握しておくことがおすすめです。自分の所有地にマンションは建築可能か、もし建てられるならどのくらいの規模までなのかなどを始めに理解しておくと、スムーズに工事を進められます。
建築基準法は時代に合わせてルールが追加されていたり、逆に緩和されていたりするので、マンション建築の経験がある方も改めて確認してください。
今回は、建築基準法の特徴を踏まえた上で、マンションを建てるための条件や違反建築物・既存不適格物件などについても詳しくご紹介します。

Contents

建築基準法とは?

建築基準法

私たちは住宅やオフィス、学校などの、様々な建築物と共に暮らしています。
建物の設計や建築の際には、都市計画法や消防法などのあらゆる法律が関わってきますが、建築基準法はその中の1つです。
まずは、建築基準法について詳しくご紹介します。

建築基準法の特徴

建築基準法には、建造物の建築時や利用時に守るべきルールがまとめられています。
具体的には、人々が安心・安全な暮らしを送ることを目的に、その土地に建てられる建造物や建築される家の床面積、建築面積の上限などの様々なルールが決められています。

場所や目的などによって基準が決まっており、時代に合わせて改正が続けられています。
対象となるのは建造物やその敷地、設備、構造などです。
所有地にマンションを建築する際にも好きなようにできるわけではなく、法律を守る必要があります。
また、建築基準法が定める「建築確認」ではその建物が法律に反していないかを審査し、適合していると認定を受けた場合にのみ確認済証が交付されます。
認定を受けられない限り、着工はできません。
さらに、建築中の中間検査を受ける必要があるほか、完了後には完了検査が行われ、問題ないと判断されると検査済証が交付されます。
工事前・最中のトラブルを防ぐためにも、きちんと確認しておきましょう。

単体規定と集団規定の2種類に分けられる

建築基準法には建築に関するあらゆるルールがありますが、大きく分けると「単体規定」と「集団規定」の2つから成り立っています。
ここからは、それぞれの意味をご紹介しましょう。

単体規定とは?

単体規定とは、私たちの身近にある建造物の基準を定める基準です。
具体的には、構造の耐久性や安全性、耐震性などの性能基準のほか、屋根や居室の採光と換気、トイレなどがあります。
また、単体規定は建造物自体を対象としているため、全国どこでも適用になります。

集団規定とは?

集団規定とは、それらが集まったエリアの環境整備を目的とする基準です。
建物を1つの単体として見ず、地域を形成するものだと捉えて建築を制限するので、集団規定と言います。
「住みやすい市街地環境を確保するための規定」とされ、周囲と深く関連する敷地や道路、建ぺい率、容積率、高さ制限などが記されています。
なお、集団規定は基本的に都市計画区域と準都市計画区域内のみを対象としています。
ただし、それ以外の地域であっても、地方公共団体が制限を設けられるので、自分が暮らしている場所に建築制限があるかを事前に確認しましょう。

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建築基準法に該当するマンションの分類

建築基準法

建築基準法において、複数の入居者が暮らす建造物は「共同住宅」に分類され、「特殊建物」として扱われます。
一般住宅とどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

共同住宅

1つの建造物に2戸以上の住宅や階段、廊下、エントランスがある場合、共同住宅となります。
一般的には、アパートやマンションなどを集合住宅と呼びますが、法律上では共同住宅として扱われます。
また、アパートとマンションの違いは建築基準法では正確には明記されていません。

特殊建築物

不特定多数の方が使う建物を、特殊建造物と呼びます。
共同住宅は不定期で様々な世帯の方が入居・引っ越しをしていくので、一戸建てのように暮らす人の断定はできません。
不特定多数の方が出入りし、かつ火災の恐れがあることから、周辺への配慮が必要だとして学校や病院、百貨店、劇場などと同じく、特殊建造物に分類されるのです。
また、多くの方々が利用するので、建築時の条件も自然に厳しくなります。
マンションを建築する際には、マンション自体に関する条件と建築予定地に関する諸条件のどちらもクリアする必要があります。

