不動産

建物の安全性に欠かせない!「基礎工事」の役割や種類、施工の流れを解説

基礎工事は安全性の高い建物を建築する上で欠かせない工事の1つです。
とはいえ、建築後は外から見えないこともあり、あまり基礎工事の種類やメンテナンスについてきちんと理解できていない方もいるでしょう。
そこで今回は、基礎工事とはどのようなものなのか、種類や相場、工事の流れなどを詳しく解説していきます。
また、基礎部分のメンテナンスや注意すべきポイントも紹介しているので、これから物件の建設を考えている方はもちろん、既に物件経営をしている方もぜひ最後までお読みください。

Contents

建物における「基礎部分」の役割

基礎工事

地震大国でもある日本では、建物の基礎部分は非常に重要な役割を担っています。
ここでは、建物における基礎部分の役割について詳しく解説します。

建物における基礎工事とは

基礎とは、住宅やマンションなどの建物を安定させる土台となる部分です。
基礎は、建物の重さや地震の揺れを地盤に伝えることで、建物の一部分だけ沈み傾いてしまう不同沈下を防ぐほか、降雨時の水や地表の湿気から建物を守る役割を持っています。

どれだけ地震の揺れに強い建物を建てたとしても、基礎がしっかりしていなければ意味がないほど、建物にとって基礎は重要な部分です。
主にコンクリートと鉄筋が使われており、建物の建築工事では最初に基礎を作ります。
底盤や立上り、地中梁や杭などで構成されており、これら基礎を作る工事をまとめて「基礎工事」と呼びます。

基礎には寿命がある

基礎は建物にとって欠かせないものであり、基礎がしっかりしているほど建物は長持ちします。
鉄筋コンクリートによって作られているため、一見すると非常に丈夫なイメージがあります。
しかし、実は基礎にも寿命があり、基礎だけを後から作り直すというのは非常に難しいです。

そのため、基礎工事を行う際は事前にしっかりと計画を立てて施工すること、また定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
なお、基礎工事のメンテナンスについては後ほど詳しく解説します。

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基礎工事の種類

基礎工事

建物にとって非常に重要な基礎ですが、工事は大きく分けて「杭基礎」と「直接基礎」の2種類あります。
ここでは、それぞれの基礎工事についてお伝えします。

杭基礎とは

杭基礎は、地中の深くまで細長い杭を打ち込む基礎工事のことで、建物直下の地盤があまり強くない場合に採用されます。
杭基礎工事では支持層まで穴を掘って直接杭を打ち込むため、大きな建築物に採用されることも多く、耐久力が高い点も特徴です。

以下では、杭基礎の種類や特徴をご紹介します。

場所打ちコンクリート杭工法

場所打ちコンクリート杭工法には、大きく分けて人力と機械の2種類あります。
場所打ちコンクリート杭工法のメリットは、騒音や振動を抑えて工事ができることです。

杭の寸法やコンクリート強度などの組み合わせによって、効果を設定することも可能です。
ただし、掘削した土砂や泥水、掘削した穴の処理が必要となるデメリットも存在します。

また、杭周辺や先端部分の地盤が緩むこともあるため注意が必要です。

既製コンクリート杭工法

既製コンクリート杭工法は、工場などで作られた杭を地中に差し込む工事方法です。
一般住宅など比較的規模の小さい建物で採用されています。
施工事体はそれほど難しくないため、基礎杭工法の中では一般的な工法と言えるでしょう。

なお、既製コンクリート杭工法を行う場合、杭が長すぎないこと、大きな支持力を必要としないことが重要です。

直接基礎とは

直接基礎は、コンクリートを地中に流し込み基礎を作る方法です。
建物直下の地盤が強く硬い場合に採用されています。

以下では、直接基礎の3つの工法について詳しく解説します。

独立基礎工法

独立基礎は、建物を支える基礎がそれぞれ独立している工法です。
基礎工事の中でも最もシンプルな方法で、一定間隔に堀った穴へコンクリートブロックなどを置いて基礎とします。

ウッドデッキや小屋など比較的軽量の建築物ではよく使われています。
住宅建築ではあまり採用されることは少ないものの、地盤の強い場所であれば住宅にも対応可能です。

基礎工事の中で最もコストがかからない方法です。

ベタ基礎工法

建物の床一面にコンクリートを流し込み、面で支える基礎工事で、現在の主流とも言える工法です。
ベタ基礎の特徴として安全性が高いこと、害虫や腐食被害に強い点が挙げられます。

