賃貸アパートの大規模修繕費を減価償却することは可能?耐用年数・償却率の算出方法もご紹介

アパートは建物の劣化を防ぎ資産価値を維持するためにも、定期的な点検・修繕は欠かせません。
しかし、修繕費用は高額になることも多く、アパートを経営する中で負担が大きい部分です。
特に外壁や配管、設備を修繕する大規模修繕は高額になるため、経営面を圧迫してしまいます。
そこで今回は、アパート経営に関わる大規模修繕費について詳しく解説していきます。
そもそも大規模修繕とはどのようなものか、どのタイミングですれば良いのかといった基本的な知識をはじめ、減価償却に対する考え方についてもご紹介します。
大規模修繕費を減価償却できるのか気になる方はもちろん、そもそも大規模修繕にはどれくらいの費用がかかるのか、耐用年数や償却率はどのように算出すれば良いか知りたい方もぜひ参考にしてみてください。

Contents

大家さんが知っておきたいアパート修繕の基本

アパート修繕

アパート経営において、修繕費は非常に重要な項目です。
まずは、アパート修繕における基本的な部分から解説していきます。

アパート修繕はなぜ必要なのか?

アパートに限らず、建物は築年数が経つごとに劣化していきます。
修繕せずに放置していると、建物の外観だけでなく内部や構造にも影響を及ぼす可能性が高いです。

修繕を行うと一時的とはいえ多くの費用がかかるため、なるべくなら抑えたいと考えてしまうかもしれません。
しかし、これから紹介する問題を回避するためにもアパートの修繕は必要です。
経営に影響が出ないよう、適切なタイミングで行いましょう。

建物の耐久性や安全性を維持するため

施工技術の向上や建築資材の機能性が進化したことで、日本の建物の平均寿命は以前に比べ格段に長くなっているものの、経年劣化を防ぐことはできません。
劣化した部分をそのまま放置していると、建物が傷み、外観だけでなく内部にも悪影響を及ぼします。
さらに、構造部分にまで及んだ劣化を放置していると、耐震性や耐久性にも問題が生じる可能性があります。
きちんと修繕しないままでいると、外壁材が落下し通行人や入居者にケガをさせてしまったり、腐食により建物の一部が崩落したりするなどの事故を招く危険性があるのです。
また、台風や地震など自然災害が起こった際も、被害が大きくなることが懸念されます。
こうした事態を防ぐためにも定期的に修繕を行い、耐久性や安全性を守ることは非常に重要です。

空室リスクを軽減させるため

アパート経営を行う上で、空室リスクはできる限り回避しなければならない問題です。
特に最近はインターネットで物件を探す人が増えていますが、検索し表示された外観写真がみすぼらしいと、それだけでスルーされる確率が高まります。

他の物件に比べて安かったとしても、多くの人は住み心地や安全性など住環境を維持するため、外観や設備が古いままでは空室リスクだけでなく退去率も上がる可能性があります。
こうなってしまうと入居者を見つけることが難しくなり、家賃収入が入らなくなり経営が悪化する原因になり兼ねません。
他の物件と差別化し、空室リスクを下げるためにも、外観や内部を適切に補修することは必要不可欠です。

入居者とのトラブルを避けるため

築年数の経過と共に老朽化するのは、設備も同じです。
使用年数が長くなればその分故障や不具合も多くなるため、入居者からのクレームも増える傾向にあります。
適切に対処しなければ、退去し空室リスクが上がるだけでなく、トラブルに発展する可能性も十分にあり得ます。
入居者とトラブルになれば、精神面における負担が増えたり、アパート経営に支障をきたしたりすることもあるでしょう。
無用なトラブルを避けるためにも、適切に修繕し入居者の満足度を上げることは非常に重要です。

物件の資産価値を保つため

定期的に修繕を行うことは劣化を防ぐだけでなく、建物そのものの質を維持し資産価値を保ちやすくなります。
資産価値は、毎月の賃料をはじめ、売却する際の売却額にも影響を与えます。
大規模な修繕は多額の費用が掛かるため、負担が大きいですが、資産価値や収益性の維持につながります。

