賃貸物件には様々な設備があります。
壊れてから直せば良いという考えだと、突然「お湯が出ない」「蛇口から水が止まらない」などのトラブルが発生する危険性があります。
設備交換や修理が完了するまでの期間はお風呂に入れない、料理ができないとなると心象が悪くなって退去を希望されかねません。
しかし、どのタイミングで設備交換をすべきかわからない方も多いでしょう。
そこで今回は、設備の交換時期やポイント、交換にかかる費用相場などをご紹介します。
Contents
賃貸物件の各設備を交換する際のポイント
賃貸物件ある設備の多くは10年前後で交換が推奨されていますが、使用状況や頻度、扱い方などによって耐用年数よりも短くなることもあれば、長くなることもあります。
まずは、設備ごとの交換ポイントをご紹介しましょう。
ビルトインコンロ
耐用年数を超えたコンロの使用を続けていると火災の発生につながる危険性があるため、以下のような不具合を感じたら早めに交換を検討しましょう。
また、不具合がなくても耐用年数を超えているのなら交換がおすすめです。
ビルトインコンロにみられる不具合や交換のサイン
ビルトインコンロで発生しやすい不具合は、主に3つです。
・すぐに火が消える
点火直後に火が消える原因として電気切れや点火部の汚れ、バーナーキャップの傾きなどが考えられます。
電池交換や掃除などをしても現状が回復しない場合には、故障の可能性があります。
・炎が青色ではない
コンロの炎は青色であることが一般的です。
もし、赤色や黄色、オレンジ色になっているのなら不完全燃焼が起きている可能性が考えます。
一酸化炭素中毒の原因となるので、炎の色がいつもと違うと感じたらすぐに火を止めて、耐用年数を確認しましょう。
・使用中にガスの臭いが発生する
コンロ使用中にガスの臭いがする場合は、ガスが漏れている可能性があります。
ガス爆発が発生する危険があるため、ガス臭さがあればすぐに火を止めてください。
経年劣化によりガス漏れの発生リスクが高まりやすいため、耐用年数をオーバーしているのなら早めに交換を検討しましょう。
交換費用を少しでも抑えるには?
ビルトインコンロ本体の費用は7~10万円、そこにプラスして交換・取り付け費用が1~2万円ほどかかります。
費用を少しでも抑える方法として、ネットショップを活用、本体代と工事費がセットになったプランを選ぶ、店舗のセール時に購入するなどがあります。
また、複数の業者から見積もりをもらって費用を比べることも大切です。
レンジフード
レンジフードはどのタイプを使用しても、そこまで大きな違いはないと感じる方も多いですが、実は種類によって特徴が異なります。
レンジフードのタイプ別でみられる特徴
レンジフードは、以下の3つのタイプがあります。
・カバーがない型
プロペラの形をした換気扇が壁に取り付けられた、カバーがないタイプです。
壁にダイレクトに取り付けられているので、外気温の影響を受けやすいです。
・カバーがある形(ブーツ型)
大きなカバーで覆われたタイプで、ブーツ型と言われています。
壁に取り付けられたプロペラ型の換気扇の上に、カバーを後付けできる種類もあります。
・スリム型
インテリア性の高さと手入れの楽さから、現在人気が高まりつつあるタイプです。
壁付け・横壁付け・天吊など様々な取り付けが可能なので、キッチンを選ばずに設置が可能です。
レンジフードの交換時に気を付けたいこと
レンジフードの交換時には、高さに注意しましょう。
特にブーツ型からスリム型へ変える際、ブーツ型は手前が切りあがっていたり、スリム型よりも奥行きが狭かったりなどするため、設置後に不便さを抱く可能性があります。
事前に大きさを測って、頭上がぶつからないかを確認してから設置してください。
ビルトイン食洗機
ビルトイン食洗器とは、シンク下やキャビネットなどのキッチン下に設置する食洗器で、日々の家事負担を軽減してくれる設備です。
ここからは、メーカーごとのタイプや交換の費用相場などをご紹介します。
食洗機の様々なタイプ
・スライドオープン
スライドオープンとは、食洗器の扉を手前に引っ張る引き出しタイプの食洗器です。
