マンションに避難はしごを取り付けるなら?設置基準や注意点を解説

マンションやアパートなどの賃貸物件では、地震や火事のような万が一に備えて避難経路を確保しておく必要があります。
特にマンションのような高層階の建物では、避難経路を確保するのが難しいため、避難はしごを活用することが多いです。
避難はしごにはいくつかの種類があり、マンションでも避難はしごを設置した方が良いケースもあれば、設置しなくても良いケースもあります。
今回は、避難はしごの種類や設置基準、設置する際の注意点などについて解説します。
使い方についてもご紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

Contents

避難はしごの種類

避難はしご

避難はしごは、種類によって使用方法が異なります。
まずは、避難はしごの種類からご紹介しましょう。

ハッチ用吊り下げはしご

マンションに設置される避難はしごは、ハッチ用吊り下げはしごであることが多いです。
ハッチ用吊り下げはしごは、バルコニーの床下に格納されているはしごで、避難の際に下の階に下りる時にのみ使います。

上の階から下へと吊り下げて使用するため、ハッチ用吊り下げはしごと呼ばれています。
避難の際にハッチを開けるとはしごが出てくる仕組みになっており、マンションではよく目にするタイプです。

固定はしご

固定はしごは、建物にそのままはしごが固定して設置されているタイプです。
避難に関わらず使用可能な状態になっているものもあれば、利用時に伸ばして使うタイプもあります。

伸縮式であれば、子どもが遊んでしまうといったリスクがなく、常に使用可能な状態になっているものと比べて危険性が少ないので安心です。

立てかけはしご

立てかけはしごは、その名の通り避難時に建物に立てかけて使用するはしごです。
常時建物に置くものではなく、別途はしごを用意しておいて緊急時に取り出して使用します。

普段は収納しておき、必要になった時にのみ出して使うタイプです。
マンションにはしごを後付けするのが難しい場合や、コストを抑えたい時に活用できます。

吊り下げはしご

吊り下げはしごは、下の階から上の階に立てかけるものとは逆に、下の階に吊り下げて使うはしごのことです。
普段は専用の箱に収納しておき、避難が必要になった時に取り出して使用します。
マンションの場合、ベランダの手すりから吊り下げはしごを壁に沿って吊り下げて避難します。

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避難はしごの設置基準を知ろう

避難はしご

いざという時のために、マンションに避難はしごを設置しておくと住民も安心できるでしょう。
避難はしごは、消防法によって設置基準が定められています。
設置基準は建物の用途・収容人員・階数などが関係し、18項に区分分けされています。
詳しい建物用途区分については消防法施行令第25条1項、第1号~第5号に記されており、これを元に確認することが可能です。
マンションやアパートのような賃貸物件は、建物用途区分で見ると5項(ロ)の下宿・寄宿舎・共同住宅に該当します。
5項では、建物の2階以上、または地階に避難はしごの設置が必要とされています。
ただ、建物用途区分だけでなく、収容人員や階によって変わってくるので、該当人員を超えていないかもよく確認が必要です。
また、設置する階数によって適応する避難器具は異なります。
避難はしごは建物の6階以上でも設置することができますが、それ以外の避難用ロープ、避難用タラップ等は階数によって使用できない可能性もあるでしょう。
消防法では、避難はしごの設置基準の他に、避難器具の設置における緩和や設置の免除に関する規定なども定められています。
詳しく知りたい方は、専門業者に確認してみてください。

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避難はしごを設置しなくても良い階の特徴

避難はしご

マンションでも、避難はしごの設置が必要ない場合があります。
設置しなくても良いとされているのは、主要構造物が耐火構造になっている場合です。
その中でも、3つのパターンがあります。
以下の基準を満たしている場合は、避難はしごを設置しなくても良い可能性が高いので、事前に確認しておきましょう。