先々のことを考えると、大規模修繕はやっておいた方が良いでしょう。

3つの修繕について

建物の劣化を防ぎ、資産価値を維持するために行う修繕にはおおまかに分けると「原状回復」「小規模修繕」「大規模修繕」の3つがあります。
ここでは、それぞれの修繕方法の特徴についてお伝えします。

原状回復とは

原状回復とは、住民が退去したタイミングで室内を修繕する補修工事です。
長年住んでいると、至るところに汚れや傷が残ります。
そのままの状態だと、次の入居者を募集してもなかなか入居者が見つからないかもしれません。
そのため、新築時のようにとはいかなくても室内を綺麗な状態に戻す必要があります。
室内の状態にもよりますが、主に壁紙やフローリングの貼り替え、網戸の交換、水まわりなどのハウスクリーニング、必要であれば劣化した設備の交換も行います。

小規模修繕とは

設備の不具合や故障の修理、共用部の修繕や屋外の緑化工事、災害による被害を受けた場合の工事など、必要に応じて行う小規模や工事を小規模修繕と言います。
大規模修繕ほど費用はかからないのが特徴で、数千円~数万円程度の範囲で必要な修繕を行います。
シロアリ検査や耐震検査をはじめ、雨漏りを防ぐための補修などを行うため、予防修繕とも呼ばれています。

大規模修繕とは

建物の劣化を防ぎ、資産価値を維持するために行われる修繕工事のうち、費用が高額で大規模なものを大規模修繕と言います。
大規模修繕は建物の建築後から10年・20年・30年と、10年を目途に行われることが多いです。
大規模修繕で行われる工事は、以下のものがあります。

・外壁塗装や改修工事
外壁の劣化はアパートの外観に悪影響を及ぼすだけでなく、雨漏りの原因となり、内部を腐食させることもあります。
そのため、外壁の塗り替えや補修、貼り替えなどを状態に応じて適切に施すことが大切です。

・屋根や屋上防水
建物は老朽化に伴い、雨漏りを引き起こすリスクも高まります。
特に屋根や屋上は常に雨風に晒されているため、劣化しやすい部分です。
雨漏りを防ぐためにも、屋根や屋上の防水工事を定期的に行うことは非常に重要です。

・配管交換
風呂やトイレ、キッチンで使用した水を下水道へ流すための排水管や生活用水を行き渡らせる給水管など、アパートでは多くの配管が使われています。
水道管を劣化したまま放置すると、建物の至るところで水漏れを起こすリスクが高まりますし、ガス管の劣化はガス漏れを引き起こし、ガス爆発など重大な事故につながる危険性もあります。
こうした事態を防ぐためにも配管は、15~30年を目途に点検・修繕が必要と言われています。

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INA&Associates Inc.は、不動産、IT、投資などにおける専門性と技術を活かし、「不動産」×「IT」を実現するために発生する、複雑な事柄に真摯に向き合い、”不動産をもっと分かりやすく。住まいを探されている方にとってもっと使いやすく。取引をもっとスムーズに。” 不動産×ITで独自の価値をお客様に提供することを目指しています。

大規模修繕の費用、いくらかかる?

アパート修繕

工事期間も長く、費用も高額と言われる大規模修繕ですが、実際にかかる費用がどのくらいなのか、気になっている方も多いのではないでしょうか?
そこで、各工事別に工事内容や費用の相場をご紹介します。

屋根工事

屋根の塗装工事は10~15年を目途に行います。
平米あたり2,000~3,000円が費用相場と言われていますが、陸屋根の場合は防水工事が必要となるため、平米あたり8,000~1万円ほどかかります。
また、屋根は20年を経過すると既存の屋根材を剥がし、新しい屋根に張り替える葺き替えが必要になる場合があります。
葺き替え工事は使用する素材にもよりますが、最低でも100万円以上はかかることを覚えておきましょう。
雨樋の交換を同時に行う場合は、戸数にもよりますが数千円~数万円程度かかります。