ボックスのような形をしており、上から食器を入れるのでわざわざしゃがむ必要がありません。
また、使用する水量が手洗いの約10%と、省エネ効果も期待できます。
・フロントオープン
扉が90度開いて、食洗器のカゴを手前に引き出すタイプをフロントオープンと言います。
どの角度からでも食器を入れやすく、大きい鍋や大量の食器を一度に洗える収納力が特徴です。
交換にかかる費用相場
メーカーによって本体価格は異なりますが、Panasonic製品だと工事費込みで14万~26万円ほどになります。
また、Rinnaiであれば11万~16万円、三菱電機なら9~12万円ほどを目安としましょう。
ただし、食洗器の容量が大きいほど本体価格は高くなり、既存の食洗器の形によっても工事の内容は変わってくるので、業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。
蛇口・水栓
蛇口は、交換場所や形などに合わせて適合タイプを選びます。
ハンドルを動かしても水が止まらない、水漏れが発生しているなどの不具合が発生したら、修理か交換を検討してください。
蛇口の種類を確認しておく
蛇口の種類は使用場所によって異なるため、事前に確認しましょう。
例えばキッチン用は、穴の数が異なるワンホールタイプ・ツーホールタイプ、壁付きタイプの3種類です。
浴室用は壁付きタイプと台付きタイプがあり、蛇口の取り付け場所によって変わります。
また、洗面用にはワンホールタイプ・ツーホールタイプの2種類に加え、ハンドルとシャワー部分が独立するコンビネーションタイプもあります。
タイプによっては別の種類への交換ができないものもあるので、注意してください。
蛇口・水栓交換にかかる費用相場
設置場所や種類によって費用相場は変わりますが、キッチンと浴室の蛇口交換であれば3万~4万円、洗面用なら2万~3万円で済むケースが多いです。
ただし、タッチレスや浄水器内蔵型などがついたキッチン用の蛇口・水栓は、機能によっては6万円以上することもあり、どこを重視するかで価格は変動します。
トイレ(便器)
賃貸物件の古いトイレを交換すると、空き家リスクの低減が期待できます。
水回りの清潔感を求める入居者は多く、機能性が搭載された新しいタイプへと一新すれば他物件との差別化にもつながるでしょう。
トイレ交換にかかる費用相場
トイレ交換にかかる費用や期間は、既存トイレの形や交換するトイレのグレードによって異なります。
洋式から洋式への変更なら工事費用込みで7万~45万円で、工事期間は1日のみです。
ただし、和式から洋式へ交換だと排水位置の変更や内装工事が必要になるため、必然的に工事費用が高くなり交換の費用相場は30万~75万円になります。
また、工事期間は10~20日はかかると覚えておきましょう。
交換費用を安く抑えるコツ
便器やタンクを変えずに便座のみを交換するなら、費用を安く抑えられます。
便座だけの交換なら2万~10万円ほどで済み、トイレ全部を一新しなくても便座が新しいだけで清潔感がアップするでしょう。
便座に変色や破損が見られ、機能性や美観性が失われている場合には交換を検討してください。
給湯器
お湯がぬるい、お湯になるまでに時間がかかるなどの不具合が発生したら、給湯器交換のタイミングだと言えます。
不具合を放置し続けていると入居者の生活に支障が出る可能性があるので、耐用年数を確認した上で修理か交換を検討してください。
給湯器の号数や種類をチェック
給湯器の能力は号数で表示されており、数字が多いほど使用可能なお湯の量も増えます。
単身世帯であれば10~16号、2人暮らしなら16~20号などが一般的ですが、使用するお湯の量が多い場合には大きめの号数の方が安心です。
また、アパートやマンションで使用されている給湯器のタイプは、PS標準型やPS扉内上方排気型、ベランダ壁掛型などの6種類があります。
自身のアパート・マンションの給湯器はどのタイプなのかを確認し、見てもわからない場合には管理会社へ相談するのがおすすめです。
交換費用を安く抑えるには?