ベタ基礎は建物を底面で支え、地震の揺れや不同沈下に強いことから、安全性が高いと言われています。
また、ベタ基礎は家の床と基礎部分が密着しているため、シロアリが入り込む隙間もありません。
さらに、湿気も溜まりにくい作りとなっているため、建物が腐食しにくく害虫や腐食被害に強いと言われています。
ただし、ベタ基礎はコンクリートで覆う範囲が広いため、他の基礎工事に比べてコストがかかるというデメリットも存在します。

布基礎工法

土台が乗る立ち上がり部分に配筋し、コンクリートで基礎を作る方法です。
1990年代以前に建てられた家のほとんどで取り入れられていた基礎工事の工法です。
布基礎はベタ基礎と違い、床面すべてにコンクリートを流す必要がないため、その分コストを削減することが可能です。
ただし、ベタ基礎に比べると耐久性が劣るため、現在は地盤が強い土地以外では採用されることは少ないです。

また、床下に湿気が溜まりやすいため、腐食やシロアリ被害を受ける可能性があります。

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基礎工事前に地盤調査は必要?

基礎工事

地盤調査とは、建物を建てる前に地盤がどの程度の重さに耐えられるのか調べることです。
ここでは、地盤調査について詳しく解説します。

地盤調査は法律で義務付けられている!

一見硬く強いように見える地盤でも実は軟弱なこともあるように、地盤の強さは調べてみないとわかりません。
万が一軟弱な地盤の上に家を建ててしまうと、地震が起きた際に液状化したり、家の重さに耐えきれず家が傾いたりする可能性があります。
そのため、家を建てる際は沈下に抵抗する地耐力を持っているのか、調べることが建築基準法によって定められています。

地盤調査の方法は?

戸建て住宅ではSWS(スクリューウエイト貫入試験)試験、マンションなどの大規模な建物ではボーリング調査が一般的です。
SWS試験では、先端がスクリュー上になった棒を使って地盤を調査します。
他の調査法に比べて比較的コストを抑えて地盤を調べられる点がメリットです。

ただし、調査規模によっては正確性が確保できないため、マンションなどの地盤調査には向いていません。
一方、ボーリング調査では数十メートルほどを堀って、採取した土や地下水位の深さ、土層の構成などを詳しく調べます。
SWS試験に比べてより詳しく地盤調べられますが、コストや時間がかかるのが難点です。

地盤に問題があるとどうなる?

軟弱な地盤に賃貸物件を立てた場合、建物の重さに耐えきれず家が傾いたり、地震の揺れによって液状化現象が起きたりする可能性があります。
また、壁や基礎にひびが入ったり、窓やドアの開け閉めがしにくくなったりするなどの問題も起こることがあります。
万が一所有する物件でそのような問題が起きれば、入居者とのトラブルや新たな入居者が見つからないなどで経営に支障をきたすことも考えられるでしょう。
そうなれば物件としての資産価値は下がり、売却しようにも買い手が見つからないといった事態も起こり得ます。

地盤調査の流れ

どのような基礎工事をするか決める上でも地盤調査は重要です。
以下では、地盤調査の流れを解説します。

問い合わせ

どのような建物を建てるのか、ある程度プランが決まったら地盤調査について問い合わせをしましょう。
調査には周辺地図や配置図のほか、平面図や重量などがわかる書類が必要です。

基本的に調査の依頼は不動産会社やハウスメーカーがしてくれるので、お任せすると良いでしょう。
以前に地盤調査をしたことがある場合はその結果も添付します。

現地調査

地盤調査前に現地調査を行います。
現地調査では作業環境や周辺の土地の状況を確認し、地質の想定をします。

見積もり

現地調査の内容や提出した資料をもとに、作業内容や調査箇所、所要時間を検討します。
その後、費用の見積もりを出してもらいます。

地盤調査

工事内容や見積もりに問題がなければ、地盤調査を行います。
SWS試験であれば半日程度、ボーリング調査は数日~数週間程度かかります。

調査結果の報告

調査完了後、地盤調査の結果報告書を受け取ります。
軟弱地盤であることが発覚し、地盤改良が必要な場合、どのような工事をすれば良いのか、工法を提案してくれます。

調査結果をもとに、必要な基礎工事を行いましょう。

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基礎工事の相場はどれくらい?