外壁工事

外壁塗装も屋根と同じく10~15年を目途に行います。
外壁や屋根塗装では足場を組む必要があるため、同時にしておくと足場代を抑えることが可能です。
外壁塗装では、1平米あたり2万円から塗装できます。
ただし、安い塗料を使用すると早いスパンでの塗り替えが必要です。
1回の値段は安くとも長期的に見ると修繕費用が高くなる可能性があるため、注意してください。

外壁がタイルの場合、塗装の必要はありません。
しかし、時間の経過と共にタイルが浮いて剥離することもあるため、8~10年程度でメンテナンスしておくと安心です。

給排水設備

排水管は5~10年ごとに高圧洗浄を行い、25~30年程度で交換が必要になります。
洗浄費用は10戸で約5~10万円、交換になると最低でも300万円以上必要となることも多いです。

空調設備

エアコンや換気扇といった空調機器や換気設備は定期的にクリーニングやメンテナンスを行います。
だいたい空調設備は15年程度で交換が必要となりますが、エアコンに関しては10年を目安に交換を検討しても良いかもしれません。
エアコン1台あたり5~10万円かかります。

ガス設備

ガス設備は法律によって4年に1度以上は点検することが義務付けられています。
点検した際に異常があれば、その都度対応します。
ガス配管は耐用年数である15~30年ごとに交換を検討すると良いでしょう。

費用のおおよその目安は50万~100万円です。

電気設備

配電盤や電灯、コンセントなど電気設備の修理・交換のほか、電力幹線の容量不足など何か問題があれば、大規模修繕時にまとめて行います。
費用目安は50万円程度です。
もしもオール電化への変更を希望する場合は、大規模修繕に合わせて行うとスムーズになります。

消防設備

消火器や消火栓、自動火災報知設備といった消防設備は、消防法に従い、適宜点検・交換を行います。
消火器は10年、消火栓は17~20年、自動火災報知設備は10~20年を目安に交換しましょう。

費用目安は5万~20万円程度です。

鉄製設備

ベランダや屋外階段、廊下のように雨風に晒される部分は、5年を目安に鉄部を塗装し、10年程度で防水処理を行うと共に、排水状況も確認します。
修繕費用の目安は1平米あたり5,000円前後です。

その他設備

アパートでは、上記に紹介した以外にも、様々な部分の修繕が必要です。
屋外に駐車場、駐輪場などがあれば、フェンスや塀は壊れていないか、アスファルトやクンクリートにひび割れはないかなども適宜チェックし、必要であれば補修工事を実施します。

敷地の規模にもよりますが、外構工事では100万円以上かかることもあります。
また、大規模修繕ではどこか1ヶ所ではなく、何ヶ所かをまとめて修繕することが多いです。
修繕箇所が多ければ多いほど、かかる費用も高額になります。

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大規模修繕を行うタイミング

アパート修繕

アパートの大規模修繕は、10~15年を目途に行われることが多いです。
これは、アパートの屋根材に使われる塗装の寿命が10~15年であることが関係しています。
もしも、外壁材にタイルや耐久年数の高い塗料が使われている場合には、もう少し期間が空いても問題ないでしょう。
ただし、外壁材の塗装や修繕は必要なくても、コーキングや目地は10年を目安に補修を行う必要があります。
他にもベランダや廊下、施設内に使われている鉄部の塗装、給排水管の高圧洗浄は5年ごと、給水ポンプの交換や防水処理は10年を目安に行いましょう。
30年を経過すると、給排水管の交換も必要となるため、それぞれの設備の交換タイミングを図りながら、無理のない修繕計画を立てることが大切です。

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大規模修繕は計画的に資金準備を行おう

アパート修繕

アパートの大規模修繕では、1回あたり数百万円の費用がかかります。
無理なく行うためにも、大規模修繕は計画的に行うことが大切です。
ここでは、資金準備を行う際のポイントについてご紹介します。

毎月積み立てを行う

大規模修繕費用を準備するのであれば、毎月一定額を積み立てておくと安心です。
あらかじめ家賃収入の一部を積み立てする人も多いですが、損害保険会社の積み立てマンション保険などもあります。