給湯器の交換費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取って値段や性能を比較することです。
1社だけから見積もりをもらって即決してしまうと、その価格が相場に対して安いのか、高いのかがわからなくなるため、最低でも3社から相見積もりを取りましょう。
浴室乾燥機
近年では、浴室乾燥機があるアパートやマンションも増えています。
浴室乾燥機は基本的に既存と同じタイプへの交換となるので、まずは使用中のものが以下のどのタイプかを確認してください。
浴室乾燥機の4つのタイプについて
浴室乾燥機は大きく分けると、天井埋込タイプと壁掛タイプの2種類があります。
天井埋込タイプはその名のとおり、お風呂の天井に機器本体が埋め込まれて換気扇のカバーのみが露出しているタイプです。
また、天井埋込タイプには「電池式」と「ガス温水式」があり、電気とガスのどちらを使用するかで製品が異なります。
壁掛タイプにも「電池式浴室乾燥機」と「洗面所・トイレ用暖房機」があり、暖房機に関しては換気機能がなく、外壁の穴あけ工事が不要のため新規設置も可能です。
浴室乾燥機交換にかかる費用相場
浴室乾燥機交換にかかる費用は、工事費込みでガス式が約13万円、電気式が12万円程度になります。
浴室乾燥機は安いものだと3万円ほどで販売されているので、機能性にこだわりがなければより安い費用で交換が可能です。
ただし、浴室に換気扇がない、配線が細く電気容量が足りないなどの場合は追加工事が必要となるので、プラスで2万~4万円の支払いが発生します。
相場は12万~13万円ですが、状況によっては追加費用がかかるので15万~16万円程度を予算とすると安心です。
洗面台
洗面台の陶器部分は10~15年を目安に交換が推奨されていますが、扱いが悪いと数年でヒビ割れが発生することもあります。
毎日使用する洗面台なので、入居者が快適に使用できる環境を整えてあげましょう。
洗面台の交換にかかる費用相場
洗面台の交換には、総額で大体20万円かかります。
洗面台本体の価格はグレードによって大きく上下し、安いものだと2万円、収納スペースやデザイン性などにこだわると50万円以上にもなります。
また、交換費用と既存の洗面台の廃棄費用込みで、工事費用は3万~5万円が相場です。
ただし、古い洗面台を取り外したら壁紙や床がカビだらけだったというケースは多く、その場合にはプラスで交換費用がかかります。
洗面台を交換する際の注意点
洗面台を交換する際には、設置スペースに合っているかを確認しましょう。
サイズをきちんと測らないと物を置けるスペースが狭くなった、洗面ボウルが小さくなって水撥ねがしやすいなどの不便さが発生しやすくなります。
大きすぎても小さすぎても使いにくいので、適合サイズについては業者に確認するのが得策です。
インターホン
防犯対策として重要なインターホンですが、長く使い続けていると様々な不具合が発生します。
呼び出し音が鳴らない、通話ができないなどの故障が発生したら、早急な対処がおすすめです。
賃貸物件に向いているインターホンの種類
賃貸物件におすすめのインターホンの種類は、以下の2つです。
・セキュリティ機能を搭載したタイプ
モニター機能が付いたタイプは、外にいる人の顔が確認できるため一人暮らしの方も安心です。
また、録画機能があるインターホンなら不在中に誰が来たのかがわかり、怪しい人物の顔を記録に残すことも可能です。
他にも、周囲の状況を広く確認できる広角レンズや自分の声を変えてくれるボイスチェンジャーなどの機能があるインターホンも提供されています。
・ワイヤレスインターホン
配線工事をせずに設置できるワイヤレスインターホンもおすすめです。
玄関小械は電池式、親機はお部屋のコンセントにプラグを挿すだけで使用できます。
電池式なので交換の手間はありますが、配線工事の費用がかからない点を考えるとワイヤレスインターホンのメリットは大きいです。
インターホン交換にかかる費用相場
インターホン交換には、工事費込みで2万~10万円ほどかかります。
ただし、インターホンの機能性によって価格は大きく上下し、モニターや録画機能があるタイプだと本体価格だけで1万~6万円ほどになります。
工事費用は、取り付け工事費・出張作業費・インターホンの処分費用など込みで、1万~4万円ほどです。
また、インターホンによってはコンセントの増設が必要なケースもあり、その場合は追加で費用がかかります。
より明確な金額を知るためには、業者に下見をしてもらって見積もりを出してもらいましょう。
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賃貸物件における各設備の交換時期
キッチンや浴室、トイレや洗面台など、賃貸物件に設置してある様々な設備には耐用年数があります。
耐用年数とは、一般的にものの使用可能な期間を指し、メーカーや種類によって期間に違いがあります。
耐用年数が過ぎたからといって、必ず壊れる、寿命がくるわけではありませんが、おおよその寿命として把握しておくと入居者の暮らしを守るためにも有効です。
賃貸物件における各設備の交換時期は以下のとおりです。
・システムキッチン
天板・シンクなどの本体…約10~20年
ガスコンロ・IH…約10~15年
レンジフード・食洗器・水栓…約10年
・ユニットバス…約15~20年
・トイレ…約10~15年
・給湯器…約10~15年
・洗面化粧台…約10~15年
・エアコン…約10年
長く使いたい気持ちもわかりますが、耐用年数を超えても使用し続けていると大きなトラブルを生む可能性もあります。
水栓が壊れてしまえば、水漏れが発生して最悪の場合他の設備に支障をきたす恐れもあります。
最新の設備の方が省エネ性能も良く、電気代や水道代を抑えられるので入居者の負担も減り、快適な生活へとつながります。
空室リスクを避けることにも役立つので、耐用年数を超えた設備を使用し続けるよりは、新しい設備に交換した方がメリットを受け取れる可能性が高いです。
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壊れていない設備でも交換すべき?
