アパートは修繕やリフォームをすることで、長い期間収益を生む物件として所有できます。
しかし、築年数が上がれば老朽化が進み、入居者の減少や修繕費も増加して、建て替えが必要になる時期も訪れるでしょう。
アパートの建て替えは頻繁に経験するものではなく、何から手をつけて良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、アパートの建て替えについて基本的な情報から、費用や収支計画、コストを抑えるポイントについて解説します。
建て替えを検討されている方はもちろん、いずれ建て替えが必要な方もぜひ参考にしてください。
Contents
まずはアパート建て替えの流れを押さえよう
アパートの建て替えの流れについて把握しておきましょう。
実際は、施工業者の方から指示があり準備していきますが、全体像を知ることでよりスムーズに建て替えを依頼できます。
建て替えるための計画や資金計画を立てる
アパートの建て替えを検討した際、一番気になるのは費用面ではないでしょうか。
建て替えた後も、安定したアパート経営を続けるためには、建て替えの計画だけでなく、その後の資金計画についてもしっかり考える必要があります。
アパートを建築する際は、建物自体の工事費用以外にも、外構といった付帯工事、税金、申請手続にかかる費用などが必要です。
また、建築費用に関しては、建て替える物件の構造や設備のグレード、部屋の戸数、敷地条件によっても変動するので、資金計画をする際は十分に注意しましょう。
スケジュールを決める
一番の理想は、アパートの完成期が入居の繁忙期と重なることです。
完成してすぐに満室に近い状態になれば、建て替え直後から安定した家賃収入が期待できます。
可能であれば、繁忙期前にアパートが完成するよう計画を立てられると良いでしょう。
入居者の需要が多くなる時期は、1~3月なので年明け前までに完成していれば、1月から入居募集の広告を打てます。
しかし、注意しなければならないのが、通常のアパート建築とは異なり建て替えを行う場合、アパートに入居者がいるということです。
立ち退きの通知をしても、スムーズに入居者全員が退去するとは限りません。
そういった場合、立ち退きするまでの期間を含めた長期的な計画が必要になります。
高齢の入居者の場合、収入が低く物件探しも難しくなるので、転居先を紹介する必要も出てくるでしょう。
立ち退き交渉を行う
先述したとおり、アパートの建て直しには、既に住んでいる入居者に対して、立ち退きをお願いする必要があります。
例え物件を所有しているからといって、法律上正当な理由なく入居者に退去を求めることはできません。
また、立ち退きの成立には入居者の合意も必要となります。
立ち退きを要求する際には、「正当事由」と「財産上の給付」が必要で、大家さん都合で立ち退きを要求するケースでは、一般的に立ち退き料を支払うことになるでしょう。
退去のタイミングや立ち退き料に関しては、入居者との交渉に相当時間がかかるケースも考えられます。
転居先を斡旋したり、引っ越し費用も負担したりするなど、立ち退き交渉は大家さんにとって負担が大きいため、専門家を頼る方も多いです。
解体工事・建築請負工事の契約手続き
解体を依頼する業者と建築請負工事を別業者に依頼することは可能ですが、一緒に任せてしまった方がスムーズに工事が進むケースが多いです。
大きなアパートの解体作業には、解体工事業だけではなく、建設工事業の許可が必要になります。
また、騒音や大きな振動を発生させるような作業には、自治体に特定建設作業にかかる届出を提出してからの着工になる場合があるので気を付けましょう。
ローン契約
建て替える際に、ローンを組んで計画を立てる方も多いでしょう。
ローンが必要な場合、審査や金銭消費貸借契約の締結、融資が実行されるまでの時間を加味してスケジュールを立てましょう。
銀行などの民間金融機関と、政府系金融機関の日本政策金融公庫から融資を受けることができます。
銀行でアパートローンを組む場合、建設費の10~30%の自己資金があると融資が通りやすいです。