避難はしごの設置が不要なケース①

主要構造物が耐火構造であることに加えて、以下の基準を満たしていれば避難はしごの設置が不要となっています。

・直通階段を避難階段や特別避難階段としている
・バルコニーなどが避難上有効な設置になっている、もしくは重複経路なしで2方向避難が可能になっている
・内装仕上げが準不燃になっている、もしくはスプリンクラーが階の主たる用途全てに設置されている
・耐火構造の壁・床で区画されている
・耐火構造で区画された部分における収容人員が消防法令第25条第1項各号の収容人員未満である

避難はしごの設置が不要なケース②

2つ目のケースでは、主要構造物が耐火構造になっていることに加えて、以下の基準を満たす必要があります。

・室内の外気に面する部分設置されたバルコニーが避難する上で有効に設置されている
・バルコニーから地上に向かう階段・避難設備・避難器具で避難が可能、もしくは建築物における設備・器具が設置されている

このケースの場合、階段避難や特別避難階段に関わらず、バルコニーを経由して2方向の避難を確保していれば、避難器具の設置が免除されます。

避難はしごの設置が不要なケース③

3つ目のケースでも、主要構造物が耐火構造になっていることが前提となり、ここに加えて以下の基準を満たす必要があります。

・部屋や住戸から直通階段につながっており、直通階段に面する開口部が特定防火設備となっている
・直通階段が避難階段または特別避難階段に該当している
・収容人員が30人未満である

マンションには避難用階段や特別避難階段を設置しているところも多いです。
この場合は、避難用はしごの設置は必要ありません。

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避難はしごの使い方とは?

避難はしご

いざという時に正しく使用するために、避難はしごの使い方はきちんと理解しておきましょう。
ここでは、マンションに設置されることの多いハッチ用吊り下げはしごの使い方をご紹介します。

ハッチを開ける

まずは、ハッチのロックを解除して少しずつ持ち上げていきます。
ハッチは、小さな子どもが開けてしまうのを避けるため、チェーンやフックなどのチャイルドロックがかかっています。

チャイルドロックがかかったままハッチを開けようとすると、開かずに指をはさんでケガをする恐れがあるので注意しましょう。
数cmほどハッチを持ち上げたら、チャイルドロックを解除してから上まで持ち上げてください。

蓋を固定させる

ハッチを90度になるくらいまで持ち上げて全開にすると、ハッチは固定されます。
ハッチは上側だけでなく下側にもフタが付いています。
避難はしごでも、上側のフタを開けると同時に下側のフタが開くタイプがほとんどです。
下側のフタを開けないとはしごを降ろすことができないので、使用する時は必ず全開になるまでハッチを開けて固定するようにしましょう。

中には、ハッチを全開にすると同時にはしごが自動的に降りていくものもあります。

はしごを降ろす

ハッチを開けたら、吊り下げはしごを降ろします。
はしごはストッパーで固定されているので、専用のボタンを使って降ろしていきます。
ボタンを押せばはしごが自動的に伸びていくタイプもあれば、ハッチを開けると自動的にはしごが降りていくものもあるので、使い方を確認しておきましょう。

はしごを降ろす時には、下の階に人がいないかよく確認が必要です。
付近に障害物が置かれていると、はしごを降ろせない場合があるので、避難はしご付近にはものを置かないようにしなければなりません。

下に降りる

避難はしごを下に降ろしたら、足を乗せるステップ部分を両手で持ちながら1段ずつ降りていきます。
はしごの両側は伸縮制になっているため、指をはさんでしまう恐れがあります。
また、裸足や靴下など、履物を履いていない状態で降りるのは危険です。
通常のはしごとは異なり不安定なので、スリッパやサンダルではなく、履きなれたスニーカーを履いて降りることをおすすめします。

避難する際に荷物を背負って降りるという方もいるかもしれません。
しかし、荷物を背負ったまま降りようとするとはしごに引っかかってしまう可能性があるので危険です。
荷物ははしごを降りる前に落としておき、安全に降りるようにしましょう。