入居者からまだ使える設備を交換してほしいと言われた時、交換には費用もかかり、「まだ使えるから大丈夫なのでは?」と戸惑ってしまう大家さんもいるでしょう。
入居者の要望にどう対応すれば良いのか、解説していきます。
【結論】交換する義務はない
結論としては、故障していない設備なら大家さん側で交換する義務はありません。
もちろん、故障している場合は交換や修理が必要です。
たとえ古い設備であってもまだ使えるのであれば、入居者の要望に応えて交換する必要はないでしょう。
しかし、交換を断ってしまうと入居者との関係性が悪くなる危険性があります。
「過ごしにくい」「対応が悪い」などと入居者が感じてしまえば退去される可能性もあるでしょう。
その場合、入居者募集をしてもすぐに人が集まる物件であれば問題ありませんが、なかなか入居者が決まらない物件であれば、空室リスクを避けるためにも要望を聞き、設備を交換することも検討してみてください。
ただし、一度要望を聞くと「あれも交換してほしい」「これも交換してほしい」などと様々な要求をしてくる入居者も存在します。
入居者のタイプから慎重な判断をすることが望ましいです。
交換を希望するなら、入居者に費用を負担してもらう方法も提案してみてください。
新品に交換したら家賃の値上げ交渉もしてみる
設備交換はいずれ発生する事象ですが、まだ使える設備を交換するのであれば、その代わりに家賃の値上げ交渉もしてみましょう。
要望を聞けば入居者は快適な生活が手に入れられます。
しかし、費用を支払うのは大家さんです。
収入にも影響を与えるので、家賃の値上げ交渉をして設備交換のための費用を回収していきましょう。
残置物・無償貸与の設備は交換義務が発生しない
残置物とは、大家さんが設備として物件に設置したものではなく、前の入居者が設置をして引越しの際に残していったものを指します。
例えば、エアコンが元々1台しか設置していなかった物件に前の住民がもう1台設置し、そのまま退去すればそのエアコンは残置物です。
大家さんが設置したものであれば故障の際に修理や交換が必要ですが、残置物が故障した場合は前の入居者が置いていったものなので、修理は現在住んでいる人が実施しなければいけません。
無償貸与とは、前の入居者が残した設備を「そのまま使用してもいい」と大家さんが決めて取り付けてある設備を指します。
無償貸与の設備に関しても、大家さんが設置したものではないため、修理や交換をする義務はありません。
しかし、撤去のみは大家さんがするため、新しい設備に交換したい場合は現在の入居者が自腹で購入し設置する必要があります。
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入居者自身が交換するもの
賃貸物件にある様々な設備の中には、大家さんではなく入居者自身で交換しなければいけないものも多く存在します。
トラブルを防ぐためにも、契約の際に入居者にあらかじめ伝えられるよう、入居者自身で交換が必要な設備を把握しておきましょう。
電球
白熱灯や蛍光灯、LED電球など、電球といっても様々な種類があります。
物件によって使用されている電球にも違いがありますが、電球が切れた場合には入居者自身で電球を購入し、取り替える必要があります。
ただし、電球ではなく照明器具の故障によって電気が付かない場合は、大家さんが対応しなければいけません。
また、照明器具と電球が一体となったLED一体型の場合は、電球のみでの取替が不可能なので大家さん側の対応が必要です。
分電盤のヒューズ
電気の分電盤に取り付けてあるヒューズも入居者自身で交換しなければいけません。
ただし、近年はヒューズタイプの分電盤ではなく、スイッチでオン・オフが可能なブレーカータイプが浸透しています。
もしヒューズタイプの分電盤を使用している場合は、ヒューズは電気の使い過ぎによって溶けて切れてしまう可能性があることを伝え、切れた場合は自分で交換するようあらかじめ伝えておきましょう。
設備に使用する電池
賃貸物件では、様々な箇所で電池を使用しています。