手元にあると使ってしまうという方は、こういった商品を活用するのもおすすめです。

リフォームローンを使う

金融機関によっては、修繕や増築のためのリフォームローンを取り扱っています。
リフォームローンの借入金の限度額が500万円前後のことが多いですが、担保を入れるなど状況によっては1,000万円以上借りられることもあり、アパートの大家さんでも利用できます。

そのため、積み立てがない場合でも大規模修繕の費用を賄うことが可能です。
ただし、多額の借り入れをすると、建築時のローンが残ったままでは返済額が増え負担も大きくなるため、注意が必要です。
リフォームローンを利用する際は、返済時のことも考え、資金繰りに問題がないか確認することが大切です。

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大規模修繕費を減価償却することは可能?

アパート修繕

塗装・防水や給排水管工事、設備リニューアルなど、建物の大規模修繕にかかる費用を支出した場合、減価償却できる可能性があります。
次に、減価償却することが可能であるか詳しく解説していきます。

減価償却とは?

不動産経営をするにあたり、知っておきたい知識の一つとして減価償却があります。
そもそも減価償却とは、固定資産を取得する際に発生した費用の金額を耐用年数に応じて分割し、費用計上する会計処理のことを言います。

購入費用を一度に経費として計上するのではなく、何年かにわたり分割して計上するのがルールです。
建物附属設備や機械装置、器具備品、車両運搬具など、時間の経過と共に価値が減少するものを減価償却資産と言い、計上できる費用の対象となります。

例えば、300万円の社用車を買ったとします。
この場合、購入した年に300万円全額計上することは不可能です。
減価償却は「今年は50万円、来年に50万円、再来年に50万円…」と、300万円を何年かにわたり分割して計上します。
ただし、美術品や骨董品、土地などの価値が減少しない資産や、建物内にある資産、棚卸資産は減価償却の対象にはなりません。

大規模修繕費は「資本的支出」なら減価償却が可能

マンションやアパートなどの大規模修繕も資本的支出として減価償却することは可能です。
しかし、工事の内容によって、資本的支出または修繕費どちらになるかが異なります。
資本的支出とは、固定資産を修理する上で発生した金額のうち、価値や耐久性を高める支出のことを言います。
資本的支出に該当する場合は、減価償却期間に毎年計上しなければいけません。
一方、修繕費とは、損傷部分や原状回復、定期的な維持管理を図るための支出のことを言います。
修繕費に該当する場合は、施工したその年に全額計上することが可能です。
大規模修繕費が資本的支出または修繕費どちらに該当するかは細かい基準によって決められるため、双方の特徴をしっかり理解しておかなければいけません。

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大規模修繕費を減価償却する3つのメリット

アパート修繕

不動産の大規模修繕は高額な費用が必要になるため、なかなか工事に踏み切れないという方も多いはずです。
しかし、工事を行うことで節税効果を期待することができるほか、入居率をアップさせられるかもしれません。
大規模修繕を検討している方は、建物の耐用年数に応じて減価償却を活用しましょう。

設備投資が経費計上できる

大規模修繕費を減価償却するメリットの一つとして挙げられるのが、設備投資が経費計上できるということです。
オートロック付きエントランスの導入や防犯カメラ設置、外壁塗装、エアコン交換などの設備にかかる費用は高額であるため、一括で経費計上すると負担が大きくなると考えられます。
翌年に自身の状況を圧迫させかねないので、注意しなければいけません。
しかし、設備投資を減価償却にとって経費計上すれば、償却するまでの間、利益に発生する法人税を抑えることができるなど、大きな節税効果を得られるようになります。
また、専用部や共用部の設備が充実していれば、空室率上昇を抑えられるほか、家賃アップを狙うことも可能です。
設備投資に対し、「家賃が高くなる」「税金が高くなる」とマイナスなイメージを持っている方も多いですが、実は減価償却によって不動産経営で得られる収益を増やせるようになります。

