賃貸管理において、共益費や管理費という項目で入居者から一定の費用を毎月徴収できます。
これは物件維持や管理において必要な費用であり、管理員の人件費や共用スペースの電気代、浄化槽の保守点検などが対象です。
もし共益費に水道代を含めた場合、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
今回は、共益費の特徴や水道代を含める意味、メリットなどを解説します。
Contents
共益費とは?
共益費とは、賃貸物件において何を意味する言葉なのでしょうか?
ここでは、共益費が持つ特徴についてご紹介します。
共益費の特徴
不動産公正競争規約では、共益費は借家人が共同して利用する設備や運営および維持に関する費用であると定められています。
部屋を借りるために支払う家賃とは異なり、物件の部屋以外の設備や維持、劣化対策などで使われるのです。
例えば、家賃5万円で共益費3,000円の場合、この3,000円の部分を毎月共有部分の管理や清掃などで使用するという意味です。
賃貸物件における共用部分
賃貸物件には、共用部分と専有部分が存在しています。
専有部分は主に住んでいる部屋のことであり、各部屋の玄関扉、ベランダ、駐車場などは個人が使用していても共用部分です。
また、管理規約に記載している管理人事務所、集会室なども共用部分になります。
賃貸物件においての共用部分は、主に住んでいる人全員が使用する場所として考えるとわかりやすいでしょう。
例えばマンションにはエントランスがあり、ソファが置いてあるなど、くつろぎの空間が設けられているところもあります。
このような場合、マンションのエントランス部分は誰もが使用できる共用部分に該当し、毎日清潔に保つために定期的な清掃が取り入れられています。
共益費に含まれるもの
賃貸物件で共益費に含まれるのは、どのようなものでしょうか。
共益費の具体的な用途としては共有部分の保守点検、メンテナンス、清掃機能、などが挙げられます。
ここでは、共益費に含まれるものを具体的に解説していきます。
【共益費の対象になるもの】
エントランス、階段、エレベーター、廊下、駐車場、駐輪場、ゴミ捨て場など
【共益費の用途】
共有部分のメンテナンス、清掃費、電球の交換、電気代、水道代保守点検費用、花壇の手入れ、害虫駆除、テレビなどのアンテナ修理、花壇の手入れ、消火器点検費用、害虫駆除、インターネット回線、ケーブル回線費用など
【点検項目】
電気設備、エレベーター、水道設備、給排水設備、消防設備、換気、排煙、非常用設備など
共益費と管理費は何が違う?
賃貸物件において共益費と管理費は似たような意味合いがあるので、言い方の違いとして認識されることもあるでしょう。
しかし、共益費と管理費には、似て非なる部分もあります。
共益費は他の入居者と同じ部分を共有して使うことであり、維持や管理のために入居者に一部の費用を負担してもらいます。
点検や清掃、交換などの必要な業務が共益費となります。
一方の管理費ですが、アパートやマンションなどの賃貸物件を良好な状態で保つようにする費用として管理費と言われます。
このような内容から、同じジャンルとして管理費、共益費という言葉を変えている場合もあります。
また、細かく分類することがなくても目的に合わせた使い方をしている場合もあります。
どのような言い方であっても、根本的には入居者が共有できる場所や空間の管理を行うことには変わりありません。
INA&Associates Inc.は、不動産、IT、投資などにおける専門性と技術を活かし、「不動産」×「IT」を実現するために発生する、複雑な事柄に真摯に向き合い、”不動産をもっと分かりやすく。住まいを探されている方にとってもっと使いやすく。取引をもっとスムーズに。” 不動産×ITで独自の価値をお客様に提供することを目指しています。
共益費に水道代を含めるメリット
共益費には、稀に水道代を含めて一定金額にしている物件があります。
今までは、共益費に水道代を含めるところが少なかったので、このような認識を持っていない方も多いでしょう。
そこで、共益費に水道代を含めるメリットはどのような部分にあるのかご紹介します。
付加価値があるように感じられる
共益費に水道代を含める理由はどのような部分にあるのでしょうか?
