賃貸物件の多くは1年あるいは2年ごとに更新時期を迎え、入居者に対し更新料を求めているかと思います。
更新料は管理者側にとって重要な収入源であるため、しっかり支払ってほしいものですが、時にはこの更新料を巡って入居者とトラブルになることも少なくありません。
そこで今回は、賃貸契約における更新料とはそもそもどのようなものなのか、更新の手続き方法や拒否された場合の対処法、実際に起こり得るトラブルについて詳しく解説していきます。
Contents
賃貸借契約の更新とは
まずは更新料について解説しつつ、普通借家契約と定期借家契約の違いや更新料の相場、更新の種類をご紹介します。
賃貸借契約の更新についていまいち把握できていない方は、よく確認しておきましょう。
そもそも更新料とは
物件を貸し出す際、大家さんと入居者の間で賃貸借契約を結びますが、多くの場合は契約期間に期限を設けてあります。
期限を設けることで期間満了となる前に、そのまま住み続けるか退去するのかを入居者が選ぶことになります。
契約を更新しそのまま住み続けることを選んだ場合、請求する費用が更新料です。
平成23年に行われた更新料を巡る裁判では、「月々の家賃を補充するもの」「賃貸借契約を継続させるための謝礼的なもの」と説示されました。
ただし、すべての賃貸で更新料があるわけではなく、地域によっては更新料のないところもあります。
必ずしも支払うものではない上に、物件ごとに更新料の金額にも差があるため、トラブルの原因となってしまうことも多いです。
普通借家契約と定期借家契約の違い
大家さんと入居者の間で結ぶ賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」という2つの契約があります。
・普通借家契約
契約更新:あり
契約期間:1年以上
中途解約:入居者は可、大家さんから求める際は正当な自由が必要
・定期借家契約
契約更新:なし
契約期間:自由
中途解約:入居者のみ、やむを得ない事情がある場合に限り可能
このように、普通借家契約と定期借家契約には大きな違いがあります。
賃貸物件のほとんどは普通借家契約であるため、契約期間には期限がありますが、更新が可能です。
問題がなければそのまま住み続けられます。
一方の定期借家契約には更新がなく、契約期間が終われば契約も満了となるため、入居者は退去する必要があります。
ただし、契約期間は自由に決められますし、大家さんと入居者双方の合意があれば再契約も結べます。
更新料の相場
更新料は地域によって相場も異なります。
東京・神奈川・千葉・埼玉といった都心周辺と京都が最も相場が高く、家賃の0.5ヶ月分以上、次いで群馬・茨城が家賃の0.3~0.5ヶ月分です。
それ以外の地域は更新料が発生したとしても家賃の0.3ヶ月未満や事務手数料程度といったことも多く、京都を除く関西圏や九州などのようにそもそも更新料がないという地域も珍しくありません。
更新料は基本的に大家さんが受け取れますが、管理会社に委託している場合は更新手続きも管理会社が行うため、それらにかかる費用を差し引いた後に振り込まれます。
管理会社に委託している場合の取り分は、約50%が相場です。
契約更新には3つの種類がある
契約更新には「自動更新」「合意更新」「法定更新」の3種類あります。
ここでは、それぞれの特徴について解説していきます。
自動更新
自動更新とは、契約期間満了と同時に自動的に契約更新することです。
自動更新するには、大家さんと入居者間であらかじめ満了時に契約を継続することを同意していなければいけませんが、事務手続きが必要ないため、更新手続きを忘れる心配がありません。
合意更新
合意更新とは、大家さんと入居者の双方が合意した上で契約期間を更新することです。
合意更新では、更新後の契約期間に制限がないため、契約条件なども自由に変更できます。
法定更新
法定更新は、更新手続きを忘れていたなど手続きをしないまま契約期間が満了してしまった場合に行います。
更新の合意が取れなかったり、そもそも更新手続きを忘れていたりした時でも、住む場所がなくならないようにと入居者を保護する目的で定められた更新方法です。