・エアコンのリモコン
・給湯器のリモコン
・リモコンでオン・オフが可能な照明器具のリモコン
・インターホン
・キッチンのガスコンロ
・玄関のデジタル錠 など
電池が切れてしまった場合は、入居者自身で電池を購入し取り替える必要があります。
ただし、電池を交換しても動作しない場合は故障している可能性があるので、その場合は大家さんで対処しなければいけません。
網戸やふすま・障子の紙
網戸やふすま、障子の紙は、賃貸借契約で消耗品として分類されているので、入居者に交換の義務があります。
汚れがひどい時や破れた時には、入居者が張替えを行います。
業者へ依頼することもできますが、ホームセンターやネットショッピングで張替え用のグッズが販売されているので活用すると便利です。
費用削減にもつながるので、入居者に伝えておきましょう。
畳表
汚れや破れなどによる畳表の交換が入居者の負担区分になっていれば、大家さんではなく入居者側で交換しなければいけません。
しかし、畳の表替えのDIYは難しい作業です。
業者に依頼する必要があるので、依頼できる業者をピックアップして入居者に伝えておきましょう。
水まわりのパッキン
浴室や洗面台、キッチンや洗濯機置き場に設置してある蛇口にはパッキンが取り付けられています。
水漏れを防止するためのゴムで、パッキンが古くなると水漏れが発生してしまいます。
古くなったパッキンは交換する必要があり、消耗品扱いとなっているので入居者負担での交換となります。
交換は難しくなく素人でも簡単に取り付けられますが、難しいと感じる場合や不安な場合は業者に依頼する必要があります。
あらかじめ修理の対応をしてくれる業者を伝えておくと入居者の負担も軽減します。
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賃貸物件の設備交換は経費に計上できる?
賃貸物件における設備交換は経費に計上できるのか疑問に感じている大家さんもいるはずです。
そこで、経費に計上できるものを具体的に説明し、修繕費や資本的支出の違いについても解説していきます。
安定した不動産経営を目指すためにも、ぜひチェックしてください。
経費として計上できるもの
まずは、経費として計上できるものを解説していきます。
減価償却費
建物などの固定資産を取得した際にかかる費用を一度に計上せず、何年間かにわたり計上していく方法を減価償却費と言います。
アパートを取得した場合は、全額を一度に計上するのではなく、アパートの法定耐用年数で分割して複数年にわたって計上していきます。
美術品や土地など、時間の経過で価値が減少されないと判断されるものは減価償却には当てはまらないので注意してください。
減価償却費の計算方法については、定額法と定率法の2種類があり、取得した年月によって計算方法に違いがあります。
詳しい内容は国税庁のホームページで確認してみましょう。
修繕費
入居者が退去する際、新しく居住する入居者のための原状回復として床板の張替えや壁紙の交換が必要になります。
給湯器の修繕や交換、エアコンの設置なども修繕費に当てはまります。
ただし、資産価値を高めるために新たに設備を設置する際の費用は修繕費には含まれないので注意してください。
修繕費は、建物を原状のまま維持するために必要な費用となります。
不動産管理費
不動産を管理・維持するために必要な費用も経費にできます。
例えば、外部の業者に賃貸物件の掃除を依頼した際には、その費用は経費です。
火災報知器や消防設備の点検、浄化槽の掃除やエレベーターの点検にかかる費用も含まれます。
また、入居や退去時に発生する事務手続きや清掃作業、家賃の徴収や入居者募集のための業務なども不動産会社に依頼することが一般的です。
その場合に発生する費用も経費の計上が可能なので覚えておきましょう。
保険費用
地震保険や火災保険といった不動産にかける保険の費用も経費計上が可能です。
対象となるのは、その年の1月1日~12月31日までにかかる費用です。