2019年の家計調査では、単身世帯の水道光熱費の平均月額は11,652円でした。
年齢別に見ていくと、34歳までの世帯では平均7,265円、59歳までの世帯では11,743円、65歳以降の世帯では13,126円です。
ここから水道代だけを計算し、不足のないように一律10,000円という金額で共益費に水道代を含ませたとします。
これだけで、毎月水道代だけでも安定しているように感じられるでしょう。
一般的なアパートでは、共益費に水道代を含めることはありません。
そのため、住んでいる人が使った分だけ毎月の水道代を支払っていました。
ほとんどの賃貸物件で、入居している人が使った分だけ支払うのが当たり前だったので、なぜ共益費に水道代を入れるのかと疑問に感じるでしょう。
しかし、共益費の中に水道代を含めて請求することで、別途水道代を支払わなくても良くなります。
また、共益費の中に含めることで、直接的な家賃の値下げをすることがなくてもお得感を出せるでしょう。
請求書作成の手間が減る
水道のメーターボックスが個別に設置されていないアパートの場合、水道代が毎月一律ではありません。
そのため、大家さんが検針し、入居者に請求書を書く手間がありました。
アパートなどの賃貸物件によっては、毎月の共益費を家賃とは別に回収している場合もあります。
この時、水道代が頻繁に変わってしまうため、請求書に記載される金額も毎回変更しなければなりません。
しかし、共益費に含めた金額にしておくと請求書を毎回作成する手間がなく、その後の記入も不要なので毎月コピーするだけなので簡単です。
大家さんにとってそれほどマイナスにならない
実は、共益費に水道代などを加えて請求することで、大家さんにとっては大きなマイナスになってしまうのではないかと不安に感じることでしょう。
また、定額ということでそれ以上に使われてしまえば確実に損をしてしまいます。
水道代を共益費に含めて定額にすることは、家賃を実質値下げしたことと同じです。
収支に支障がない場合は、そのまま継続しても大家さんにとって大きなマイナスになることは少ないでしょう。
総務省統計局が発表した家計調査データによると、変動はあるものの、1年間の平均で考えると平均的なラインが見えてきます。
そのため、平均を計算した金額で一律にしてしまえば、大家さんが大幅に損をすることはありません。
これらの要因から、共益費に水道代を含めても大きなダメージとなることはありません。
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共益費・管理費の相場はいくら?
そもそも、管理費や共益費の相場はいくらになるのでしょうか?
また、共益費・管理費の相場に応じて他のフリーレントやシェアハウスでも共益できるのでしょうか?
ここでは、管理費の共益費・管理費の相場についてご紹介してきます。
共益費・管理費の相場
賃貸物件の共益費・管理費の相場は、2,500~5,000円程度です。
ただし、物件の大きさや規模によっても変わってきます。
平均的な共益費の相場は、家賃の5~10%程度となります。
共益費の金額に幅があるのは、物件の規模や新しさによっても変動するからです。
設備が階段のみの物件はそれほど高くなくても、エレベーターがある物件だとメンテナンス料金も共益費に含まれます。
他にも、オートロックなどセキュリティ対策がされている場合、共益費はより高額になりがちです。
フリーレントやシェアハウスでも共益費は設定されている?
フリーレントは、一定期間の家賃がかからない無料の契約形態のことです。
賃貸契約後から、決まった期間家賃がかからないのが特徴です。
無料期間が終わると、通常どおり家賃が発生します。
この期間については、最も多いのが1~3ヶ月程度です。
本来であれば、賃貸物件に入居する際に敷金と礼金がかかるため、初期費用が発生してしまいます。
さらに、前の物件との家賃が重なることもあり、引っ越しで多くの出費になるケースもあります。
しかし、共益費や管理費が別途必要な賃貸物件なら、フリーレント期間でも支払う必要があります。
一方のシェアハウスは、賃料の他に毎月共益費が設定されています。
シェアハウスの共益費は、水道光熱費、インターネット代などをまとめて徴収するのが一般的です。
シェアハウスといっても管理会社によって共益費の範囲が異なる場合があり、ほとんどが含まれている場合もあれば、分けられている場合もあります。
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水道代込みの共益費=使い放題ではない!