法定更新では、入居者から一定期間が経っても更新しないとした通知がない場合、借地法によりこれまでと同じ条件で自動的に更新されます。
ただし、契約期間は変更され、期間の定めがない契約となるため注意が必要です。
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更新の手続き方法
賃貸借契約を更新するにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
更新の流れや必要書類、同時に更新すべきものをご紹介します。
更新の流れ
契約更新では、まず期間満了の1~3ヶ月前に大家さんもしくは管理会社から入居者に対し更新に関する案内を通知し、更新の有無を確認します。
入居者が条件に同意すれば指定された期日までに更新契約書に記入し、更新料や手数料を支払うことで手続きは完了です。
必要書類
更新手続きでは、契約書を改めて用意する必要があります。
自主管理の場合は、早めに契約書を用意するとともに、入居者に対し少なくとも1ヶ月前には通知を出せるよう準備しておきましょう。
管理会社に委託しているのであれば、すべて用意してくれるため、特に自分で何かする必要はありません。
しかし、トラブルを防ぐためにも管理会社とどのような契約となっているか、手続きの準備は進んでいるか、確認しておくと安心です。
同時に更新が必要なもの
賃貸物件では火災保険や保証会社との契約も2年契約で結ばれていることが多いです。
そのため、更新手続きの際は、同時にこれらの更新も必要ないか確認しておきましょう。
特に火災保険の未加入は、万が一火災や災害が発生した場合のリスクが高いため、入居者に対し加入を条件にしているところも多いです。
更新手続きが必要ではないか確認してみてください。
また、家賃滞納などのリスクに備え保証会社を利用している場合、こちらも更新料が必要となる場合があります。
中には、1年ごとに更新料が必要なケースもあるため、併せて確認しておくと安心です。
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賃貸更新料の支払いを拒否されることはある?
入居者にとって家賃以外に支払わなければならない更新料は負担が大きいとして、時に支払いを拒否されることがあります。
次に、そもそも更新料の支払いは拒否できるものなのか、詳しく解説していきます。
原則拒否できない
結論から言うと、契約更新時の更新料の支払い拒否は原則として認められていません。
更新料は賃貸契約に基づく費用であり、最高裁でも高額すぎるなどの事情がなければ不当ではないとした判決が出ています。
ちなみに高額の定義に関しては、「家賃2~3ヶ月分までは高額にはあたらない」とされています。
最初に賃貸借契約を結んだ際、契約書に更新料について記載されているのであれば、それは「更新料の支払いがあることを認めた上で契約した」とみなされるため、入居者には支払い義務が生じるのです。
契約書の記載内容による
契約書に更新料の記載があれば、入居者には更新料の支払い義務が生じます。
逆を言えば、更新料に関する記載が契約書になく、他の書類でも更新料に対し入居者が合意したという証拠がなければ、支払い根拠がないとして請求しても拒否される可能性があります。
法律では更新料は支払い義務があるものでなく、当事者間の合意によって成り立つものであるとされているためです。
そのため、更新料は請求できるのは、あくまでも「契約書に更新料に関する記載があった」場合のみであることを覚えておきましょう。
ただし、更新料が高額すぎるなどの事情がある場合は消費者契約法に該当するため、支払いは無効となります。
家賃1年分など基準を大幅に超える更新料は無効となり、入居者から法的措置を取られる可能性もあるため注意が必要です。
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支払いを拒否されたらどうすればいい?
契約書に更新料について記載してあるにも関わらず入居者から支払いを拒否された場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
ここでは契約解除や訴訟について解説していきます。
契約解除できる?
