賃貸経営で入居者トラブルを回避するのは困難!正しい対処法を解説

賃貸経営をする中で、様々な価値観・ライフスタイルの入居者と関わります。
所有する物件数が多いほど入居者の数も増えていき、あらゆるトラブルが発生しやすくなるでしょう。
賃貸経営で入居者トラブルを回避するのは非常に難しく、どんなに気を付けていても発生してしまうものです。
しかし、発生しやすいトラブルや正しい対処法を把握しておけば、万が一の際に正しい対応ができるようになります。
また、入居者トラブルをできる限り予防するための方法についてもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

Contents

賃貸経営で発生する可能性が高い入居者トラブル

入居者トラブル

入居者トラブルにはいくつかありますが、その中でも特に発生しやすい問題をご紹介します。

家賃を滞納される

入居者トラブルで多いのが、家賃の滞納です。
滞納が発生すると家賃収入を得られず、入居者がいるにもかかわらず空室の状態と同じになります。

空室であれば新しい入居者を募集すれば解決しますが、滞納問題はそうはいきません。
ただし、支払い方法が手渡しや振り込みなどで、単純に支払いを忘れていただけなのであれば、通達することですぐに支払ってもらえるでしょう。
手元にお金がない、もしくは家賃滞納に対する危機感がゼロの場合には、今度も滞納が続く恐れが考えられます。
しかし、賃貸借契約上で入居者の権利が守られているため、滞納期間が1~2ヶ月ほどであれば強制退去は許されていません。
連帯保証人がいる、もしくは家賃保証会社に加入している場合には代わりに支払ってくれますが、入居者が交渉に応じない場合には法的手続きが必要なケースもあります。

勝手にペットを飼育している

入居者による契約違反も頻繁に発生するトラブルで、その1つがペット禁止物件で勝手に猫や犬などの動物を飼育する行為です。
バレないように飼育していても、鳴き声や足音の騒音、そしてニオイ問題などで周囲がペットの存在に気付き、オーナーへのクレームにつながります。

話し合いで入居者が退去してくれれば良いですが、出ていくことを渋った場合には法的手続きが必要となるケースもあるでしょう。
無断でペットを飼育した際に発生した床や壁の傷・汚れの原状回復費用は入居者に請求できるのが一般的です。

しかし、大切な物件を汚されてしまうのはもちろん、原状回復工事の依頼や手続きなどはすべて大家さんが行うことになります。

騒音問題

隠れて飼育しているペットの鳴き声や深夜に騒ぐ声、走り回る足音などの騒音問題も発生しやすい入居者トラブルの1つです。
色々なライフスタイルの人が暮らしているため、日中の騒ぎ声や物音は一般的には仕方ないと感じても、それが騒音だと感じる入居者もいるのです。
入居者が騒音の原因の場合、手紙や張り紙などで注意喚起を行う、または管理会社を通して注意してもらう必要があります。

ゴミ出しマナーを守らない

収集日以外にゴミを捨てる、ゴミ出しの時間・マナーを守らない入居者がいると、カラスや猫にゴミを荒らされたり、物件が放火されたりする危険性があります。
ゴミが散らかっていれば衛生面の印象はダウンし、近隣に住む住人からもクレームがくるでしょう。
また、入居者によってはベランダにゴミを放置する人もいます。
長期間放置すると嫌なニオイや害虫が発生し、他の入居者を不快にさせるほか、部屋が汚れてしまって原状回復工事に長い時間がかかります。

退去時の原状回復・敷金問題

退去時の原状回復費用に関して、入居者とオーナーが揉めるトラブルも多いです。
入居者が発生させた傷や汚れなどの支払い責任は入居者にありますが、通常消耗や経年劣化についてはオーナーの負担としています。

通常消耗や経年劣化による色褪せや汚れであるのに入居者に原状回復義務を求めると、違法行為だとしてトラブルにつながる恐れがあります。
どのような場合が貸主負担なのかについては国土交通省のガイドラインを確認しましょう。

また、原状回復費用と同じく、敷金トラブルも多く発生しています。
そもそも敷金は担保を目的とし、原状回復費用を差し引いた残額については返還する必要があります。
そのため、部屋を綺麗に使用していたにもかかわらず、返還金がゼロであれば入居者からの問い合わせを受ける可能性があるでしょう。

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入居者トラブルを放置するとどうなる?