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建築基準法で定められているマンションを建てるための条件

建築基準法

建築基準法では建築に関するルールが多く定められていますが、ここからはマンション建築の条件を見ていきましょう。
普通の一戸建てよりも厳しい内容ですが、正しく理解することが大切です。

建ぺい率や容積率

建ぺい率とは、建物を建てる際に敷地の何%までを使用して良いかを定めたもので、建物を上部から見下ろした時の水平投影面積の割合です。
土地や用途によって上限が定めているので、同じ広さの敷地であっても場所によって建築可能な面積が異なります。
つまり、建ぺい率が大きいほど、広い建造物が建てられます。

【建ぺい率の計算】
建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100

例えば、敷地面積200平米の土地で建築面積が120平米の場合、「120平米÷200平米×100」で建ぺい率は60%です。

また、容積率とは、どれくらいの大きさの建造物を建てても良いかを定めたもので、全てのフロアの床面積を合算した面積の割合です。
都市計画で50~1,300%の範囲で制限されていますが、周辺の道路幅によってはさらに割合が低くなります。
一般的には、容積率が高いほど床面積も広くなり、高層階物件の建築が可能です。

【容積率の計算】
容積率=延べ床面積÷敷地面積×100

例えば、敷地面積200平米の土地で延べ床面積が400平米の場合、「400÷200×100」で容積率は200%です。

建物の高さ

建築の際には、建物の高さにも制限がかけられます。
その土地にどのくらいの高さの建造物を建てて良いかを定めたもので、隣接の土地や道路の日照と風通しの確保が目的です。
高さ制限は大きく分けると絶対高さ制限・道路斜線制限・北側斜線制限・日陰規制の4つがあり、用途地域によって制限の種類は異なります。

では、それぞれの制限について詳しく見ていきましょう。

・絶対高さ制限
第1種・第2種低層住居専用地域は絶対高さ制限の対象となり、10mもしくは12m以上の高さの建造物は建てられません。
都市計画でどちらの数値になるかは規定されていますが、10~12mだと3階建てのマンションやアパートの建築は可能だと言えます。
ただし、建築審査会と特定行政庁が許可した場合は、制限以上の高さの建造物の建築も可能です。

・道路斜線制限
前面道路や日当たりや風通しを確保するための制限で、住居系の用途地域は傾斜勾配1:1.25、
それ以外だと1:1.5が適用されます。
ただし、容積率300%以下の第1種・第2種中高層住居専用地域以外で、特定行政庁が指定のエリア内については傾斜勾配が2:5になります。
また、前面道路の反対側の境界線から一定距離離れた所は周辺道路への影響がほぼないため、高さ制限を受けません。
これを「適用距離」と良い、用途地域や基準容積率によって数値は異なります。

・北側斜線制限
北側斜線制限とは、北側に隣接した土地から5mもしくは10mの高さから、1:1.25の傾斜勾配内で建築しなければならない決まりです。
この制限の対象は、第1種・第2種低層住居専用地域、第1種・第2種中高層住居専用地域になります。

・日陰規制
日陰規制は商業地域や工業地域、工業地域以外の全用途地域を対象とし、中高層建造物の建築によって一定距離の範囲に日陰を発生させないことが目的です。
中高層建造物とは、低層住居専用地域だと軒高が7m以上または3階以上、他の地域の場合は高さ10mを越えるものになります。

道路

建築の際には接道義務を守る必要があり、具体的には、幅4m以上の道路に対して2m以上接道していなければなりません。
接道義務が定められている目的は、災害や緊急時に消防車や救急車などがスムーズに通り抜けるようにするためです。
ただし、実際には道路幅が4m以下でも新築住宅の建築がされている場合もあります。
そのような道路を「2項道路」と呼び、道路の中心線から2m下がったラインが道路境界線としてみなされます。
これを「セットバック」と呼び、幅が指定の数値に達していなくても一定条件を満たせば建築が可能になっています。
もし、道路の反対側に水路や崖などがあってセットバックが難しい場合には、境界線から4~6mバックすることも可能です。