基礎工事

基礎工事をする上で気になるのは、どのくらい費用がかかるのかという点です。
ここでは、基礎工事の相場や金額が変動する理由を解説します。

基礎工事の相場とは

基礎工事の相場は、1㎡あたり12,000円~4万円です。
1坪あたり約4万~13万円と言われていますが、建築する建物が広ければ広いほど、基礎工事の相場も高くなります。
一般的に、総工費の7~10%程度が基礎工事の相場と覚えておくと良いでしょう。

コンクリートの単価

使用するコンクリートの単価は、1立方メートルあたり約16,000円前後です。
ただし、生コンクリートは配合する素材の割合によって単価が変動します。
コンクリートは、どの基礎工事をするとしても必要になります。
どのくらい量を使うかによって費用も変わるため、後で慌てないためにも見積もりをしっかり確認することが大切です。

鉄筋の単価

鉄筋の単価は1kgあたり100~160円前後と言われていますが、原料価格の変動もありその時々によって変わります。
また、生コンクリートもそうですが、施工現場の地域やエリアによっても変わるため注意が必要です。

基礎工事の相場価格が変動する要因とは

基礎工事の価格は、「建物の種類」「土地や地盤の状態」「地理的な条件」「材料費や人件費」によって変動します。
以下では、それぞれの要因について詳しく解説します。

要因①建物の種類

基礎の上にどんな建物を建築するかによって、基礎工事の単価は変わります。
基礎は建物の荷重を支える非常に重要な存在のため、建物の重さや構造によって必要な基礎も異なるからです。
例えば、一般的な木造住宅の場合、平屋と二階建てでは基礎にかかる荷重も異なります。
構造に軽量鉄骨や鉄筋コンクリートを使用すれば、さらにかかる荷重は重くなります。
基礎は建物の重さに耐えられるように作らなければいけません。
したがって、基礎を強固にすればするほど、基礎工事の単価も高くなります。

要因②土地や地盤の状態

2つ目の要因は、土地や地盤の状態です。
施工する地域や地盤によって、採用する基礎工事は変わります。
例えば、地盤が固く強い土地なら低コストで施工できる布基礎を採用することが可能です。
しかし、軟弱な地盤の場合、布基礎はできないため、コストの高いベタ基礎を行うことになるでしょう。
また、基礎工事以前に地盤に不安がある場合、強度を高めるために地盤改良工事が必要です。
さらに、土地が低く水はけが悪かったり、土地が傾いていたりと造成工事が必要になれば、その分費用は高額になります。

要因③地理的な条件

基礎工事を行う地理的な条件によっても、かかる費用は変動します。
例えば施工現場周辺の道路が狭い場合、工事に必要なトラックや工事用車両が通行できないことがあります。
そうなると、資材や機材を運搬するために、小さい車両で何度も往復しなければならず手間がかかるため、費用が高額になりやすいです。

要因④材料費や人件費

工事の相場が変動する要因として、材料費や人件費なども上げられます。
基礎工事に必要なコンクリートや鉄骨などは、原材料価格によって変わります。
特に、生コンクリートは材料費に加えて、仕入れ先の地域やエリアによっても変動するため、一概には言えません。

また、工事する規模が大きければその分人材費もかかります。
最近は人材不足により人件費が高騰することもあり、基礎工事の費用相場に大きな影響を与えています。

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基礎工事の流れを把握しておこう

基礎工事

住宅の土台となる基礎部分において重大な欠陥を見落とさないためには、基礎工事の流れについてもある程度把握しておくことが大切です。
ここからは、一般的な基礎工事の流れを解説していきます。

地盤調査

基礎工事を始める前に地盤調査を行い、どの工法を用いるかを決める必要があります。
建物がどの程度の重さに耐えられるか、また沈下への抵抗力などを調べます。
特に新築の場合は地盤調査自体が初めての可能性もあるため、念入りに調査します。