やはり定額制にするのは抵抗があるという大家さんもいるでしょう。
その時に気になるのが「使い放題にされたらどうすべきか」という点です。
しかし、入居者の中にはスマホの通信代のように、一定の金額で使い放題だと勘違いする場合もあるでしょう。
このような場面になった時の対処法を紹介していきます。
生活に必要な水道使用量を基本に料金を設定
そもそも、水道代を一定額に設定しているのは、使い放題という意味ではありません。
また、この定額制には「生活に必要な程度」の料金を計算して含めているため、常識的な範囲で使うことを意味しています。
そのため、水栓を開けたまま放置しているなど、生活で必要としない水の量を超えて使用した場合は、予定したものではないと考えられます。
賃貸契約において定額制が設けられていたとしても、入居者が水の使い過ぎを許されたわけではありません。
それでも、入居者が故意に使い過ぎていることを認識しながら改善されない場合、これらの理解を前提として入居者が水を使う際に生活で通常使う水の量をはるかに超えた異常な使い方をしない義務があると考えられます。
異常な使用分の水道料金は別途請求することが可能
入居者が異常な水の使い方をした結果、契約にない範囲の水を使ったという認識に変わります。
これによって、入居者には異常に水を使用した分を賠償してもらうことも可能です。
どうやって異常な水の量だと判断するのかというと、ここで計測した異常な水の使い方によって増えた水道料金は、厳密な計算はできません。
ただし、直近で水道を使い始めた平均値と、その前の正常な範囲での使用による平均値の差を、異常な使用によって増えた水道料金として主張できます。
これは、入居者に渡しても認めてもらうことが難しいので、弁護士などの力を借りるケースも多くみられます。
過去に、このような定額制の水道料金で異常な使い方をした入居者に対し、200万円の賠償請求をした事例もあります。
請求する分には違法性もないので、異常な使用分の水道料金は別途請求できることを覚えておきましょう。
賃貸借契約にあらかじめ明記しておく
定額制では勘違いによって大きな事件やトラブルになる可能性もあります。
様々なタイプの入居者がいる中で、稀にトラブルに出会ってしまう大家さんもいるでしょう。
上記でご紹介したような事例を知らなかったことで、多額の水道料金を自腹で支払い、泣き寝入りするケースも少なくありません。
このようなトラブルを事前に防ぎ、大家さんと入居者の双方が快適に生活するためには、水道の定額制に関する意味や内容を事前に伝えておくと安心でしょう。
一般的に水道の定額制は「水が使い放題」という意味ではないことを説明に加えてください。
契約の内容は、お互いの合意があって初めて認識されます。
賃貸契約時に「水はどれだけ使っても一定額です」と言ってしまえば、入居者側も水が使い放題であると認識してしまうでしょう。
このような言い方や常識的な範囲というのは曖昧な線引きであり、細かなルールがのちに水掛け論になる可能性もあります。
水道代の定額制をトラブルにしたくないなら、賃貸借契約書にはきちんと明記し、再度水道の使い方によってルールや注意点を伝えるようにしましょう。
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水道代込みの共益費を設定する際に気を付けたいこと
水道代を共益費に含めるメリットについては紹介しましたが、設定する際の注意点についても確認しておきましょう。
タイミングを間違えない
共益費の中に水道代を含めると言うことは、大家さんが水道代を負担する形になるので実質的に家賃の減額を意味します。
水道代のコストがかかっても、経営上収支に大きな影響が出ないか確認する必要があるでしょう。
まず、共益費に含める水道代を設定し、賃貸経営の収支に支障が出る可能性があれば家賃の値上げも検討しなければなりません。
家賃を値上げする場合には、入居者に対して理解を得るために丁寧な説明が必要になります。
入居者へ伝えるタイミングとしては、更新時期がおすすめです。
共益費に水道代が含まれるメリットやお得感が伝わるように入居者向けに資料を準備しておきましょう。
家賃の値上げを伴わないのであれば、入居者にとっても固定費が減りメリットにつながるので、スムーズに受け入れてもらえるはずです。