各防災設備の設置

地震や火災などが発生した際に、被害を最小限に抑えてくれる防災設備を設置しましょう。
マンションの規模によって備える設備は違いますが、3階以上の場合は以下のような設備が必要です。

・避難施設
緊急時にエントランスや踊り場などを解放して、避難所として使える広さの空間です。

・消火栓、消火設備
消火栓とは、建物内で火事が発生した際にホースをつないで消火活動をするものです。
水源や加圧送水装置、起動装置、屋内消火栓箱などがあります。

・スプリンクラー
11階以上のフロアには消防車のはしごが届かないので、スプリンクラーの設置は必須です。

・排煙設備
火災時の煙を外へ排出するための排煙窓や機械排煙設備などを設置します。

・非常用照明
非常用照明とは停電時に避難経路を明るく照らして、安全に避難するための設備です。

・進入口
非常用侵入口とも呼ばれ、火事や地震などの災害時に消防隊員が入るための開口部です。

・避難経路
設計時に、2方向への避難経路を確保する必要があります。
外階段や内階段、バルコニー、共用廊下などが避難経路となります。

・避雷針
高さが20m以上の建物は、避雷針が必要です。
20m以上とは、マンションの場合6~7階建てなります。

・非常用エレベーター
高さが31mを越えると、非常用エレベーターを設置しなければなりません。
非常用エレベーターとは、火災発生時に消防隊が使用する設備のことで、普段入居者が使用するものとは異なり、大きめに作られています。

間取り・内装

マンションでは、間取りや内装に一部制限がかけられています。
居室では、壁や天井の仕上げは難燃材料を使う、3階以上に部屋がある場合は準不燃材料を使う、1.2m以上の腰壁は禁止などの制限があります。
さらに、通路や階段の壁や天井の仕上げには準不燃材料を用いるなど、使える部材が限られているため、自由に内装を選べません。
また、間取りに関しては、外に向けての窓がない部屋は耐火構造する決まりがあります。
ここで言う窓とは、太陽光や風が入るという意味はなく、火災時にそこから消防隊員が救助に向かうため、もしくは外へ非難するための窓です。
部屋数が多いマンションは人気が出ますが、だからといって窓のない部屋を作ると、結果的に制限が厳しくなりコストがかかる点は注意しましょう。

採光性・通気性・遮音性

建築基準法では、採光性・通気性・遮音性に関する決まりも定められています。
採光性を大きく左右する部屋の開口部である窓の面積は、居室の床面積に対して1/7以上必要です。
また、換気性については、窓以外にも開口部を設ける必要があり、居室の床面積の1/20以上でなければなりません。
そして、遮音性に関しては、隣接の住民が発する生活音によって入居者の暮らしに支障が出ないような遮音壁を導入する決まりがあります。
また、騒音問題と同時に、火災時に燃え広がりにくいような機能も欠かせません。

定期報告義務

建築基準法第12条で、マンションは3年に1度の定期報告義務が定められています。
どのくらいの規模から報告が義務なのかついては、政令が定める報告対象の条件や自治体ごとのルールなどによって、決められています。

自分のマンションは報告義務があるかどうかは、設計の段階で自治体に確認してください。
定期報告の内容は、大きく分けると以下の4つです。

・特定建造物(敷地や地盤、建物内部・避難・免震設備など)
・建築設備(換気・排煙設備や非常灯照明、給水・排水設備など)
・防火設備(防火シャッター、防火扉など)
・昇降機など(エレベーター、エスカレーター)

上記の項目に不備や劣化が見つかった場合、修繕対応が必要です。
定期報告が義務付けられたマンションにもかかわらず、提出しなければ管理者や大家は100万円以下の罰金が課せられます。

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マンションを建築できる地域・できない地域も決まっている

建築基準法

土地にマンションを建設するためには、その地域に規制がないか確認する必要があります。
中には、マンションを建築できない地域となっている場合があるからです。
ここでは、マンションを建築できる地域と、建築ができない地域についてご紹介します。

都市計画区域とは?