入居者トラブル

入居者トラブルは早急に対応して解決するのが理想的ですが、場合によってはオーナーの時間が取れずに放置することもあります。
しかし、トラブルを放置していると以下のような新たなトラブルやリスクへとつながる恐れがあるため、早急な対応が求められます。

長期化すればするほど解決も困難に

トラブルに気づいた時点で対応していれば被害が最小限に済みますが、長期間放置していると解決へ導くのは困難です。
家賃滞納トラブルの場合、放置期間が長いほど滞納の合計額が大きくなり、まとめて全額を支払ってもらうのはより難しくなります。
最悪の場合、家賃の回収ができないまま退去となる恐れもあるでしょう。

また、ペットの無断飼育を見て見ぬふりしていると、オーナーが飼育を許可していたと捉えられて印象は悪くなります。
ルールを守っている別の入居者からすると、なぜ注意しないのだと不満を感じてオーナーへクレーム、もしくは退去を希望するかもしれません。

物件環境に悪影響を及ぼす

トラブルの放置は、物件のモラル低下や雰囲気の悪化につながります。
共有部分での喫煙行為を注意しないと他の入居者も同様に喫煙を始めたり、ゴミ出しのマナーが守られていなければ全員がルールを無視してゴミを捨てるようになったりします。

ゴミを放置すればさらにゴミが増えるように、トラブルを放置すればより多くの問題が発生してしまうでしょう。

空室リスクが高まる

トラブルを早急に解決させないと問題のない入居者が続々と退去し、空室が増えてしまうリスクがあります。
深夜の騒音や共有部分での喫煙、ルール外のゴミ出しなどのトラブルが改善されなければ、騒音やニオイなどに我慢できない入居者が出ていきます。
その結果、物件に残るのはトラブルを発生させる入居者のみであり、自然と物件の雰囲気が悪くなります。

内見時に散乱したゴミやエントランス付近の吸い殻を見れば、物件へのイメージが悪くなり、新しい入居希望者が現れにくくなるでしょう。
結果として空室を埋めるために家賃を下げる必要が出てきて、オーナーの賃貸収入が減少します。

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賃貸経営で起こり得る入居者トラブルへの対処方法

入居者トラブル

賃貸経営をする上で、入居者トラブルを回避することは困難です。
色々なライフスタイル・価値観を持った入居者が集まるため、様々なトラブルが身近に潜んでいます。
万が一の事態にも冷静に対処できるよう、トラブルに対してどのように対応したら良いのかあらかじめ知っておきましょう。

家賃滞納への対策

大家さんにとって家賃滞納のリスクは非常に大きい問題です。
物件が満室であっても、滞納者がいればその部屋からの収入はゼロになり、空室と同じことになってしまいます。
ここからは、滞納者にどのような対応をすべきか解説していきます。

滞納から退去してもらうまでの流れ

滞納から強制退去までの手順は主に以下の6つです。

①支払いの督促
②連帯保証人か家賃保証会社へと連絡
③内容証明郵便で督促
④任意の明け渡し請求(裁判を避けたい場合)
⑤法的手続き
⑥退去

滞納が発覚したらまずは管理会社へ督促を依頼し、管理会社が電話や督促上の送付を行います。
それでも解決しない場合には管理会社が連帯保証人もしくは家賃保証会社に連絡を行い、入居者の代わりに滞納分の家賃を支払ってもらいます。
滞納から1ヶ月過ぎても支払いがないのなら、法的措置の可能性を考えて、管理会社に内容証明郵便での督促を依頼しましょう。
内容証明郵便を使用すると、入居者にいつ督促をしたのを証拠に残せるので、法的手続きの際に有利に働いてくれる場合があります。
これまでの手順を踏んでも問題解決が見込めない場合、任意の明け渡し請求を行います。