契約書には更新料の記載もあり、不当な金額でもないにも関わらず、「管理が行き届いていない」「依頼したのに修繕してくれなかった」など何かしら理由をつけて、更新料の支払いを拒否しようとする入居者もいます。
契約は更新し住み続けることを希望しているが、更新料の支払いを拒絶する入居者に対し、大家さんとしては契約解除を主張したくなるのも当然です。
実際、このように支払いを拒否する入居者に対し、大家さんは契約解除を求めることができるのでしょうか。
更新料の不払いによる契約解除が認められるには、信頼関係が壊されたかどうかが争点となります。
賃貸借契約ではトラブルが起きた時、「信頼関係破壊の法理」と呼ばれる解釈指針に従い、判断されます。
つまり、契約違反をしたからといって解除が認められるわけではなく、更新料の不払いが両者の信頼関係を維持するのは難しいと言えるほどの背信行為だったかが判断基準になるのです。
では、どのようなケースだと更新料の不払いが契約解除の原因として認められるのでしょうか。
これまでの更新料を巡る裁判の判決を見てみると、更新料の金額が目安と言えます。
例えば、家賃1ヶ月分の更新料の不払いでは、契約解除が認められないケースが多いですが、家賃3ヶ月分では認められています。
家賃滞納による契約解除でも、3ヶ月分が基準となることが多いことから、更新料でも同じように3ヶ月分が目安になると考えられます。
しかし、過去には更新料2回分が不払いだったとして契約解除が認められたケースもあります。
この事例では賃貸借契約において契約期間は2年、更新時には更新料として家賃1ヶ月と定められていたにも関わらず、これまでに2回あった更新時期のいずれも支払いを拒絶したため、大家さんが契約解除を求めて訴訟を起こしました。
このように、入居者が更新料を支払わなかった場合、訴訟を起こすことも可能です。
訴訟を起こすことも可能
上記で紹介した事例ですが、契約期間2年・更新料家賃1ヶ月分という契約において、これまで2回あった更新時にいずれも更新料の支払いを拒否したとして、大家さんが契約解除を求めて訴訟を起こした事案になります。
このケースでは、入居者側は支払いを拒否したのは、大家さん側の管理や修繕に不満があったことで、これらが改善されれば支払うつもりだったと述べています。
しかし、結果として裁判所は大家さんの請求を認め、入居者に退去を命じました。
この事例が認められた理由は以下のとおりです。
・過去2回契約更新したのは、更新料の支払いに合意したと判断でき、当事者間の信頼関係を維持する基盤であると判断できる
・支払い義務を負った1回目の更新料及び2回目の更新料不買まで支払催告を受けてもなお、支払いを拒否し2年9ヶ月が経過していること
・入居者側は不払いの理由を述べ支払いを拒否しているだけでなく、火災保険や保証委託を巡っても意見が対立しており、話し合いが困難と予想される
・このような状況では今後も更新料が支払われることは期待できない
大家さんは入居者が更新料を支払うことに合意したからこそこれまで2回更新したのであり、入居者も更新料を支払うことに合意し更新したとみなされました。
そのため、賃貸借契約は当事者同士の信頼関係を維持する基盤となっており、不払いはそれらを壊す行為であると判断されたのです。
さらに、入居者側は管理や修繕がきちんとされれば支払うと言っているものの、これらは更新料の不払いの理由には当たらないこと、不払いの期間は長期に及んでおり金額も少額ではないこと、今後も不払いが解消される期待が薄いことなどを理由に、裁判所によって契約解除が認められています。
このように、入居者側の態度によっては、例え目安である家賃3ヶ月分までいかなくても、経緯や状況を考慮し、契約解除が認められることもあります。
大家さんにとっても更新料は賃貸物件を経営する上で重要な収入です。
契約書にもきちんと記載しているにも関わらず、理由をつけて支払いを拒否する入居者には、時には毅然とした対応を取ることも必要です。
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更新料の値下げや分割払いを要求される場合も
更新料の支払いを拒否されるケースは少なくありませんが、支払いの拒否とまではいかなくても、値下げや分割払いを要求される場合もあります。
更新料は賃貸契約に基づく費用であり、賃貸借契約書に記載があって合意している場合には入居者に支払いの義務があるため、こうした要求に応じる必要はありません。
では、どのような状況で値下げや分割払いに応じるべきなのでしょうか?
賃貸契約締結前
結論から言うと、賃貸契約締結前であれば更新料に関する値下げや分割払いの交渉があれば応じた方が良いでしょう。
契約締結前は、賃貸借契約書に署名し合意する前の段階ということになります。
そのため、入居者からすれば条件が合わない物件であれば契約しないという判断をすれば良いだけの話です。
賃貸経営には空室リスクがあるため、なるべく早く空室を埋めたいと考えている大家さんも多いのではないでしょうか?