一方、日本政策金融公庫は、銀行と比較すると低金利で長期の固定金利を特徴としています。
状況に合わせて使いわけると良いでしょう。
完工時のチェック
工事が完工した後は、建物の立ち会い検査をし、引き渡しとなります。
依頼している建築会社から建築中に定期的に検査結果が報告されますが、完工時は、最終確認として建築会社の責任者と大家さんが一緒に立ち会い検査をします。
工事に対して不具合な点はないか、手直しが必要かなど細かい部分までしっかり確認しましょう。
また、施工に問題があれば、建築会社に手直しの依頼が必要です。
補助金申請
自治体によって変わってきますが、アパート建て替えをする際に補助金を利用することができます。
利用条件や補助金の有無は各自治体のホームページで確認しておきましょう。
補助金申請には、建て替えにかかった具体的な費用を求められます。
適切な経費集計や事実を証明する証憑書類の添付が必要になる場合もあるので、条件や必要書類などはあらかじめチェックしておきましょう。
登記
建築確認証など必要書類を用意し、登記手続きを行います。
アパート物件は、通常の戸建て住宅よりも物件価格が高いので、所有権の保存登記の際にかかる税金も高額になるでしょう。
固定資産税は、従来の建物と比べて新しくなった分税金も高くなります。
不動産取得税は、少し期間が経ってから納付書が送られてくるので、忘れずに資金確保をしておきましょう。
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アパート建て替えにかかる費用の内訳
建て替えに総額どれくらいの費用がかかるのか想像しにくいかもしれません。
ここでは、建て替えに必要な3つの費用についてご紹介します。
解体費
一般的なアパートの解体費用を構造別に紹介します。
・木造:坪約4~5万円
・鉄骨造:坪約6~7万円
・鉄筋コンクリート造:坪約7~8万円
坪面積を求めるには、1平米0.3025坪なので、平米数に0.3025をかけてください。
例えば鉄骨のアパートで延べ床面積が100坪あった場合、解体費用は約600~700万ほどかかる計算になります。
解体費用は、物件の大きさや構造、周辺の環境によって値段が変わります。
建築費
構造別の一般的なアパート建築費用相場は以下のとおりです。
・木造:坪約70~90万円
・軽量鉄骨造:坪約80~100万円
・重量鉄骨造:坪約90~110万円
・鉄筋コンクリート造:坪約100~120万円
2階建木造アパートで戸数が10部屋(30平米)の場合で考えると、各階の床面積の合計は300平米、つまり約90坪になります。
坪単価を70万円で計算した場合、6,300万円が建設費用としてかかるでしょう。
立ち退き料
アパートの建て替えは、立ち退き料金も含めて考えるようにしましょう。
大家さん側からの退去勧告は、期間満了の6ヶ月以上前までにしなくてはなりません。
入居者は法律上、正当な理由がなければ解約に応じなくても良いとされています。
老朽化しているから建て替える、というのは正当事由に該当しません。
そのため、建て替えの際、スムーズな立ち退きを行うために立ち退き料を支払うことになるのです。
立ち退き料金の相場は、家賃の6ヶ月分とされています。
しかし、交渉が成立しない場合には、引っ越し費用を含めて立ち退き料を支払う可能性が出てきます。
立ち退き料を抑えるには、残戸数が減った段階で退去勧告を行うと良いでしょう。
入居者の退去が発生しても、新しく入居者は入れず、タイミングを見て建て替えを検討すれば、立ち退き料は抑えられます。
以上の3つが建て替えに必要な費用です。
物件の構造や、規模によって価格が変わること、立ち退き料金などの費用が発生する点も考慮し、より具体的資金計画を立てましょう。
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アパートの建て替えにかかる費用相場はいくら?
アパートの建て替えには、どれくらいの費用が必要でしょうか?