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避難はしごを使う時に気を付けたいこと

避難はしご

避難はしごを使用する際には、注意すべきことがいくつかあります。
実際に使用するのは入居者となりますが、大家さん自身も管理者として使い方と合わせて注意点を知っておくことが大切です。
それでは、避難はしごを使用する時の注意点についてご紹介します。

持っていく荷物のサイズに注意

設置している避難はしごによって、種類や形状、大きさは異なります。
一般的に開口部の有効幅は、人が1人通れる程しかないことがほとんどです。
避難する際に大きな荷物を持って降りようとすれば、引っかかって降りられない可能性があります。
また、避難はしごで降りる際には揺れが生じます。
重い荷物を背負って降りるとバランスが取りにくくなるため、足を踏み外したり落下したりする可能性もあり、非常に危険です。

荷物を持っていく場合はサイズに注意し、はしごを降りる前に下の階に落としておけば安全に降りることができます。
どのくらいのサイズまでなら通るのか、大家さん自身で確認しておくことが大切です。

下の様子をチェックしてからはしごを降ろす

はしごを下に降ろす時には、下の階に人がいないか、障害物がないかをしっかりチェックしてから降ろしましょう。
はしごの近くに人がいたり、大きなものが置いてあったりすると避難はしごが降ろせません。
仮に近くに人がいる状態ではしごを降ろしてしまうと、下の階にいる人がケガをする可能性があります。
災害が発生すると、慌てて周囲の配慮に欠けてしまうことも多いです。
自分たちのことだけを考えて行動しようとすると他の住民に迷惑をかけてしまうので、安全かどうか、必ず確認してから降ろしてもらう必要があります。

子どもを連れていく時は紐などで固定させる

マンションであれば、小さな子どもと一緒に避難するという住民も多いです。
歩くことができない赤ちゃんや小さな子どもは、当然避難はしごを使って避難することできないので、一緒にはしごを降りる必要があります。
そんな時は、紐やロープ、抱っこ紐などを使って子どもをしっかりと固定してから降りましょう。
男性の方が大柄なことが多いので、子どもと一緒に降りるのは女性の方が安全です。
間違っても、子どもを片手で抱えてはしごを降りることのないようにしてください。

片手ではしごを掴んで降りれば、子どもが暴れたりバランスが取れなくなったりして思わぬ事故につながる恐れがあります。
はしごを降りる時は、両手で掴んで降りることが大前提です。
はしごの枠に引っかからないよう注意しながら、安全に避難することを伝えてください。

蓋を開ける時は慌てない

上記でもご紹介したように、最初に開けるハッチには安全のためにチャイルドロックがかかっています。
チャイルドロックの存在を忘れていて無理にこじ開けようしたり、急な災害による避難で慌てていたりすると、ハッチを勢いよく開けようとして指をはさんでしまう恐れがあります。

緊急用のハッチは重いので、勢いよく閉まればケガをしてしまう可能性が高いです。
他のトラブルが起こってしまうと、安全に避難するのが難しくなってしまいます。
安全に避難するためには、避難はしごの使い方やチャイルドロックの存在をきちんと把握して、慌てずに脱出できるように住民に伝えておくことが非常に大切です。

軍手とスニーカーを用意しておく

避難はしごは、頑丈なステンレス製のものがほとんどです。
バルコニーは日当たりが良い場所にあるので、季節によっては高温になっていたり、滑りやすくなっていたりします。
火傷や滑ってしまうのを防ぐためにも、避難用として軍手やスニーカーを準備しておくと安全です。

バルコニーにスリッパやサンダルを置いているという方も多いですが、避難する際にスリッパやサンダルを履いているとすぐに脱げてしまう可能性があります。
履きなれたスニーカーを1足バルコニーに置いておけば、安全に避難ができます。
特に避難時は子どもや荷物を抱えて避難する場合が多いので、事前に軍手とスニーカーを用意が求められます。

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避難はしごを設置したら点検は忘れずに!