そんな時、更新料を多少下げても入居してもらいたいという判断で交渉に応じたり、場合によっては分割払いに対応したりする方も実際にいます。
判断は大家さんに委ねられますが、賃貸契約締結前なら、状況に応じて対応することが大切です。
賃貸契約締結後
賃貸契約締結を交わし、既に賃貸に入居している方の場合、基本的には更新料の値下げや分割払いに応じる必要はありません。
先にも述べたように、入居者は既に賃貸借契約書の合意しており、更新料の支払い義務が発生しているからです。
ただし、これは賃貸借契約書に更新料の支払いに関する記載があることが前提です。
また、入居者の金銭的な事情から支払いが困難と判断される場合は、寛大な気持ちを持って対応するのも良いでしょう。
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更新料だけじゃない?契約更新時に起こり得るトラブル
契約更新時には、更新料の問題だけでなく様々なトラブルが起こる可能性があります。
続いて、契約更新時に起こり得るトラブルを4つご紹介します。
事務手数料
まずは、事務手数料に関するトラブルです。
更新料は大家さんが自由に設定できるものとなっているため、中には更新料不要としている大家さんもいるかもしれません。
しかし、管理会社に更新手続きを依頼していて、大家さんが更新料の徴収を行っていない場合、入居者は管理会社に対して事務手数料を支払う必要があります。
更新料を支払ってもらっていれば、そこから事務手数料を差し引くことになりますが、更新料が0円の場合は事務手数料のみを支払ってもらわなければなりません。
賃貸借契約書に、更新手続きに伴う事務手数料に関する記載があれば問題ありませんが、そうでなければ後々トラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。
賃貸借契約書
更新料やその他入居者の支払い義務に関しては、賃貸借契約書に記載があるかが重要なポイントになります。
賃貸借契約書に記載されていないものに関しては、入居者に徴収することは難しいと考えておきましょう。
賃貸借契約書に記載があるものは、入居者自身がしっかり読んで理解しておく必要がありますが、中には細かく読んでいない方もいます。
そうなると、「そんなことは聞いていない」と言いがかりをつけられてしまう可能性があります。
賃貸借契約書に記載している内容なら、既に双方で合意していることだと入居者に伝え、理解してもらいやすくなるでしょう。
家賃の値上げ
賃貸物件の家賃の値上げについては、法律で認められています。
大家さんの事情によっては、金額を変更することも可能です。
例えば、租税などの増加、土地や建物の価格の増減による経済状況の変動、周辺物件の家賃と比べて不相当な場合などが挙げられます。
しかし、急に家賃を値上げされれば苦情が来てしまいます。
家賃の値上げは、入居者との合意の上で決定しなければなりません。
家賃の値上げはいつでもできることになっていますが、実際には契約更新のタイミングで行うケースが多いです。
値上げ交渉を言い出すきっかけがないことや、トラブルを避けるためだと考えられています。
管理会社の変更
賃貸の契約更新に関する手続きは、管理会社に依頼しているといったケースも多いです。
管理会社が更新料に関する取り決めをしていることも多いですが、管理会社が変更になっても賃貸借契約書の記載内容は最初の内容で引き継ぐため、更新料の変更がない場合もあります。
しかし、中には大家さんを介さずに入居者と管理会社で更新料を変更されるケースがあるのです。
特に管理体制がしっかりしていないところに多く、管理会社が変更になった時点で契約内容や更新手続きに関する条件などを確認する必要があります。
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大家さんから契約更新拒否できるケースも
入居者から更新料を拒否されるケースで紹介してきましたが、場合によっては大家さん側から入居者の契約更新を拒否できるケースもあります。
賃貸の契約は、入居者が希望すれば更新するのが原則ではあります。
しかし、更新を拒否する正当な事由があれば、賃貸借契約を修了できるのです。
ここでは契約更新を拒否できる正当事由をご紹介します。
債務不履行がある
1つは、債務不履行があるケースです。
賃貸借契約書に記載されたルールに則った行動を取ってくれず、騒音や悪臭など、近隣住民に迷惑がかかったり入居者同士のトラブルの原因になったりしている場合、債務不履行が見受けられるとして契約更新の拒否が認められる可能性が高いです。
賃貸料を支払わず、延滞している場合も債務不履行に該当します。
また、債務不履行による信頼関係の破壊が認められる場合には、更新のタイミングに関わらず着手できます。
なぜなら、信頼関係の破壊による契約解除は、契約期間満了後の更新拒否と制度そのものが異なっているためです。
債務不履行による信頼関係の破壊は、大家さんはもちろん他の入居者の迷惑となり苦情の原因にもなるので、なるべく早めに対処する必要があります。
債務不履行に関する証拠があれば、入居者が契約更新を希望しても契約満了として退去してもらえるでしょう。
入居者に立退料を支払う場合
大家さんが入居者に十分な立退料を支払うことも、正当事由に該当します。
立退料は、大家さんの都合で契約を終了し、入居者に退去を求める際に支払うお金のことで、入居者が新しい物件を見つけて契約したり、引っ越したりすることを考慮して金額が決まります。
ただし、この場合は入居者が長年生活してきた地域を去らなければならないことの重大さや損失をしっかりと考慮した上で、立退料の算定をしなければなりません。
十分な立退料を支払う場合には、契約期間満了後に退去してもらえます。
物件の劣化に伴うリフォーム・建て直し
賃貸物件の老朽化や、地震・台風・豪雨などの被害を受け、建物が破損して居住できない状態になるケースもあります。
こうしたケースで物件のリフォームや建て直しをする場合、そのまま入居を続けることが危険と判断されるため、正当事由と認められやすいです。
実際に、リフォームを理由に契約更新の拒否をされた経験があるという方もいるのではないでしょうか?