施工業者には、引き渡しから10年以内に不具合や欠陥が見つかった場合に責任を負う「瑕疵担保責任」というものがあり、それに申し込む上でも地盤調査が必要です。
地盤調査の結果、問題がなければ土地や建物に適した基礎工事の準備に取りかかります。
もし地盤の強さに問題があった場合は、地盤改良工事を行ってから基礎工事の作業に入ります。

地縄張り・遣り方工事

地盤調査を行って基礎工事の工法が決まれば、地縄張りと遣り方工事に入ります。
地縄張りとは、建物の位置を確認するために縄やビニール紐などを張る作業です。
遣り方工事は、図面に載っている建物の位置や基礎の高さといった情報を、木の杭などを使って実際の敷地に写す作業になります。

切削工事

地縄張りと遣り方工事によって基礎の正確な位置が決まったら、パワーショベルなどを使って切削工事を行います。
土留め工事や排水工事などと同時に行うために数回に分けて作業を進め、基礎の底となる地盤まで掘り下げます。
基礎工事の中でも特に時間のかかる工程で、切削工事中に既存の配管などが発見された場合には、手掘りなどの対応が必要になってさらに日数と費用がかかります。

砕石敷き

切削工事が完了したら、基礎を配置する地面に砕石を敷き詰めていきます。
砕石を敷き詰めた後は転圧機を使って地盤をしっかりと押し固め、建物の負荷による地盤沈下を防ぎます。

捨てコンクリート流し

砕石を敷いて地盤を押し固めたら、その上に防湿シートを敷き、基礎の外周部分に捨てコンクリートを流し込みます。
捨てコンクリートとは、実際に建物が建てられる位置を確認するためのものです。
建物の強度には直接関係ないため必須というわけではありませんが、職人が作業をしやすくする上で大切な作業です。

配筋

配筋とは、基礎となる鉄筋コンクリートに必要な鉄の棒を図面に沿って組み立てていく作業です。
基礎の強度や寿命に直接関わる重要な工程の1つで、建築基準法では配筋に関して多くの基準が設けられています。

コンクリートの打設

配筋が完成したら型枠を組み、建物の構造材料と基礎をつなぐ金属製の部品であるアンカーボルトを設置していきます。
アンカーボルトの設置後は、いよいよコンクリートを流し込む作業です。
型枠にコンクリートを流し込む作業を、一般的にコンクリート打設と言います。

コンクリート打設の完了後は、コンクリートが乾燥するまで数日置いて養生します。

型枠を外して仕上げ

養生期間が終わったら型枠を外して、コンクリートにひび割れなどの初期不良が起きていないか確認します。
コンクリート打設時にアンカーボルトがずれたり曲がったりしていないか、といったところも大事なチェックポイントです。
仕上がりに問題がなければ、個々で基礎工事はすべて完了となります。
工事中、何か気になる点があれば、その時点で業者に確認するか自身で画像を撮影しておくと良いでしょう。

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基礎部分も定期的なメンテナンスが必要!

基礎工事

建物のメンテナンスというと屋根や外壁などがまず思い浮かびますが、実は基礎部分も定期的なメンテナンスが必要です。
ここでは、基礎部分に定期的なメンテナンスが必要な理由と、どんな症状が起きていたら補修工事が必要なのかを解説していきます。

基礎部分を劣化させる原因

建物の基礎部分に定期的なメンテナンスを必要とする理由は、以下の様々な要因によって起きるひび割れにあります。

・気温の変化
コンクリートは温度が急激に低下すると縮む性質があり、縮む際に発生する力がコンクリートの引張強度を上回った場合、ひび割れが起きます。
特に、夏場に施工された基礎などによく見られる現象です。

・乾燥による収縮
基礎にひび割れが起きる要因として最も多いのが、乾燥収縮です。
コンクリートに含まれる余剰な水分が乾燥によって蒸発し、収縮することで微細なひび割れが生じます。
風通しの良い箇所に発生しやすく、コンクリート打設の初期段階で現われ始めます。
コンクリートの特性上、乾燥収縮はやむを得ない現象とされています。

・コンクリートの経年劣化
コンクリートの性質は水酸化カルシウムを多く含むことから、強アルカリ性です。
しかし、吸水性が高いこともあって雨や大気中の二酸化炭素に長期間さらされると、水和反応を起こして中性へと変化していく現象が発生します。
コンクリートが中性化することで鉄筋が錆びて膨張し、ひび割れが生じてきます。