避難はしご

避難はしごを含む消防用設備等には定期点検が必要です。
これは、消防法第17条の3の3によって決められているルールになります。
ここでは、避難はしごの点検時期や費用について解説します。

点検を実施する頻度

避難はしごなどの消防用設備には、定期的な点検義務があります。
このような場合、大家さんや不動産会社が点検するべきかと思うかもしれませんが、防火対象物の点検実施者は消防設備士もしくは消防設備点検有資格者が行わなければなりません。

これらの資格者に、機器点検なら6ヶ月に1回、総合点検なら1年に1回の頻度で依頼しましょう。

点検の相場はいくら?

避難はしごは、人の命に関わる大切な設備です。
点検費用がかかることに躊躇うかもしれませんが、どんな災害が起こった時にも対応できるように万全のコンディションを保つ必要があります。
気になる費用についてですが、算出方法は業者ごとに異なるので注意してください。
建物の種類、広さ、消防設備数や種別で算出している業者もあれば、人数、時間、経費で算出している業者もいます。
目安としては、オフィスビルや雑居ビルなどで広さが1000㎡なら約30,000円、アパートやマンションの避難器具、消火器具、火災報知器などの設備点検なら約35,000円程度です。

これは目安であり、各業者で実際の金額は異なるので、複数から見積もりをもらって比較するのがおすすめです。

適切に点検が実施されたかチェックしてみよう

避難はしご設置後に点検を依頼していた場合でも、選ぶ業者を間違えてしまうと正しく点検していないケースがあります。
きちんと点検が実施されているか気になる場合は、以下の方法で適切に行われているか確認すると安心です。

・点検前に各作業員が免状を持っているか確認する
消防設備士もしくは消防設備点検資格者に点検をしてもらいます。
その後、消防機関に報告する場合、点検作業前に各作業員が免状を持っているか確認してみましょう。
きちんと依頼したはずなのに、無資格者が点検をしていたことがわかれば、適切な点検作業を行っていない業者と判断できます。

・全ての階の点検がされていない
例えば、5階建てのビルの場合、点検対象になるのは設置されている全ての消防用設備等です。
しかし、各階で点検作業が行われておらず、1ヶ所のみで作業が終了されている場合は適切ではありません。

・点検結果と異なる内容が報告されていた
本来、点検結果は事実通りの記載が必要です。
しかし、報告内容が実際の点検結果と違う場合は、適切な点検とみなされません。
点検作業の状況を確認しつつ、報告書の届け出どおりになっているか確認してみましょう。

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避難はしごを正しく使ってもらうために住民へ説明すべきこと

避難はしご

マンションのベランダやバルコニーなどに設置されることの多い避難はしごですが、正しい使い方を全ての住人が周知しているでしょうか?
いざという時に正しい使い方ができないと混乱を引き起こすだけでなく、二次災害を招く可能性も考えられます。
そこで、避難はしごを正しく使うために住民に説明すべきことを解説していきます。
これをきっかけに住民にさらなる周知をしていきましょう。

避難はしごの上に重たいものは乗せない

緊急はしごの上に重たいものを乗せてしまうと、緊急時にすぐはしごを降ろせなくなってしまいます。
できるだけ緊急はしごの周辺には、ものを置かないように説明してください。
また、はしごを降ろす場所にものが置いてあると降ろせないため、はしごの位置を知らせ、その周辺にものを置かないように伝えておきましょう。

人が通れる幅を事前に確認しておく

マンションなどに設置されている避難はしごは、種類や形状によって人が通れる幅が異なります。
上記でも述べたように開口部の幅を事前に確認しておき、どれくらいの荷物なら背負ったままでも降りられるのか知っておくことが重要です。

また、小さな子どもがいる場合、おんぶのまま降りられない可能性もあります。
緊急時だとどうしても慌てがちな上に、思うような降り方ができないことでパニックになるかもしれません。
しかし、事前にどれくらいの幅なのかを伝えることで、慌てることなく避難はしごを使ってもらえます。