建物の管理がしやすくなる

減価償却を行うことによって、建物の耐用年数が明確になるため、所有している不動産の管理がしやすくなります。
法定耐用年数が明確であれば、前回の修繕から経過した年数や設備の耐用年数が把握しやすいです。
建物の寿命を延ばすためには外壁・屋根の塗装や防水工事、タイル張り補修など、様々な工事が必要になります。
減価償却を行えば、耐用年数に応じて適切な時期に工事できるようになるはずです。

建物の法定耐用年数をしっかり把握しておくことによって、安全かつ適切に不動産経営が行えます。

法人税を抑えられる

これは法人に限られますが、減価償却をすることによって、法人税を抑えることが可能になります。
法人税は「所得×税率」で算出しますが、減価償却で経費計上すると所得が少なくなるため、それに伴い法人税を抑えられるようになるのです。

法人で不動産経営を行っている方は、減価償却を活用してみてください。

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大規模修繕費を減価償却する2つのデメリット

アパート修繕

大規模修繕費を減価償却することで得られるメリットがある一方、デメリットも生じてしまいます。
具体的にどのようなデメリットが生じるのか解説していきます。

資金繰りが悪化するリスク

大規模修繕費は工事を行う際に一括で支払われますが、経費はその年の耐用年数に応じて帳簿上で減価償却される仕組みになっています。
これにより双方の支出の流れが一致しなくなります。
融資を受けている場合は特にキャッシュフローが回らず、資金操りの悪化を招く恐れがあるため、十分注意しなければいけません。

会計処理に手間がかかる

減価償却は耐用年数に応じて経費計上するため、基本的には一定額を毎年計上することになります。
しかし、税法が変更された場合、会計処理が複雑になるため、間違えないよう注意を払わなければいけません。
税金に関する問題は大きなトラブルに発展する可能性もあります。
自身で会計処理をするのが不安だという方は、税理士に相談するのがおすすめです。

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資本的支出・修繕費の分け方

アパート修繕

不動産の大規模修繕を実施した時、資本的支出または修繕費どちらで計上するかを判断しなければいけませんが、双方の違いをよく理解していない方も多いはずです。
一体どのような点に注目すれば良いのでしょうか?
それぞれの特徴と共に、見分ける際のポイントについてもご紹介します。

資本的支出の特徴

資本的支出とは、耐震補強や外壁・屋根の防水加工、オール電化への移行、リフォーム・増築、設備の新設・グレードアップ、バリアフリー対応への改築など、修理をする上で固定資産としての価値や耐久性を高めるために支出した費用のことを言います。
建物の防水性や防犯性などを高めたり、入居者のニーズに応えられるような設備導入、工事を行ったりする場合の費用は資本的支出として計上されます。

修繕費の特徴

修繕費とは、建物の破損個所を修理することを目的とした工事に支出した金額のことを言います。
外壁塗装や雨漏り修理、部分的な防水改修、建具・備品の補修、割れたガラスの張り替え、定期的な修繕工事などが該当します。

見分ける際のポイント

明らかな特徴を持っていれば問題ありませんが、場合によっては明確に見分けられないことがあります。
判断するのが難しい時は、以下を基準に考えてみてください。

・20万円未満の支出であるか
・3年に1度程度の修繕であるか
・維持管理、原状回復が目的
・60万円未満の修繕または前期末所得価格の10%未満の支出であるか
・価値を高めるために使用可能期間を延長している

上記のうち4つの項目に該当すれば修繕費となりますが、不動産の大規模修繕費の相場は一戸あたり80~100万円ほどかかります。
大規模修繕費が100万円前後で収まるケースはほとんどないため、資本的支出として計上されるのが一般的です。

ただし、12周期で行われる大規模修繕は税法上、資本的支出で処理することが決められています。
この工事は100万円以上かかる上、固定資産としての価値や耐久性を高めることを目的としているため、資本的支出に該当するのです。