任意の明け渡し請求とは、長期間かかる裁判以外で退去をしてもらう方法で、具体的には「滞納分の家賃は免除する」といった条件を付けて出ていってもらうことです。
しかし、任意の明け渡し請求でも解決されない場合は、法的手続きを考えなければなりません。

支払い能力がある滞納者に対しては「支払督促」や「少額訴訟」、支払い能力がない・強制退去を希望する場合には「明け渡し訴訟」を行います。
明け渡し請求を求めても滞納期間が1~2ヶ月ほどで、入居者に支払いの意思がある場合には強制退去させることは難しいでしょう。
また、退去までの期間は家賃収入がゼロのため、オーナー側にもリスクがある請求です。

家賃滞納問題が発生した時に気を付けたいこと

管理会社に委託している場合、滞納問題の対応をするのは管理会社です。
オーナーが滞納家賃や入居者への今後などについては意思決定をする必要はありますが、対応自体は管理会社に任せるのが一般的です。
逆に、オーナー自身が解決させようとした行動のせいで、さらにトラブルが大きくなる恐れがあります。

【オーナーがやってはいけないこと】
・深夜や早朝に電話・訪問をする
・1日に繰り返し電話・訪問をする
・玄関やポストに名前や部屋番号が明記された督促の紙を貼る
・連帯保証人以外に支払いを求める
・入居者の学校や職場に支払いの電話をかける
・無断で部屋へ入る、物を撤去する

非常識な時間帯や同日に繰り返し電話・訪問をすると、脅迫だとみなされて逆に訴えられる恐れがあります。
また、別の入居者や周囲の人に、その人が滞納しているとわかるような内容の張り紙で督促したり、連帯保証人以外に支払いを求めたりする行為は禁止です。

ペット飼育問題への対策

ペット問題の代表例として、ペット禁止物件で飼育、飼育マナーが悪い、鳴き声やニオイ問題などが挙げられます。
続いては、このようなペット飼育問題が発生した際の対応についてご紹介します。

ペット飼育で契約解除は可能?

契約書にペット不可と記載していても無断飼育を行う入居者は契約違反となり、一般的には強制退去は可能です。
一方で、ペット禁止物件で隠れて飼育している程度では退去は難しいと考える方が多いですが、程度を超えた場合には解除可能もあり得ます。
そもそも賃貸借契約はオーナーと入居者の信頼関係を基礎としており、それが破壊された場合には契約解除が可能です。
ただ隠れてペットの飼育をしているだけでは、信頼関係は破壊されたとは言えません。

しかし、ペットに適切な飼育がされておらず鳴き声がうるさい、糞尿の処理がされていない場合には悪臭や騒音に関するクレームがくる可能性があります。
他の入居者の生活に支障をきたす問題の原因がペット飼育となれば、信頼関係を破壊しているとみなされて、契約解除は不可能ではありません。

部屋の損害賠償は請求できる?

ペット飼育により壁紙の剥がれや床の傷が発生した場合、修繕費を請求できるかどうかは物件によります。
ペット可物件で、部屋へのダメージが少ない時には入居者が修繕・清掃費を負担する義務はないことが一般的です

飼育自体を許可している場合は、物件がペットによる多少のダメージを受けるのを考慮しているとし、敷引きにより費用を差し引くといった内容のケースが多いです。
一方で、ペットの飼育状況があまりにもひどく、小さな修繕や清掃などでは済まないレベルの汚損がある時には修繕費用の請求はできるでしょう。

入居時に支払った敷金で費用が賄えれば問題ないですが、足りない際には追加の支払いを請求する必要が出てきます。

問題発覚から退去してもらうまでの流れ

問題発覚から退去までの手順は主に以下の5つです。

①ペット飼育の証拠を掴む
②入居者に事実を確認し、話し合う
③交渉に応じない場合は契約解除通知を送付
④法的手続き
⑤強制退去

まずはペット不可物件で隠れて飼育している証拠を掴みましょう。
犬を散歩していた、猫を抱っこして部屋に入ったなどの証拠だけでは、飼育しているとは判断されずに契約違反とならない可能性があります。
知り合いのペットを散歩させていたり、一時的に預かっていたりするケースもあるので、飼育している証拠を手に入れることが大切です。