夏場は高温になっている可能性がある

ステンレス製の避難はしごの場合、夏場に日当たりのよいベランダ・バルコニーでは、はしごそのものが高温になっている可能性が高いです。
暑くなっていることを知らずに触ってやけどする恐れがあることを伝えてください。

やけどの予防に軍手やシューズを身近な場所に置いてもらうように説明しておくと、安心です。

蓋の上でジャンプしない

避難はしごを正しく使うには、普段から避難はしごに対しての意識を全員が持つ必要があります。
小さな子どもがいる場合、避難はしごの蓋の上で遊んだり、ジャンプしたりするかもしれません。
しかし、通常のコンクリートと避難はしごでは強度が違うだけでなく、大きな振動音が下の階にまで響いてしまいます。
多くの人が生活するマンションなので、避難はしごは避難の時しか使用しない、近寄らないなどのマナーを守るように伝えましょう。

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避難はしごだけじゃない!避難器具の種類とは

避難はしご

避難する際に最もポピュラーな避難はしごですが、実は避難器具にはいくつもの種類があります。
ここでは、避難器具の種類について解説します。
これから導入を検討している方は、参考にしてみてください。

緩降機

緩降機は、上の階から下の階に向けて非難する際に用いられる避難器具です。
消防法で規定された避難器具であり、体にロープを装着してから自分の体重をかけてゆっくり降りることができます。
ロープ1本なので少し怖く感じるかもしれませんが、降下する際の速度も一定で着地しても大きな衝撃にならないように工夫されています。

救助袋

救助袋は、布製の袋の中を滑り降りて非難するものです。
窓やバルコニーの柵などに固定して使うもので、袋の中を滑って避難します。

垂直式は、まっすぐになった袋の中をらせん状に滑るもので、斜降式は斜め45度の角度にセットした袋の中を下に降りていきます。
1階、11階以上の建物に設置義務はありませんが、防火対象物の2階以上であれば設置できるでしょう。

滑り台

避難用の滑り台は勾配のある直線もしくは、らせん状の固定された面を滑り降りるものです。
緩降機や救助袋のように、避難準備の必要や特別な操作も不要です。
また、短時間で多くの人数を素早く非難させられるメリットがあります。

避難用タラップ

避難用タラップは階段状のものであり、使用する際には手すりが付いています。
踏板と手すりがないと避難用タラップにならないので注意してください。
避難用タラップは、安定した姿勢で誰もが安全に避難できます。

設置できるのが地下、2階、3階に限定されているため、それ以上の階では設置できない点に注意してください。

避難橋

消防法に規定されている避難器具であり、建築物相互を連絡する橋状のものであることが記載されています。
簡単に言えば、火災が発生している建物から隣の建物に避難するために設置する橋のことです。

使用時、無許可で避難先に設置することはできないため、あらかじめお互いに許可を得ておかなければなりません。
さらに、隣接する建物の高さに違いがあると設置が容易ではない点にも注意が必要です。

避難ロープ

避難ロープは、上端部を固定して吊り下げたロープを使って降下する避難器具です。
ロープというと、ただの丈夫な紐という認識があるかもしれませんが、滑り止めの結び目がいくつも付いていて、それを引っかけながらゆっくり降りていきます。

結び目が付いているので滑り止めの役割がありますが、ゆっくり降りていくには腕力が必要です。
そのため、女性、子ども、高齢者などは避難のしにくさを感じやすいでしょう。
避難器具の収納場所を取ることがないのがメリットですが、避難時の安全性に心配な部分も多いです。
また、避難ロープが使えるのは2階のみとなります。

すべり棒

すべり棒は、垂直に固定された棒を滑り降りる避難器具です。
垂直避難が容易であり、迅速な避難には適しているでしょう。
しかし、降下速度を自分では調整しにくいので、全ての人が簡単に降りられるわけではありません。

すべり棒は、2階にしか設置することができず、病院などの防火対象物には設置できません。

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避難はしごを導入するなら?おすすめのメーカーをピックアップ