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減価償却費の算出方法

アパート修繕

減価償却費はどのようにして算出されるのでしょうか?
以下の計算方法を参考にしてみてください。

2種類の計算方法

仕訳方法には直接法と間接法の2種類があり、計算方法は定額法と定率法になります。
直接法は固定資産額から減価償却費を直接差し引く方法で、その時点での固定資産としての価値が一目でわかるのが特徴です。
間接法は減価償却費を減価償却累計額に加算して表示する方法であり、貸借対照表上で購入価格を一目で把握できます。

減価償却の算出方法には、定額法と定率法の2種類があります。
定額法は一定額を毎年減価償却する方法のことを言い、「購入価格×定額法の償却率」で算出することが可能です。
帳簿がシンプルなのが定額法の特徴であり、資金計画を立てやすいといったメリットがあります。
マンションやアパートなどの建物は税制上、定額法で計算することが決められています。
一方、定率法は一定の割合ずつ減価償却する方法のことを言い、「未償却残高×定率法の償却率」で計算することが可能です。
定率法は購入費用を毎年均等に減価償却するため、計算がシンプルでわかりやすいといったメリットがあります。

耐用年数の算出方法

建物の耐用年数ごとに償却率が決められているため、まずは耐用年数を算出する必要があります。
事務所用、店舗用、自宅用など、細目によって異なりますが、木造・合成樹脂造は12~24年、木骨モルタル造は11~22年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨コンクリート造は31~50年、れんが造・石造・ブロック造は30~41年、金属造は15~38年となっています。
建物本体の耐用年数に応じて償却をするため、非常に重要なポイントとなるのです。

「建物の耐用年数50年-大規模修繕20年目」で耐用年数が30年とはならず、あくまで50年が基本となります。

償却率の算出方法

国税庁の「減価償却資産の償却率表」から算出できます。
取得年によって率が異なるため、注意しなければいけません。

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減価償却をする際に注意すべきポイント

アパート修繕

不動産の大規模修繕を行う際、注意しなければいけないポイントがあります。
以下を参考にしてみてください。

「少額減価償却資産の特例」という措置があるケースも

少額減価償却資産の特例とは、青色申告法人である中小企業や個人事業主を対象とした特例のことを言います。
この制度は購入価格が10万円以上30万円未満の固定資産であれば、全額費用として計上することが可能です。

ただし、限度額は300万円と決められています。
事業年度が1年に満たない場合は300万円を12で割り、稼働した月数をかけた金額が上限として設定されます。
似ている制度に一括償却資産というものがありますが、異なる制度であるため、注意しなければいけません。

この特例を利用するためには、確定申告書に明細表を添付したり、市区町村へ減価償却の申告に行ったりするなどの手続きが必要になります。

資産ごとに耐用年数は異なる

この記事でも説明しているとおり、耐用年数は所有している資産ごとに異なるため、慎重に会計処理を行わなければいけません。
実際、マンションやアパートなどの不動産は構造によって、耐用年数が大きく異なります。
自身が所有する不動産の特徴をしっかり踏まえた上で、費用の計上や仕訳を行う必要があります。
また、随時税制法の改正があるかどうかをチェックしておきましょう。

修繕費で計上するのがおすすめの場合もある

工事が小規模だった場合、発生した費用は修繕費として一括経費計上するのがおすすめです。
なぜなら大した節税効果は期待できないためです。

また、明らかに判断できるようなケースであれば問題ありませんが、資本的支出または修繕費どちらか見分けられない場合、極力修繕費として扱うのが望ましいです。
修繕費として扱うことによって、工事にかかる費用を抑えられるようになります。
状況に応じて判断できるようになれば、安定した不動産経営が行えるでしょう。

まとめ

今回は、大規模修繕費を減価償却することが可能かどうかについて詳しく解説してきました。
大規模修繕は工事内容によって減価償却の対象になる可能性があるため、効率良く不動産経営を行えるようになります。
不動産経営を行うにあたり、減価償却は必要不可欠な知識である一方、どういうシステムなのかわからず、難しいと感じる方も多いはずです。
しかし、仕組みをしっかりと理解していれば正しい方法で適切な処理が行えるようになります。
ぜひ今回の記事内容を参考にしながら、大規模修繕費を減価償却してみましょう。

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