必要な費用は、アパートの解体費用、建築費用、住人がいた場合の立ち退き費用がかかります。
規模や構造によっても変わってきますが、ここではアパートの建て替えにかかる費用相場を紹介します。
建築費用だけで1坪あたり50~100万円が相場
アパートを建て替える際には、平均として1坪あたり50万円~100万円が相場です。
ただし、この金額に関しては平均相場であり、地域によって差が生じます。
この金額の中に収まるアパートもあれば、大幅に相場を超えてしまう可能性もあるでしょう。
規模・構造によっても異なる
アパートの建て替えは、規模や構造によっても変わってきます。
解体や建築に関する費用は、構造によって大きく変化するものなので、建て替えの際に選んだ構造によっては大幅な費用が必要でしょう。
また、木造住宅の場合であっても基礎部分が何かによって建て替え費用が異なります。
他にも使用する素材、デザインなどによって状況が変わってしまうのです。
耐震性を重視した住宅であれば、結果的に建築費用が高くなってしまうので、建て替え費用に関しては、規模、構造、素材、環境などの違いで変化があることを把握しておきましょう。
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アパートの建て替えに必要な準備金について
上記のことから、アパートの建て替えには大きな費用が必要であり、金融機関から融資を受けて資金を準備する人がほとんどでしょう。
ここでは、アパートの建て替えに必要な準備金について解説します。
国からの融資を受ける
アパートを建て替える際には、日本政策金融公庫から融資を受ける方法があります。
日本政策金融公庫は、政府系の金融機関です。
低金利で長期間固定の金利で借りられるのが特徴なので、中小企業などが利用しやすいでしょう。
民間の金融機関と比較しても金利が低いので、返済時も有利です。
ただし、借り入れにはいくつかの条件があります。
それは、担保物件を保有していること、不動産賃貸業務をしていること、税金や公共料金の未納がないことなどです。
担保物件に関しては評価目安の30%程度であり、借入期間は最大15年~20年となります。
男性は15年、女性は20年で、79歳までの完済が必要なので、逆算して期間を決めましょう。
アパートローンを利用する
アパートの建て替えに必要な準備金は、アパートローンを利用することもできます。
一般的な金融機関には、アパート経営者向けのアパートローンがあり、これを利用して借り入れ可能です。
金融機関のアパートローンを利用するには、建設費を10%~30%程度の自己資金を用意しておくと融資がスムーズになる傾向です。
自己資金についても余裕を持って用意しておくと、アパートの建て替えがしやすいでしょう。
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アパートを建て替えるための収支計画を作成してみよう
アパートを建て替えたいと考えたら収支計画を作成してみましょう。
収支計画を立てたことがない、何を収支計画に含めていいのかなど悩んでいる方は参考にしてください。
収入・支出・収支の項目を作成する
アパートを建て替えるためには、収入・支出・収支についての計画を立てましょう。
この収入・支出・収支の項目は、アパートの経営に大きく関係してくる部分です。
きちんと把握できていないと、お金の動きがわからないだけでなく、無計画なアパートの建て替えになる可能性があります。
収入は家賃の他に駐車場、礼金、空室の数(減額)などを把握して計算します。
支出は、固定資産税、管理委託金、修繕費、火災保険、共益費、ローン返済金額などです。
収支は、毎月の手取り金額や年間の手取りを計算したものです。
実績を見ながら各項目を計算してみましょう。
各項目の数字を埋めていく
収入、支出、収支に含まれる金額がわかったら各項目の数字を埋めていきます。
ただし、各項目を記載する際にはいくつかの注意点があります。
【各項目と注意点について】
◎収入
・家賃
同じ地域や環境にあるアパートの賃料相場を把握します。
低めに設定しておくと、安心した計画になります。
賃料で今後の計画が変わることがあるので注意してください。
収支を記載する場合、家賃×入居者数×賃貸期間で算出できます。
・駐車場
地域差のある駐車場料金は、都心部なら4万円を目安にしてください。
郊外は1万円~15,000円程度を目安にすると良いでしょう。
駐車場台数×12ヶ月で計算します。
・空室の数(減額)
アパートは常に満室で計算しないで、一定の空室があると想定してください。
計画に余裕を持たせる、滞納リスクを考慮する際にも効果的です。
・礼金
入居者がオーナーに支払うもので、平均は家賃の1~2ヵ月分です。
入居者の入れ替わりを考えながら記載していきましょう。
◎支出
・固定資産税(都市計画税)
土地や建物にかかる税金です。
都市計画税は、市街化区域内に土地や家がある人が納める税金です。
これらを合わせて家賃収入の5%~10%以内で計算してください。
・管理委託金
アパート管理会社に委託している場合、支払うものです。
家賃収入の平均5%で考えてみましょう。
・修繕費
日々必要な維持管理や原状回復費、経年劣化などを考えた計画が必要です。
家賃収入の平均5%あると理想とされていますが、高く算出しすぎないようにしましょう。
・火災保険
アパートの構造や補償で金額が変動します。
事前に調べて平均価格を算出してみてください。
・共益費
アパートの維持に必要な部分です。
3,000円~5,000円程度で考えて計算してみましょう。