避難はしご

避難はしごを導入する場合、建物に適した製品を選ぶだけでなく、住人がいかに安全に避難できるかについても考えなければなりません。
そこで、避難はしごの導入を検討している方におすすめのメーカーをピックアップしてご紹介します。
それぞれのメーカーでオリジナリティある製品が豊富なので、ぜひ参考にしてみてください。

オリロー株式会社

オリロー株式会社は、東京都文京区に本社を構え、1928年から消火器などの防災用品や避難器具の製造に関わる老舗メーカーです。
「避難器具オリロー」を製造、販売していることでも知られています。
そんなオリロー株式会社の「避難器具オリロー」は、1968年に自治大臣によって型式承認されました。

オリロー株式会社では、緩降機、避難はしご、固定はしごなどの避難器具から消火器などの製品まで揃えています。
使用者が他の人の力を借りることなく、安全に降りることができるように工夫された緩降機の他に、マンホール形状で吊り下げ式の避難用具などもあり、同じ避難器具でも長い歴史から工夫やアイデアがされた機器が揃っています。

特殊梯子製作所有限会社

特殊梯子製作所有限会社は、長年造園業や建築などはしごに関連する事業をしてきたメーカーです。
過去に建物の壁が国の重要文化財であったことから、はしごを持ち込まずに修繕しなければならない事態に遭遇してしまいました。
この時に伸縮性のはしごを誕生させたことがきっかけで、現在もより便利な特殊はしごを製造しています。

例えばQQラダーは、一般住宅やマンションなどに設置できる緊急避難用のはしごであり、ベランダや窓枠にかけて使用できます。
スピードが求められる緊急時の避難でも、より安全に安心して降りられるように安定性を高めており、よれない・たわまない・揺れない商品として人気です。
収納時には約1/4サイズになり、窓枠やベランダの幅に合わせて調節可能です。

ナカ工業株式会社

避難をデザインするというポリシーを掲げているのがナカ工業株式会社です。
避難、誘導、防災に関する製品を多く製造しているメーカーで、非常時でも安心して使用できる製品を揃えています。

地震や火災など、いつどんなタイミングで起こるかわからない場合でも安心して避難できるように、建物に合わせた避難器具を提案しています。
避難はしごにも標準タイプの製品から、二重天井用の避難はしご、スライド式、上下階操作型、固定タラップ用など、様々な建物のスタイルに合わせた避難はしごが揃っているのです。
避難支援製品として、ステップに乗ったままで避難できる「UDエスケープ」、車いすでも避難できる「UDエスケープWith」などもあります。

ヤマトプロテック

ヤマトプロテックは、総合防災カンパニーとして1918年の創業以来、防火に対しての安全性を追求してきたメーカーです。
そんなヤマトプロテックでは、消火、警報、避難などに対応する製品を多く取り扱っています。

避難設備に関しては、より高度な安全性、操作性を確保させた製品でありつつ、非常時でも安全な避難ができるように工夫されているのです。
避難はしごでは、回転部分に耐久性を持たせるためにステンレスリベットを使っています。

城田鉄工株式会社

城田鉄工株式会社は、1965年に避難はしごの型式承認資格を取得して以降、多くの国家検定品や認定品の製造をしてきたメーカーです。
シンプルで誰もが使いやすい避難はしごが中心で、折りたたみはしごに関しては金属部分に電気亜鉛メッキの皮膜処理を施した環境と人にやさしいはしごを実現しています。

高耐食性でコンパクトなので、省スペースで保管可能です。

ここまで、避難はしごの種類や設置基準、特徴などを解説してきました。
避難はしごは、設置後の点検も必要であり、定期的な点検によって非常時に安全に使用できます。
また、入居者が緊急時に正しく使えるように、使い方や注意点を説明することも大切です。
さらに避難はしご以外の避難器具があると、住民全員が避難しやすいでしょう。
住んでいる住民の年齢層などに合わせて、誰もが安心して避難できる環境を整えるように製品選びも意識してみてください。

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