その後にペット飼育の実態を明確にするために入居者へと事実を確認し、今後の飼育について話し合いを行って、手放すか退去するかを決定します。
退去する場合には、そのまま手続きに進んで完了です。
入居者が交渉を拒む際には契約解除通知を送付し、法的手続きを経て強制退去を行います。
しかし、強制退去には費用・時間の負担が大きく、可能であれば話し合いで解決させたいところです。

騒音問題への対策

賃貸物件で起こりがちなのが、騒音に関するトラブルです。
騒音問題は多発しているため、あらかじめ対策をしておくことが大切です。
特に騒音問題が発生しやすいのは、小さな子どもを持つ家族が住んでいる物件や、生活リズムが異なる入居者が住んでいる物件です。

小さな子どもがいる家庭の場合、ファミリー向けの賃貸物件であれば、他の入居者からの理解を得られます。
しかし、家族構成が異なる入居者が住む賃貸物件だった場合、理解を得られず、トラブルに発展してしまう恐れがあります。
また、生活リズムが異なる入居者が住む物件でも騒音問題は発生しているようです。
例えば、日勤の人の隣に夜勤の人が住んでいた場合、生活リズムは真逆なので、どちらかが寝る時間帯にどちらかが活動し始めます。
さらに、近年在宅ワークの導入により、以前よりも家にいる時間が増えたという人もいます。
ライフスタイルが変化したことで、より一層隣人や上階の生活音が気になるようになり、トラブルに発展するケースもあるようです。
「隣人の生活音がうるさい」「上階の住人が夜遅くまで騒いでいる」といったクレームや苦情があった場合、大家さんは然るべき対応を取らなければいけません。
騒音問題は賃貸経営をする上で避けては通れませんが、契約する際に入居者に説明しておくとトラブルを防げる可能性があります。

対策を怠った場合のリスク

万が一、騒音問題への対策を怠ってしまった場合、入居者トラブルに発展する可能性が高いです。
「大家さんの対応が悪い」という理由で退去者が出るケースもあります。
また、騒音トラブルが発生しているにもかかわらず、然るべき対応を取っていないと損害賠償を請求される恐れがあるため、十分注意しなければいけません。

入居者からクレームや苦情が発生した場合は早急に対応することを心掛けましょう。
当事者同士で解決できない場合、警察に通報したり、訴訟に発展したりする可能性があります。
大事になれば口コミによって悪い噂が広まり、その後入居者を思うように獲得できなくなるかもしれません。

問題発覚から退去してもらうまでの流れ

他の入居者に害が及ぶ可能性がある場合、大家さんは騒音の原因となっている入居者に対して告知義務があります。
騒音問題が発生していることを知っているのに、適切な対応を取っていないとペナルティが課せられます。

退去を要求する場合、賃貸借契約書に記載されてある条件が非常に重要です。
使用上のルールを守る義務や修繕費用を負担する義務など、入居者の義務に関する内容や、禁止事項について書かれています。
賃貸借契約書に騒音に関する記載がある場合、入居者はそれに従わなければいけません。
ただし、騒音が環境基準の数値を超えていないと退去を要求するのは難しいとされています。
また、問題を起こしている入居者が騒音を認めなかった場合、一方的に退去を要求できなくなります。

騒音を防ぐリフォームも検討してみる

騒音に関するトラブルを未然に防ぐために、窓や壁、床の防音リフォームを検討するのもおすすめです。
工事をすることになるため通常よりも費用はかかりますが、防音性の高い素材を使ってリフォームすることによって、騒音トラブルを避けられるようになります。
賃貸物件を探す際、騒音トラブルに悩まされることがないよう、機能性に優れた物件を選ぶ人も多いです。
設備投資に費用がかかったとしても入居者を獲得できれば、家賃収入による資金回収を狙えます。

ゴミ出しマナーへの対策

入居者トラブルを未然に防ぐために、ゴミ出しのマナーに関する対策もしておきましょう。
ゴミ出しは衛生面でのトラブルに発展しやすいため、しっかり管理しておかなければいけません。
ゴミ出しのマナー違反を把握しているにもかかわらず、対処を怠っていると他の入居者のゴミ出しに対する意識も低くなる恐れがあります。