・地震
よほど大きな地震でなければ、深刻なひび割れが起きる可能性は低いです。
万が一地震の後に大きなひび割れが見られた場合は、基礎に何らかの問題が生じていると考えられます。

・施工不良
基礎を施工する際に、コンクリートのかぶり厚さが薄かったり、強度が不足していたりするなど、何らかの問題があった場合もひび割れが発生する可能性があります。

・不同沈下
不同沈下は、地盤が弱い土地に立つ建物で起きる可能性のある現象です。
建物が傾いて特定の箇所にだけ大きな荷重がかかると、深刻なひび割れが発生し、程度によっては建物が倒壊する危険性も孕んでいます。

補修工事が必要なひび割れとは?

すべてのひび割れがすぐに深刻な状況につながるわけではありませんが、基礎に以下のようなひび割れや症状が見られる時は補修工事を検討しましょう。

・水平方向に入っているひび割れ
建物の基礎に入る水平方向のひび割れは配置された鉄筋に沿ったものが多く、そのほとんどはコンクリート内部にある鉄筋の錆びが原因です。
錆びによって膨張した鉄筋がコンクリートを内側から押している状態で、縦方向のひび割れよりも雨水を受け止めやすい分、基礎の劣化が早く進んでしまいます。

・幅0.3mm以上、深さ4mm以上のひび割れ
緊急性の低い小さなひび割れをヘアークラックと言うのに対して、幅が0.3mm以上、深さが4mm以上のひび割れを「構造クラック」と言います。
基礎に構造クラックが見つかった場合は、劣化の影響がコンクリート部分だけでなく、内部の鉄筋にも及んでいる可能性が高いです。
そのまま放置していると、基礎が破損して建物が傾く危険性があります。

・1箇所に集中している細かなひび割れ
細かなひび割れが1箇所に集中している場合は、部分的な地盤沈下や建物の傾きなどで、基礎にいびつな負荷がかかっていることが考えられます。
地盤沈下や建物の傾きは、少しずつ悪化していくことがほとんどで、自然に回復することはありません。
傾きが悪化するにつれて、基礎の一部にかかる負荷が増していき、基礎の破損へとつながります。

・雨染みができている
基礎のコンクリート部分に雨染みができている場合は、高確率で水が内部まで侵入しています。
内部に水が入り込んで鉄筋が錆びると、基礎の強度が大きく損なわれてしまいます。
雨染みは爆裂現象が起きる前兆とも言えるため、早めに補修工事を行うことを推奨します。

・基礎コンクリートが剥がれている
基礎コンクリートの剥離や剥落は、「爆裂現象」と言われるものです。
内部の鉄筋が錆びて膨張したことで、コンクリートが押し出されて剥がれ落ち、鉄筋が剥き出しになったり、ひびの周りが細かく割れたりします。
放置しているとひび割れが大きくなるだけでなく、建物が傾く危険性も高くなるので早急な補修工事が必要です。

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基礎部分の補修・補強したい場合はどうする?

基礎工事

基礎部分にひび割れなどの劣化が見られる場合は、補修や補強工事が必要です。
基礎の補修や補強工事は、劣化の状況や目的によって増し打ち・補修工事・補強工事・打ち直しといった4つの方法に大きく分けられます。
以下より、それぞれの特徴や費用の相場をご紹介していきます。

基礎の弱い部分を増し打ち

基礎が弱い部分のみを補強するには、「基礎の増し打ち」という方法があります。
基礎の増し打ちとは、既存の基礎の外周に追加の鉄筋コンクリートを打って補強する方法で、「抱き基礎」とも言われます。
古い建物では、無筋のコンクリート基礎であるケースも多く、増し打ちを行うことで鉄筋コンクリートによる基礎強度の向上が期待できます。
弱い部分のみの施工ということもあって、基礎を打ち直す方法よりは費用を抑えられるところが利点です。

ただし、基礎の劣化状況によっては、増し打ちでは対応できないこともあります。
基礎の増し打ち工事にかかる費用は、施工範囲にもよりますが50万~150万円が相場です。