アパートやマンションのような一定の規模以上の建物は、「特殊建築物」として扱われています。
特殊建築物は、集合住宅やビルなどのように不特定多数の人が利用する建築物のことで、衛生上及び防火上において特に留意し、都市計画法に準じて建築しなければなりません。
そんな中、日本では都市計画法により都市計画区域・都市計画区域外・準都市計画区域などに分けられています。
このうち、マンションは都市計画区域で建築が行われることになります。

都市計画区域とは、都市計画に従い、整備・開発が進められる区域のことです。
都市計画区域は市街化区域と市街化調整区域、さらに非線引き区域の3つに分けられています。
市街化区域は優先的・計画的に市街化を進めていく区域を言い、市街化調整区域は市街化を現段階で抑制している区域となっています。
非線引き区域は、区域区分が定められておらず、市街化調整区域よりも制限が緩和された区域です。
このように土地が区域指定されているのは、都市の健全な発展・秩序ある整備が計画的に実行できるようにするためです。

無秩序に土地を利用したり、優れた環境が喪失されたりといったことを防ぐためでもあります。

用途地域とは?

市街化区域では、13の用途区域が定められています。
住居エリアや商業エリア、工業エリアなど、エリアによって建築できる建物の種類や規模を明確にするために、細かく指定しているのです。

13ある用途区域のうち、住居エリアとなっているのが、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・第一種中高層住居専用区域・第二種中高層住居専用区域・第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域などが該当します。
商業エリアは、近隣商業地域・商業地域です。
工業エリアは、準工業地域・工業地域・工業専用地域が該当します。
用途区域は、それぞれ建築基準法に則り、建築可能な建物の用途を細かく制限し、周辺環境の維持・利便性向上に努めることを目的として定められました。
そのため、13種類の用途地域ではエリアによって建ぺい率・容積率・高さ制限などの指定もされており、建築可能な建物が大きく制限されます。

特に、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域においては、建物の大きさの制限が厳しくなっています。

マンションを建築できない地域

マンションは、都市計画区域でのみ建築できます。
そのため、マンションの建築ができないのは、基本的に都市計画区域外です。

ただ、都市計画区域でも、現段階で市街化を抑制している市街化調整区域や、市街化区域の中でも用途区域に該当しない場合は、マンションの建築ができません。
用途区域においては、工業専用地域では原則としてマンションが建てられないことになっています。
仮に土地を所有している場合でも、その地域がどの用途区域に属しているかによって、マンションの建築ができない可能性もあるのです。

自治体条例も確認する

自治体によっては、独自に様々な条例を定めている所もあります。
例えば、東京都調布市の場合、アパートやマンションなど15戸以上の共同住宅を建築する際や、階数が4階以上または延床面積1,500㎡以上の建物を建築する際には事前の届け出が必要です。
特に1つの自治体だけでなく、自治体をまたぐような形でマンションの建設を検討しているのであれば、それぞれの自治体で条例がないかよく確認しておく必要があるでしょう。

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違反建築物・既存不適格物件についても理解しよう

建築基準法

マンションの建築を考えているなら、違反建築物や既存不適格物件についても十分に理解しておかなければなりません。
ここでは、違反建築物や既存不適格物件の特徴を詳しくご紹介します。

違反建築物の特徴

建物を建築する際には、建築確認申請の提出や検査済証の取得といった手続きが必要です。
こうした手続きをせず、新築・増改築・用途変更を行った場合、法令に違反したとみなされるため、違反建築物に該当します。