数年分の保険料をまとめて支払っているのであれば、1年ごとの費用に計算して計上します。
不動産に関する税金
不動産を所有していると、以下の税金がかかってきます。
・固定資産税
・不動産取得税
・都市計画税
・登録免許税
・印紙税
これらの税金も経費の対象です。
ただし、相続税は経費に計上できません。
相続で賃貸物件を取得した場合、必要となった相続税も経費にプラスしたくなりますが、できないので注意してください。
その他
上記の他にも、経費に計上できる費用が多数存在します。
・管理会社との打ち合わせ費
管理会社との打ち合わせの際にかかった交通費や飲食費も経費に計上可能です。
領収書を忘れずに保管しておきましょう。
・勉強のための費用
不動産経営に関する勉強をしている人もいるはずです。
セミナーへの参加費用や書籍の購入費用も経費となります。
ネットで勉強した際に購入したパソコンがあれば、その費用も経費に計上できます。
・交通費
物件の見学の際に必要となる交通費も経費への計上が可能です。
バスや電車、タクシーや飛行機に加え、駐車場代や高速代も含まれます。
社用車であれば、ガソリン代や車検代、オイル交換代や任意保険料も対象です。
・新聞や雑誌の購入費
不動産に関する調査のために購入した新聞や雑誌も経費に含まれます。
修繕費と資本的支出の違い
修繕費は経費への計上が可能ですが、「資本的支出」の場合は一括経費計上できないので注意が必要です。
前述したように、賃貸物件の維持や原状回復にかかる修繕のための費用が修繕費となり、経費計上が認められています。
しかし、物件の耐久性をアップし、資産価値までもが上昇するような工事であれば、修繕費には含まれず資本的支出と判断されます。
例えば、下記項目にかかる費用は建物の寿命延長、今までにない価値が加わったとして資本的支出に当てはまります。
・物件に避難階段を設置した
・耐久性や防汚性を向上させる塗料を使用しての外壁塗装を行った
・給湯器を追い炊き機能付きのものに交換した
・以前とは違う防臭作用のある壁紙に張り替えた
・キッチンのグレードをアップする工事をした
資本的支出と判断されると、固定資産の取得原価に加算され、その後減価償却費として耐用年数に従って毎年の費用に計上されます。
修繕費か資本的支出かを判断するポイント
修繕費か資本的支出なのかを判断するポイントとしては、原状回復のための費用か資産価値を高めるための費用かによって分けられます。
しかし、中には判断することが難しい費用も存在します。
その際には、国税庁が示しているポイントで判断してください。
・工事費が20万円未満
修理にかかる費用が20万円に満たない場合は、修繕費として計上可能です。
・おおよそ3年以内の周期で実施される工事費用
修理や改良などによる工事が、おおよそ3年以内の周期で実施される工事は修繕費として扱われます。
・明らかでない場合の特例
修繕費か資本的支出か判断できない場合の特例として、下記のいずれか少ない方の金額を修繕費として計上できます。
・支出した金額の30%相当額
・固定資産の全事業年度終了時における取得価格の10%相当額
残りの金額は、資本的支出となります。
この他にもポイントが示されているので、あらかじめチェックしておきましょう。
賃貸物件の設備を交換する際のポイントや交換時期について解説してきました。
設備の種類によって交換するべき時期や費用に違いがあります。
不具合を放置すれば、より大きなトラブルが発生する危険もあります。
交換のサインや故障が発生した際には、入居者の暮らしを守るためにも迅速に交換・修理を実施しましょう。
また、設備の交換時にかかる費用は経費として計上が可能です。
その際には修繕費か資本的支出に当てはまるのかを確認しましょう。
一時的な節税効果については修繕費の方が高くなっているので、少しでも節税の効果を得たいのであれば修繕費に当てはまる工事を実施してください。
自分で判断できない場合は、修繕費の扱いに詳しい税理士に相談するなどし、適格なアドバイスをもらいながら修繕計画を立てていきましょう。