・ローン返済金
無理のない返済額を設定するようにしましょう。
理想の返済率は40%~50%ですが、この比率以上にすると計画が変わってしまうので気を付けてください。
実質利回りを算出する
各項目を計算した後、実質利回りを算出してみましょう。
収支計画で重要なのは、利益が見込めるかどうかです。
おおよそで問題ないので、建て替え資金が回収できるか、期間はどれくらいかを把握できます。
途中で予期せぬ事態が起こる可能性もあるので、不測の事態に備えられる内容にしましょう。
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アパートの建て替えを検討すべきタイミング
アパート経営をしていると、建て替えを検討しなければいけないタイミングがやってきます。
しかし、アパートの建て替えはどのような時にすればいいのかわからない人も多いでしょう。
そこで続いては、アパートの建て替えを検討すべきタイミングについて解説していきます。
築年数
アパートを含む住宅には法定耐用年数が決められています。
その年数を建て替えの目安にするというケースも多いです。
法定耐用年数は、建物の価値を示すもので年数を過ぎたら住めなくなるわけではありません。
そのため、過ぎたからと言ってすぐに建て替えをしなければいけないというわけではないのです。
法定耐用年数は、木造が22年、鉄骨造は材料の厚みによりますが19年~34年、鉄筋コンクリート造が47年となっています。
鉄筋コンクリート造は法定耐用年数が長いですが、築40年以上になると間取りやデザインなどが時代のニーズに合わなくなってしまいます。
設備も古くなってしまうため、入居希望者が少なくなってしまうでしょう。
空室リスクを軽減するための建て替えなら、減価償却やローンが完了した築25年~35年が目安になると考えておきましょう。
空室の多さ
アパートが古くなると、空室も目立つようになります。
古いアパートでも常に入居者がいる物件もありますが、そうでないケースの方が多いです。
しかり築年数が古くても入居者が絶えないのは、立地条件がよほど良かったり、築年数を感じさせないような付加価値があったりする場合に限ります。
立地条件が良いのに入居者が減ってきたと感じる場合は、設備や外観などに問題があると考え、建て替えの検討も視野に入れた方が良いと言えます。
アパートがあるエリアに問題がある場合だと、建て替えで改善されないこともあるでしょう。
そうなることを防ぐためには、市場調査をしっかりと行い、建て替えによるメリットが得られるかリサーチすることがポイントになります。
アパート経営に向いていない土地だと感じた場合は、他の土地活用法も検討してみてください。
外観・間取り
築年数が経過すると、外観や間取りが古くなってしまいます。
当時はそれで問題なかったとしても、20年や30年もの時間が経過するとニーズも変わってくるものです。
20年~30年前と現在を比べてみると、夫婦と子ども1人などの核家族が増えています。
ファミリー向けのアパートの場合、ワンルームや2人~3人家族向けの間取りに変えるだけで入居希望者が増えるといったケースもあります。
設備も最新のものに変えると、より魅力的な物件だと感じてもらえるでしょう。
デザインに関しても、今と昔では好まれる傾向が変わっています。
最近のニーズに合う物件にフルリフォームしようと考えているのであれば、建て替えて新築にした方が入居率アップにつながる可能性が高いです。
大幅なリフォームが必要になったのであれば、建て替えも視野に入れてみてください。
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建て替えとリフォーム、どちらにすべき?
アパートは建て替えだけではなく、既存の建物をリフォームするという選択肢もあります。
この2つの選択肢からどちらを選んだらいいか迷ってしまう大家さんもいるでしょう。
迷っている大家さんの悩みを海容するため、建て替えとリフォームの違いや費用の差、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。
建て替えとリフォームの違い
建て替えとリフォームの最も大きな違いは、基礎を残すかどうかという点です。
建て替えは、元々ある建物を全て取り壊して更地にしてから、新たな建物を建てます。
一方リフォームは、元々ある建物の土台や柱、梁などの基礎を残した状態で、改築や修繕、増築を行います。
リフォームの内容は多岐にわたり、壁紙やフローリングの張り替えといった部分的なものから基礎以外を全て取り除いて新しくするスケルトンリフォームと呼ばれるものまであるのです。
スケルトンリフォームをするほどの状況だと、建て替えと迷うケースが多いです。
建て替えと大規模リフォームを迷った時に知っておきたいポイントがあります。
それは、建て替えをすると元々あった建物よりも規模が小さくなってしまう可能性があること、建築基準法や都市計画法が制定される前に建てられた物件だと建て替えができない場合があることなどです。
建築基準法や自治体の条例は定期的な変更が行われているため、変更前の基準に則っている場合は上記のような問題が発生する可能性があることを念頭に置いておきましょう。
また、物件によっては大規模リフォームが難しい場合もあります。
壁や床などで建物を支えるような構造になっているアパートは、間取りの変更ができません。
これらを踏まえた上で、建て替えと大規模リフォームのどちらを選ぶか見極めることは重要です。
費用はどちらの方がお得?