以下は、違反建築物とみなされます。

無許可で建てた、申請内容と異なる建物の場合

違反建築物に該当する場合に多いのが、無許可で建てていた・もしくは建築確認申請の内容と異なる建物を建てていたケースです。
例えば、建築確認申請を提出せずに建築した場合や、3階建ての建物を建てたにも関わらず、建築確認申請の内容には木造2階建てとして記載していた場合などです。
このように、無許可もしくは申請内容が実際と異なっている場合、当然検査済証は発行されません。

検査済証がない建物は、違反建築物になってしまいます。

建築後に敷地の一部を売却した場合

次に建築後に敷地の一部分を売却したケースです。
これは、建築確認申請上の敷地の一部を売却することで、許可を得た敷地面積が異なる場合です。
例えば、敷地にある駐車場部分や緑地部分などを売却した場合、その分許可を得た敷地面積が減少することになります。
敷地面積が減少すれば、建ぺい率や容積率が上限を超えてしまう可能性があり、結果的に違反建築物としてみなされる可能性があります。

無許可で増改築を行った場合

建物を新築する際と同様に、既存の建物を増改築する場合にも建築確認申請や検査済証といった一定の手続きが必要です。
しかし、無許可で建物の増改築を行った場合、法令に違反としたとみなされます。
検査済証があっても、用途変更しないまま住宅を店舗として活用していたり、共用部分を改修して住宅にして貸していたりする場合は、違反建築物に該当するため注意しなければなりません。

既存不適格物件の特徴

既存不適格物件とは、法令の改正によって既存の建物が建築基準法や条件などで不適格となってしまった物件のことを言います。
建物の工事開始時点は建築基準法や条件などの規制に適合していても、法令の改正に伴い、これが変わってしまう場合があります。

基本的に、あらゆる建物は建築基準法の規定に従って建設しなければなりません。
法令の改正で既存不適格物件になってしまっても、その度に改築すると所有者や利用者の影響が大きくなるため、そのまま居住・利用を続けても問題ないとされています。
しかし、既存不適格物件から増改築する場合、法令に準じ適合させる必要があります。
以下は、既存不適格物件に該当するケースです。

用途地域の設定・変更以前の建物

地域によっては、用途地域が設定されていない所もあります。
しかし、新たに工業専用地域として定められた場合、以前から建っていたマンションは既存不適格物件になってしまうのです。
用途地域は変更されることもあるため、変更前の建物もまた既存不適格物件に該当する可能性もあります。

建ぺい率・容積率が改正される前の建物

法令の改正によって、建ぺい率や容積率の部分で既存不適格物件になる可能性もあります。
建築当時には建ぺい率・容積率ともにクリアできていても、その後の改正で厳しく規定されれば、既存不適格物件になってしまうのです。
用途地域が変更されたことで、容積率が変更される場合にも同じことが言えます。

接道距離・隣地間距離が変更される前の建物

接道距離や隣地間距離が変更される前の建物についても、既存不適格物件としてみなされます。
これは、道幅の拡張に伴い敷地が減少したことで、容積率が現行の規定を満たさなくなってしまった場合です。

また、用途地域によっては、敷地境界線より1mまたは1.5m以上離して建物を建てなければなりません。
用途地域変更により接道距離や隣地間距離が変更された場合、既存不適格物件になる可能性があります。

高さ制限が変更される前の建物

建物を建築する際には、道路斜線制限や容積率・建ぺい率・建物の高さなどの条件を満たさなければなりません。
道路斜線制限で言えば、敷地が接する全面道路の反対側の境界線より、一定の勾配の範囲を超えてはならないことになっています。

しかし、都市計画の規制による制限や、用途地域の変更で道路斜線制限にも影響を受ける可能性があります。

新耐震基準以前に建てられた建物

1981年、建築基準法の改正によって耐震基準の見直しが行われ、新耐震基準法に改正されています。
新耐震基準法では、旧耐震基準法がさらに補強される形となり、震度6強~7に達する程度の大規模な地震でも安全を確保するという規定が加わっています。

例えば、木造戸建てでは、接合部の種類が指定されるようになりましたが、旧耐震基準法では接合部の指定がありません。
このように、既存の建物が新耐震基準法を満たしていない場合、既存不適格物件になってしまいます。