正しく分別しない人や回収日ではない曜日に出す人が増え、手に負えない事態になる可能性があるため、十分注意しなければいけません。
ゴミ出しのルールを守っていないとカラスや野良猫などがゴミを荒らしたり、悪臭が発生したりするなど、様々な問題が起こります。
マナー違反をする入居者が現れた場合は早急に対応しましょう。

ゴミ出しマナーを守らない入居者への対応

ルールを守らない入居者がいる場合、物件に住む入居者全員の目が届く場所に注意書きを貼りましょう。
「正しく分別されていません」「曜日や時間帯が守られていません」と、マナー違反があることを全体に知らせます。
張り紙をしているのに改善が見られない場合は、ルールを守らず出しているゴミの写真を撮影し、注意書きと共に再度掲載しましょう。
写真と一緒に注意喚起を行うことによって、本人も気付きやすくなります。

それでもなお改善が見られない場合はゴミを開封し、マナー違反をしている入居者を特定しましょう。
誰がルールを守っていないか把握できれば、文書を通じて本人に通知できます。

未然にゴミ出しトラブルを防ぐには

ゴミ出しに関する問題は他の入居者や近隣住宅にも害を及ぼす可能性があるため、トラブルに備えておく必要があります。
大家さんができる対策として2つの方法が挙げられます。
1つ目の対策は防犯カメラの設置です。

ゴミ出しをする場所に防犯カメラを設置しておけば、ルールを破る人はいなくなるでしょう。
たとえルールを守らずゴミ出しをしたとしても後でカメラの映像を確認すれば、誰がマナー違反をしているかすぐに判明します。
導入コストを抑えたいのであれば、ダミーカメラでも効果は得られます。
2つ目の対策は24時間のゴミ捨て場を設置することです。

時間帯を問わずゴミを出せるような状態にすることによって、入居者の負担を軽減できるようになります。

退去時の原状回復・敷金問題への対策

入居者との間で多発している原状回復・敷金に関する問題ですが、対策を怠っていると取り返しのつかない事態を招いてしまう恐れがあります。
あらかじめ実例や判断基準、入居年数や経過年数が考慮される場合などを確認しておきましょう。

原状回復のトラブルで起きやすい実例と判断基準

実際に原状回復をする際、費用負担の割合について悩む大家さんも多いはずです。
原状回復をするにあたり、費用負担の判断基準となるのは「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。

自然現象や自然災害による損耗や次の入居者のためのリフォーム、日常生活に必要な家具を設置した際に生じるへこみなどの補修費用は、すべて大家さんが負担することになっています。
原則としてハウスクリーニングにかかる費用は大家さん負担となっていますが、契約書に「通常損耗補修特約」を記載し、入居者から合意を得ることができれば、ハウスクリーニングの費用を入居者に請求できます。

一方、結露や水漏れを放置したことによるカビ・シミやタバコのヤニ、掃除を怠ったことによる汚れなど、入居者の故意・過失によるキズや破損、汚損を補修するための費用は入居者が負担しなければいけません。

原状回復の費用負担は入居年数や経過年数で変わる

原状回復にかかる費用負担の割合は、入居年数や経過年数を考慮する必要があります。
建物や設備は時間と共に劣化するため、公平性を持たせるために経過年数によって費用負担の割合を減らします。

しかし、キズや汚れなどが耐用年数の影響ではない場合、補修費用を負担するのは入居者です。
このように、状況に応じて入居年数や経過年数が考慮されない場合もあります。
原状回復や敷金問題を防ぐためには、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をしっかりチェックしておくことが重要です。

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入居者トラブルを予防するためにやっておきたいこと

入居者トラブル

ここまで、賃貸経営で発生しやすい問題や適切な対処法について説明してきましたが、入居者トラブルが起こらないようにあらかじめ対策しておけば、入居者と良好な関係が築けるようになります。
以下では、契約する際に注意すべきことや日々の管理において重要なことについてご紹介します。