アパート建て替えの費用は、延べ床面積や解体費用の坪単価などによって変わってきます。
大まかな相場は3,000万円以上となります。
もちろん、建てるエリアによって変動するのであらかじめ情報収集しておくことが重要です。
一方、大規模リフォームは1,000万円~2,500万円が相場となっています。
建て替えは、基礎部分からすべて作り直すのでどうしても高額になってしまいます。
しかし、構造によってはリフォームで間取りを変えられない場合もあるので、建て替え一択になってしまうパターンもあります。
基礎部分が傷んでいてリフォームに耐えられないと判断された場合も、建て替えを選択しなければいけません。
どちらを選ぶか迷った時は、これから先にどのくらい使用するか、間取りの大きな変更を希望するか、相続の予定はあるか、などを加味して決めましょう。
将来的に相続を考えているならアパートローンを使った建て替えで相続税などの節税をするのがおすすめです。
自分の代で終わる場合や他の土地活用を考えている場合は、建て替えではなくリフォームをした方がお得だと感じられるでしょう。
建て替えのメリット・デメリット
建て替えをすると新築物件になるのでメリットばかりだと感じる人も多いでしょう。
しかし、デメリットもあるので注意が必要です。
【メリット】
・空室率を下げられる
・資産価値が向上する
・減価償却や相続税の削減につながる
・家賃を高めに設定できる
【デメリット】
・建て替えにかかる費用が高い
・建て替えが完了するまでの期間が長い
大きなコストや長い時間がかかってしまうので、それに見合ったメリットが得られるか吟味することが重要です。
リフォームのメリット・デメリット
リフォームには建て替えとは異なるメリット・デメリットがあります。
どちらを選ぶか決めるための指標になるので、リフォームのメリット・デメリットも確認しておきましょう。
【メリット】
・建て替えよりもコストがかからない
・建て替えよりも工事にかかる期間が短い
・空室率を下げる効果も期待できる
【デメリット】
・修繕費はリフォームしてからも発生する
・新築のように全面的なリニューアルをするのは難しい
・収益性の改善効果が限定的になってしまう
大規模リフォームをしても、新築並みの家賃になることはありません。
また、老朽化した部分を全て変えるわけではないので、近いうちに修繕を行わなければいけないケースもあります。
空室率を改善するための方法として効果は期待できますが、収益力が大幅にアップすることはないと考えておきましょう。
INA&Associates Inc.は、不動産、IT、投資などにおける専門性と技術を活かし、「不動産」×「IT」を実現するために発生する、複雑な事柄に真摯に向き合い、”不動産をもっと分かりやすく。住まいを探されている方にとってもっと使いやすく。取引をもっとスムーズに。” 不動産×ITで独自の価値をお客様に提供することを目指しています。
アパートの建て替え費用を少しでも抑えるコツ
アパートの建て替えには高額な費用が掛かります。
そのため、建て替えを躊躇ってしまう大家さんもいるでしょう。
少しでも建て替え費用を抑えたいと思っている大家さんもきっといるはずです。
最後に、そんな大家さんの悩みを解消するため、費用を少しでも抑えるコツ・ポイントについて解説していきます。
解体費を抑えるためのポイント
解体費を抑えるためのポイントは以下のとおりです。
相見積もりは必ずとる
解体工事を依頼する際、相見積もりは必ずとるようにしましょう。
ハウスメーカー探しからスタートし、解体と新築をまとめてしてもらうこともポイントです。
ハウスメーカーは解体工事業者とのつながりもあるので、よりコストを抑えられる依頼先を見つけられます。
ハウスメーカーに複数の解体業者から相見積もりを取りたいと伝えておくと、解体費用を抑えられる可能性が高まります。
近隣住民への配慮を忘れない
近隣住民への配慮が不十分だと、クレーム対応のために余計な工事費がかかってしまう場合があります。
現場の担当者と大家さんであいさつ回りをするのがおすすめです。
トラブルが起こった時は、現場担当者とすぐに連絡が取れる体制にしておくこともポイントです。
アパートを新築する予定があるなら、それも合わせて近隣住民に説明するようにしましょう。
固定資産税が課税されるタイミングも考慮する
固定資産税の金額は、1月1日の時点で決定します。