また、新しい入居者に向けてのアピールも忘れずに行いましょう。
お得な物件であると認識してもらうためにも、担当の不動産会社へ連絡し、物件情報を更新するよう依頼します。
不公平感が出ないようにする
入居者にとっては、時期によって毎月変動がある水道代が共益費に含まれるのはありがたいことです。
しかし、入居者の中には一般的な利用料をはるかに超えて使用する方がいる場合もあります。
普段家を空けている独身男性と、朝晩お風呂に入ることを日課にしている女性とでは水道使用量に大きな差が生まれるでしょう。
中には、水道代の負担がない=水は使いたい放題と捉えている方もいるかもしれません。
そういった際、毎月の超過分を大家さんが負担してしまうと賃貸経営の収支に影響が出てきます。
かといって、超過分を想定して全戸で按分した共益費にしてしまっては、不公平感が生じてしまうでしょう。
そのようなケースを避けるためにも、あらかじめ共益費に含める水道代の上限を設定することをおすすめします。
上限額を超えた水道代は、別途個別に入居者へ請求し、支払ってもらうルールを設けるのです。
水道代が共益費に含まれるという点に魅力を感じて契約につながる場合もあるので、トラブルにならないよう、水道代の上限について賃貸借契約書に明記し、契約の際に了解を得ておくと良いでしょう。
適切な事業者を選ぶ
水道料金は、自治体の水道運営にかかるコストを含めて定められています。
水源からの距離、人口密度、使用量や地形などにより各市町村によって大きな差があります。
全国の自治体で最も水道料金が安い自治体と最も高い市区町村とを比べると、その差は約8倍にもなります。
同じ水道料を使用して850円で済む地域もあれば、6,000円以上水道代を払わなければならない地域もあるのです。
国は、料金収入の安定や地域格差の縮小を目指しています。
水道の民営化がされ、今後ガス・電気自由化のように水道のあり方も変わってくる可能性があるのでその点は留意しておきましょう。
また、水道以外の光熱費を共益費に含めようか考えている方は、業者選びは慎重に行う必要があります。
先述したようにガス・電気は自由化され、消費者が業者や契約メニューを自由に選択できるようになりました。
契約会社によってプランや料金に差があり、収支に影響が出る可能性が出てくるからです。
管理会社と相談するなどして、適切な事業者を選びましょう。
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共益費の水道代は消費税の課税対象になる?
取り扱いがややこしい消費税ですが、勘違いを避けるためにも確認しておくことが大切です。
ここでは、共益費の水道代が消費税の課税対象になるのか説明しましょう。
共益費は非課税対象
賃貸物件の共益費はすべて消費税の非課税取引の対象となっています。
共益費は物件の共用部分を管理するためにかかる費用であり、入居者は費用を負担しなければなりません。
家賃と同様に必要なものとして考えられるため、非課税対象として取り扱われます。
水道代はもちろん、共益費の中にその他の光熱費を含めた場合も非課税対象です。
別名目での請求だと課税対象になる
水道光熱費などは一般的に個人で契約し、入居者それぞれが使用分に応じて各業者に支払うことが多いです。
しかし、物件によっては一定の金額で入居者から光熱費などの支払いを受けているケースもあります。
もし家賃や共益費とは別名目で水道代や光熱費を請求する場合、その費用は課税対象になるので注意しましょう。
水道代を共益費に含めた場合は、非課税の対象として取り扱われますが、別名目で請求した場合は課税対象になります。
例えば、家賃とは別に入居者ごとに使用実績や一定の金額を“水道料金○○円”と請求する場合には課税対象として取り扱われます。
課税・非課税の線引きは、表現の違いや解釈の違いで変わってきます。
複雑でややこしい面もありますが、ある程度自分で知っておくと節税対策に有効なので、その都度確認しておくと良いでしょう。
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共益費の会計処理はどのように扱われる?