入居審査は丁寧に行う

契約する際に家賃を払える能力があるか、収入は安定しているかなど、入居者の収入状況をチェックするのはもちろんのこと、トラブルを起こすような人物ではないかどうかを見極めることも欠かせません。
人柄を見て常識の有無や性格をチェックしましょう。

収入が安定しており、家賃支払い能力があったとしても、態度が悪かったり、約束や時間を守らなかったりする場合、入居後に何かしらのトラブルを起こす可能性があります。
入居審査を行う際に重要なのは収入面だけではありません。
また、どのような人物なのか確かめるためにも、契約前に一度面接するのがおすすめです。

親族など連絡先を控えておく

トラブルが発生した際に本人と連絡が取れなくなることもあるかもしれません。
本人がいないと問題を解決できないため、いざという時に備えて親族などの連絡先を控えておくのがおすすめです。

特に、入居者が学生の場合は両親や親戚などの連絡先を控えておきましょう。
万が一、何か問題が起きた際、控えておいた親族の連絡先に問い合わせることによって、トラブルを抑止できるかもしれません。
また、賃貸契約を結ぶ際は連帯保証人をつけるようにしましょう。
入居者本人が家賃を滞納したとしても、連帯保証人に請求することが可能です。

家賃は口座振替などにする

家賃滞納を防ぐために口座振替にするのもおすすめです。
都度払いにしていると支払いを忘れたり、延滞したりするため、自動に引き落とせるようにしておけば、滞納することもありません。

また、引き落とし日に残高が不足するといった事態を防ぐためにも、あらかじめ入居者に通知しておくのが望ましいです。
わかりやすいよう引き落とし日を明記した紙を掲示板やエントランスに張り出しましょう。

サブリース契約への移行も考える

サブリース会社に賃貸経営を依頼することによって、大家さんの負担が大幅に軽減します。
入居者の募集や物件の管理などもすべてサブリース会社に任せられるのが大きなメリットです。

万が一入居者トラブルが発生したとしても、大家さんが対応する必要はありません。
入居者からのクレームや苦情などにも対応してくれるため、入居者トラブルへの予防としてサブリースを検討する大家さんも増えています。
ただし、賃料から手数料が差し引かれたり、売却時の資産価値が減少したりする可能性があるなど、メリットだけではないことを念頭に置いておきましょう。

物件の見回り・清掃などをこまめに行う

自身が所有している賃貸物件の状態や周辺の状況を確認するのは非常に重要なことです。
エントランスや駐車場・駐輪場、ゴミ捨て場、階段、廊下など、定期的に共用部分をチェックすることによって、綺麗な状態を保てるようになります。
ゴミが散乱したまま放置されていたり、掃除が行き届いていなかったりすると入居者の意識も低くなり、共用部分だけではなく、専有部分まで汚れてしまう恐れがあります。
入居者トラブルを未然に防ぐためにも、定期的に見回りや掃除を行うようにしましょう。

管理会社や弁護士にすぐに相談できる環境にしておく

今回ご紹介した家賃滞納やペット問題、騒音問題、ゴミ出しのマナー、退去時の原状回復・敷金問題などの入居者トラブルが発生した際は、なるべく早めの段階で対処することが重要です。
事態を把握しているにもかかわらず、然るべき対応をしていない場合、新たなクレームや苦情が生じる可能性があります。
事態の収拾がつかなくなる恐れもあるほか、他の入居者にも悪影響が及んでしまいます。
適切な対応ができるよう、トラブルが発生した際、すぐに管理会社や弁護士に相談できるような環境を整えておくことが大切です。

些細なことから大きなトラブルに発展する可能性もあるため、初期段階で解決できるような体制を整えておきましょう。

まとめ

対策を取っていたとしても賃貸経営をするにあたり、入居者トラブルは起こり得る問題です。
トラブルが起きた時に重要なのは大家さんの対応です。
トラブルの原因となっている問題をそのまま放置せず、早めに対処することによって、その後の状況は大きく変わります。
リスクに備えて対策を講じた上でトラブルが起きてしまった場合は、管理会社や弁護士に相談するのがおすすめです。
知識や経験の豊富な専門家であれば適切に対応できます。

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