1月1日に建物があると課税されるけれど、なければ課税されません。
アパートが建っている場合は、住宅用地の軽減措置が適用となります。
そのため、土地自体の固定資産税は安くなるのです。
しかし取り壊されていると、住宅用地の軽減措置は適用とならないので、土地の固定資産税は高くなってしまいます。
それを加味した上で、建て替えのスケジュールを決めるようにしましょう。
建築費を抑えるためのポイント
建築費を抑えるためのポイントは以下のとおりです。
複数のプランからより良い条件のものを選ぶ
アパートの建て替えをする前に、いくつかのハウスメーカーに足を運び、複数のプランを比較するようにしましょう。
比較するとハウスメーカー同士の緊張感も高まるので、より良いプランを形にしやすくなります。
大手ハウスメーカーに依頼し、工業化が進んでいる方法を選択することも、建築費削減のポイントです。
実質利回りを意識する
建築費はもちろん気になりますが、それよりも実質利回りを意識して建て替えをするようにしましょう。
ファミリー向けのアパートよりも小さい間取りで問題ない単身向けにした方が、収益性のアップを狙いやすくなります。
単身世帯数は増えていくと予想されるので、需要に合わせた間取りへの絶え替えは効果的です。
おすすめの間取りは、2DKです。
1戸当たりの広さを40平方メートル以上にすると、不動産所得税も抑えられます。
郊外の物件であれば、単身者の需要がより高まるという点も念頭に置いておきましょう。
土地が余ったら売却・土地活用を行う
アパートの建て替えで土地が余ったら、売却したり、他の土地活用方法を取り入れたりしましょう。
駐車場の借り手がいないようなエリアなら、思い切って売却を検討するのも1つの方法です。
地形が良く場合は、アパートと戸建て賃貸といったように配棟を見直すのも良いでしょう。
敷地を有効活用できる方法を模索し、最適解を導き出すことも建築コストの実質的な削減につながります。
立ち退き料を抑えるためのポイント
立ち退き料を抑えるためのポイントは以下のとおりです。
空室が半数以上になってから取り掛かる
建て替えをする際、入居者に立ち退き料を支払う必要があります。
入居者が多いと、支払う金額が多くなってしまうので注意しましょう。
立ち退き料を抑えるためには、空室が半数以上になってから取り掛かるのがおすすめです。
そうすることで、交渉の手間を省くことにもつながるため、大家さんの負担を軽減できます。
立ち退き交渉は冷静かつ丁寧に
立ち退き交渉をする場合は、誠意をもって対応することが重要です。
書面やメールなどで一方的に終わらせようとしてしまうと、トラブルに発展してしまう可能性が高いです。
相手の言い分を聞けない方法なので、気持ちが良いものではないと感じてしまうことが要因だと言えます。
不快感を与えないようにするためには、直接会いに行き、丁寧にお願いするようにしましょう。
立ち退き料の支払いも引っ越し代程度であればすることをしっかりと説明すれば、納得してもらえるケースが大半です。
定期借家への切り替えを提案してみる
定期借家契約は、契約期間が満了した時に入居者が立ち退き料を支払う必要がありません。
2000年3月1日以降に結んだ賃貸借契約であれば、双方の合意による普通借家契約から定期借家契約への変更が可能です。
ただし、定期借家契約は大家さんのメリットは大きいけれど、入居者のメリットはそこまで多くないという点を念頭に置いておかなければいけません。
そのため、家賃を下げることで応じてもらうというケースが多いです。
定期借家契約の期間が短いほど家賃の下げ幅は大きくなります。
また、退去時の原状回復を免除することや敷金を全額返金するというオプションを付けることにより、話がスムーズに進みやすくなります。
アパートの建て替えは、大きなコストがかかってしまいます。
お金がかかるからと放置して築年数が経過したままでは劣化していくばかりで、入居者の安全も確保しにくくなってしまうのでリスクが大きいです。
それでは空室率も高くなってしまい、大家さんにとってデメリットが大きくなってしまうでしょう。
そうなることを防ぐためには、適切なタイミングで建て替えを行うことが重要になります。
今回紹介したアパートの建て替えを検討すべきタイミングや建て替えとリフォームの違いなどを踏まえた上で、アパートを建て替えるための収支計画を立ててみてください。