確定申告に必要な損益計算書を作成するにあたり、共益費はどのように会計処理すれば良いのか迷う方もいるでしょう。
次に、共益費の会計処理について確認していきます。
家賃と同じ扱いでOK
共益費の勘定科目は、基本的に家賃と同様の科目を用います。
「売上」「受け取り家賃」「雑収入」「不動産所得」「支払家賃」を使って仕訳をしましょう。
会計上は同じ扱いになりますが、共益費を家賃に含めず分けて管理した方が入居者募集時に効果があったり、メンテナンス費用として管理できたりするなど、メリットが多いです。
個人と法人で異なる「勘定科目」
「勘定科目」とは、取引の内容をわかりやすく仕分けるために複式簿記で使用されており、出入りするお金の名目を指します。
主な項目は「資産」「負債」「収益」「費用」「純資産」の5つとなり、家賃収入の仕訳は個人と法人で勘定科目が異なります。
個人と法人の家賃収入の仕訳について解説しましょう。
・個人のケースについて
20万円を超える収益があった場合、個人であっても確定申告が必要になります。
個人の場合、家賃収入は基本的には「不動産所得」として計上しますが、不動産業をメインにしているか・いないかで2つに分けられます。
1つは、不動産経営を本業としている場合、もう一方はサラリーマンなどが副業で賃貸経営を行っている場合です。
不動産経営をメインとしている個人事業主は、法人と同じく家賃は事業所得の「売上」として計上します。
副業の場合は「不動産所得」になるので注意しましょう。
・法人のケースについて
法人が賃貸経営を行っている場合、不動産経営とそれ以外の業種で仕訳が異なります。
本業が不動産経営なら「売上」、その他の業種の場合は、「受取家賃」または「雑収入」として計上します。
共益費の仕訳例
共益費や管理費は実際どのように仕訳できるのでしょうか。
ここでは、共益費・管理費の仕訳例を、収入があった時と支払い時に分けて説明します。
収入時の勘定科目は、本業で不動産経営をしているかどうかで異なります。
【収入時】銀行振り込みで70,000円の家賃収入と共益費7,000円を受け取った場合
・不動産経営の法人
借方:普通預金77,000円
貸方:売上77,000円
不動産経営を本業としている場合、共益費・管理費は売上として計上されます。
・不動産経営以外の法人
借方:普通預金77,000円
貸方:受け取った家賃77,000円
不動産経営を本業としていない場合、受け取った家賃の勘定科目を使います。
・個人の場合
借方:普通預金77,000円
貸方:不動産所得77,000円
・個人事業主の場合
借方:普通預金77,000円
貸方:売上77,000円
個人事業主の場合も、不動産経営をメインとする法人と同様の仕訳になります。
【支払い時】家賃50,000円と共益費5,000円を支払った場合
借方:支払家賃55,000円
貸方:普通預金55,000円
基本的に、借方と貸方が同じ金額になります。
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水道代込みの共益費を支払ってもらえない!対処法を解説
水道代込みの共益費は入居者にとってメリットは多いですが、必ずしも支払いがスムーズに行われるとは限りません。
入居者によっては家賃同様、共益費も支払えず滞納するケースも考えられます。
滞納が原因で利用が制限されるようなことがあれば、入居者全員に影響が出てくるでしょう。
また、長期間にわたって滞納が続いている場合、それに気づいた入居者間で不公平感が生じたり、トラブルに発展したりするケースも考えられます。
そういったリスクに備えて、ここでは共益費を支払わない入居者への対策方法についてご紹介します。
口頭や書面で支払いを請求する
まずは共益費を滞納している入居者に対して直接訪問をし、滞納分の支払い請求を行いましょう。
直接会うのが難しければ、書面を通して伝えても良いでしょう。
もし、たまたま支払いを忘れていたのであれば、すぐに対応してくれる可能性が高いです。
直接訪問しても、書面でもなかなか対応してくれなかったり、無視されたりする場合もあるでしょう。