ひび割れ部分の補修工事

基礎の中に今後、耐震性や耐久性に悪影響が出る恐れがあるひびが見られる時は、基礎の補修工事が行われます。
基礎の補修工事とは、問題のあるひびにエポキシ樹脂を注入し、その上からモルタルなどを塗って目立たなくさせる方法です。
雨水が入り込まないように隙間を埋めることで、これ以上基礎が劣化することを防げますが、ひびを補修するだけなので基礎の強度が向上するわけではありません。
あくまでも基礎の劣化を遅らせるためのケアとなります。

費用の相場は、数万~20万円程度と比較的安価です。

耐震性を向上させる補強工事

基礎のひび割れがある時に行われることが多いのが基礎の補強工事です。
ひび割れを樹脂で埋め、その上に特殊な樹脂やアラミド繊維などで作られたシートを貼り付けて、表面を仕上げれば完成です。
シートを貼り付けることで基礎が劣化しにくくなるだけでなく、耐震性が向上する効果も得られます。

工事費用は施工範囲にもよりますが、50万~150万円が相場です。

補修や補強で対応できない場合は基礎の打ち直しも

築年数が長くなったことで基礎が劣化した場合や、より耐震・耐久性を高めたい場合は、基礎そのものを作り直す「打ち直し」も検討しましょう。
基礎の打ち直しの一例としては、既存の布基礎からベース部分にも配筋を行って底面と立ち上がり部分を一体化させるベタ基礎に打ち直す、無筋基礎から有筋コンクリートに打ち直すなどの方法があります。
施工期間や費用は最もかかりますが、基礎を新しく作り直すことで耐震性が向上するのはもちろんのこと、基礎が原因の建物の傾きも解消できます。

工事費用は建物の規模によりますが、数百万円単位で見積もっておきましょう。

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基礎工事を行う上で注意すべきポイント

基礎工事

基礎工事で失敗しないためには、大まかな工程や作業内容を把握した上で工事現場に足を運び、以下のポイントを確認しておきましょう。

地縄張りが正しく行われているか

建物の位置を確認するための地縄張りが、しっかり図面と同じ向きや形で行われているかどうかチェックしてください。
地縄張りが図面どおりであっても、稀に隣の建物との間隔や駐車スペースが十分でないこともあるので注意が必要です。

図面だけではわからない部分も、しっかりと確認することが大切です。

適切な配筋ができているか

鉄筋が適切に配置されているかどうかは、基礎の耐久性に大きく影響します。
配筋の工程においては、鉄筋の本数は図面通りか、コンクリートのかぶり厚さは十分かがチェックポイントです。

コンクリートのかぶり厚さとは、鉄筋からコンクリート表面までの厚みのことを言います。
建築基準法では、基礎部分のかぶり厚さについて、地面と鉄筋の間が60mm以上、型枠と鉄筋の間が40mm以上とされています。
かぶり厚さが適切であれば、鉄筋は外の影響を受けることなく長持ちします。
反対に、かぶり厚さが基準よりも薄いと鉄筋は外の影響を受けやすくなり、早期の劣化につながります。

アンカーボルト設置されているか

基礎と土台をつなぎ止める役割を担うアンカーボルトがきちんと設置されているかも確認しましょう。
基礎づくりにおいては、コンクリートを打つ前に土台のつなぎ目部分や柱の下にアンカーボルトを設置する必要があります。
また、アンカーボルトの間隔は住宅金融支援機構の基準で2.7m以内と定められています。
アンカーボルトは、コンクリートが固まってからだと手直しできないため、アンカーボルトが設置された段階で、基礎の中心に真っ直ぐ埋め込まれているか、正しい間隔が守られているかを確認してください。

基礎は普段目に付きにくく地味な存在ですが、建物全体の荷重を支える重要な役割を担っています。
屋根や外壁などと同様に、気温や湿度、乾燥、経年といった様々な要因によって劣化してくるため、定期的なチェックとメンテナンスが必要です。
基礎の劣化を放置していると、耐震性や耐久性が低下したり、建物が傾いたりしてしまう恐れがあります。
もし基礎部分にひび割れが見られた場合は、程度に合わせて適切な方法で補修を行いましょう。
また、基礎工事を依頼する際は、豊富な知識と実績を持ち合わせた信頼できる業者を選ぶことが大切です。

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