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違反建築物への投資を避けるためのポイント

建築基準法

どのような建物でも、建築基準法に従った設計や管理がされているかは非常に重要なポイントとなっています。
では、違反建築物への投資を避けるためには、どのような点に注意しなければならないのでしょうか?
ここでは、違反建築物への投資を避けるための見極めポイントについてご紹介します。

建築確認申請書や検査済証は必ず確認する

違反建築物を避けるためには、まず大前提として建築確認書や検査済証は必ず確認しなければなりません。
建築確認申請書は、建物の着工前に提出する書類であり、設計に関する細かな情報が記載されているため、建築基準法に適合しているかどうか把握することができます。

また、検査済証は施工後の設計に問題がないことの証明のようなものです
条件を満たしていない場合、検査済証は発行されません。
マンションが建築基準法上において問題がないか確認するには、建築確認申請書及び検査済証を確認することが確実です。

消防点検を定期的に実施しているか確認する

アパートやマンションなどは特殊建築物という扱いです。
特殊建築物は不特定多数の人が利用するため、他の建物と比較しても特殊な規制が設けられています。
例えば、マンションは年に1回法定建築設備点検や3年に1回の特殊建築物定期調査報告といった消防点検が義務付けられています。
消防点検は有資格者によって行われるもののため、この2つの点検がしっかりと行われていれば、建築基準法に従った適格な物件であることの証拠になるのです。

定期的に消防点検が行われていれば、その建物は建築基準法に則った建物であることがわかるでしょう。

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既存不適格マンションの購入で気を付けたいポイント

建築基準法

既存不適格物件と言っても、立地や条件の良い地域に建築されている場合があります。
特にマンションは利便性の良い好立地な地域に建築されるため、土地の利用価値が高いこともあります。
では、既存不適格マンション購入で注意すべきなのはどのようなことなのでしょうか?

増改築・再建築

既存不適格物件は、現状の規模・形状で増改築ができない可能性があります。
仮に新耐震基準法を満たしていなかった場合、耐震面での問題で耐震補強及び老朽化対策を図らなければなりません。
また、場合によっては建て替えで再建築したくてもできないこともあるため、投資計画の見通しが立たなくなる可能性もあります。

増改築や再建築も視野に入れて、採算が取れるかどうか慎重に判断しましょう。

建物の資産価値やメンテナンス

建物そのものが古い可能性があるのが、既存不適格物件の特徴でもあります。
建物が古いと、増改築の制約を受けやすいため、資産価値も低いです。

また、修繕規模も大きく、メンテナンス回数も増えてしまう可能性があり、運用のためのコストに負担がかかるかもしれません。

融資を受けたい時

既存不適格物件は、将来的な増改築や再建築などの面で何らかの問題が起き、収益が出なくなる可能性があることが懸念されます。
そのため、他のマンションに比べて資金調達が困難で、融資が受けられない可能性があります。

融資を検討している場合は、資金調達ができるよう説得力のある担保を準備するといった工夫も必要です。

売却したい時

既存不適格物件の売却を検討している場合にも注意が必要です。
既存不適格物件は増改築や再建築などの制約を懸念され、資産価値が低いと判断されやすいために、売却しにくいからです。
出口戦略の見通しを立てていなければ、後々自分自身が困ってしまうことになります。
既存不適格物件の買い手を探し出せるよう、その物件の魅力をしっかりとアピールできるかがポイントになってきます。

今回は、建築基準法やマンションを建てる条件、違反建築物や既存不適格物件についてもご紹介してきました。
将来の経済的な不安を抱え、マンション経営を検討している人は少なくありません。
しかし、建築基準法やマンションを建てるための条件、またマンションの建設ができない地域、違反建築物などについては、事前にしっかりと理解しておく必要があります。
購入を検討している場合は、建築基準法に則った物件なのかよく確認し、慎重に判断するようにしましょう。

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