大家さんの名前で支払いに応じない場合でも、弁護士の名刺や弁護士からの滞納の知らせを受け取ることで法的措置を感じて支払いに応じる場合もあります。
相手にされない場合、弁護士に相談することも検討しましょう。
裁判所の手続きを活用する
口頭や書面でお願いしても支払いに応じてくれない場合は、裁判所による手続きを活用しましょう。
滞納した共益費を回収する手続きには、支払督促・少額訴訟・民事調停・通常訴訟があります。
それぞれどのような手続きになるのか確認していきましょう。
・支払督促
支払督促とは、支払いをしない入居者に対して、債権者の申し立てを受けた簡易裁判所が支払いを命じる督促状を送付する手続きを指します。
支払督促は、郵送やオンラインでも申立書の対応を受け付けているので、裁判所まで行く必要もありません。
通常の訴訟と比べて簡単な手続きなので費用も安く済みますが、相手から異議申し立てがあった場合は通常訴訟に移行し、裁判所への出廷が必要になるケースもあります。
・少額訴訟
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払い請求を目的とした訴訟で、少額の債権を持つ方に適した訴訟です。
簡易裁判所を通じて行われ、申立て費用も安く、手続きにかかる期間も短いので利用しやすいでしょう。
原則1回の審理で決着をつけるので、即日判決が言い渡されます。
しかし、相手側から通常訴訟を希望された場合は利用できない制限があるので注意しましょう。
・民事調停
民事調停とは、裁判所という場を通して解決することを目的に当事者同士による話し合いをすることを指します。
法的な知識がなくても利用することができ、通常訴訟と比べて費用が安く、解決までの時間がかからない部分はメリットと言えるでしょう。
また、民事訴訟は非公開で行われるため、プライバシーも保護されます。
しかし、相手側が繰り返し欠席したり、双方の合意がなければ解決が難しかったりするなど、解決に時間がかかるケースも考えられます。
・通常訴訟
確実に債権を回収したい場合には、通常訴訟を利用しましょう。
しかし、最も労力がかかり、時間と費用がかかる手段でもあります。
滞納費をどの方法を使って回収するのかは、トータルの金額や相手の状態・対応、証拠をもとに総合的に判断していきます。
なるべく時間と費用を掛けないためには、滞納の兆候を感じたら早めに対処を取るなど日頃から注意しておくと良いでしょう。
遅延損害金を導入しておく
遅延損害金とは、支払うべき料金を期日までに返済できなかった場合に発生し、支払い金額に上乗せされて請求されるものです。
賃貸損害金は滞納している金額にかかってくるので、滞納期間が長くなるほど支払い金額も大きくなります。
この遅延損害金をあらかじめ共益費に滞納した場合に設定しておく方法があるので利用しましょう。
共益費の遅延損害金は利息制限法による規制はなく、高い利率を設定が可能です。
しかし、高すぎる利率は公序良俗違反を問われる場合もあるので、年10~18.25%間の利率を採用すると良いでしょう。
共益費は他の支払いより後回しにされやすいので、高い利率で遅延損害金を設定し、支払い遅延をなくすよう工夫すると良いでしょう。
賃貸借契約の解除を検討する
賃貸借契約の内容に共益費の支払い義務があり、半年以上にわたって共益費が支払われない場合、両者間の信頼関係が破綻したという理由で賃貸借契約を解除することができます。
契約解除後も退去しない場合には、家賃だけでなく、共益費相当分についても損害賠償請求が可能です。
証拠として意思表示がわかる文書などは保管しておきましょう。
今回は、共益費に水道代を含めた場合について、メリットや注意点などを詳しくご紹介しました。
共益費に水道代を含める方法は、入居者にとって魅力的な物件として映るので、空室対策の1つとして有用でしょう。
しかし、メリットが多い反面、ポイントを押さえていなければ賃貸経営の収支に影響が出てしまう可能性があります。
この記事を参考に、共益費に水道代を含めるかどうか慎重に検討してみてください。