大家さんにとっては、老朽化した物件のままでは空室の状態が長く続いたり、設備等の故障でトラブルが発生したりする恐れがあるため避けたいこともあります。
建物のリフォームや建て直しは正当事由と判断されるため、契約更新のタイミングで退去してもらえるでしょう。
トラブルを避けたい場合は、入居者には早めに通知しておくことが大切です。
やむを得ない事情と判断される場合
上記のほか、大家さん側にやむを得ない事情が発生した場合、契約更新を拒否できる可能性があります。
例えば、大家さんが住んでいた物件が経年劣化や災害など、何らかの理由でダメージを受け、居住し続けることが困難となった場合、自ら管理している物件の1室を生活の場とするしかない場合があります。
また、賃貸経営状況の悪化や大家さん自身の体調面などで、大家さんが管理できなくなってしまった場合、すぐに管理会社や他の大家さんに引き継ぐことができなければ入居者は退去せざるを得なくなるでしょう。
大家さんの個人的な事情の場合、どのような状況が正当事由に該当するかは難しい部分ではありますが、事情の深刻さによって判断される可能性が高いです。
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賃貸経営にはトラブルがつきもの!対策は?
契約更新時には、更新料や事務手数料といった様々なトラブルが懸念されます。
しかし、賃貸経営を続けるにあたっては、入居者との間で他にも様々なトラブルが発生する恐れがあります。
入居者とのトラブルを未然に防ぐために、大家さんができることは何でしょうか?
最後に、賃貸経営におけるトラブル対策をご紹介しましょう。
入居審査の徹底
大家さんは、空室リスクを避けようととにかく入居者を増やしたいという思いがあるはずです。
しかし、入居募集をしたからと言って誰でも入居できるようにすれば、後々トラブルを招いてしまう可能性があるため避けなければなりません。
入居希望者には、事前に入居審査を行い、人柄、収入状況、職業、家族構成などを踏まえ、トラブルを起こしにくいと判断される人のみを入居させるようにしましょう。
入居の段階である程度選定することができれば、契約期間中にトラブルが起こるといったリスクを回避できる可能性が高いです。
賃貸借契約書の記載内容を細かく確認
賃料・更新料・事務手数料などに関わる重要なものになるので、賃貸借契約書の記載内容も事前によく確認しておきましょう。
賃貸借契約書には、以下のような内容を記載します。
・物件の名称
・物件の所在地
・付属品・残留物について
・契約期間・更新について
・賃料
・共益費
・契約解除・明け渡しの条件
当然ながら、賃貸借契約書は賃貸物件の入居に関する契約を交わす上で最も効力を持つ書類となります。
大家さんと入居者の双方で合意し、賃貸借契締結後は法的な拘束力が生じ、入居者は記載内容に従う義務があることになります。
更新料を拒否されることを避けたいのであれば、賃貸借契約書にしっかり記載しておくのが絶対条件だと言えるでしょう。
契約を交わす前に、賃貸借契約に伴う記載内容を入居者とともによく確認しておくのもポイントです。
トラブル発生時の対応について説明しておく
契約時には、ルールや禁止事項などの詳細やトラブル発生時の対応についてよく説明しておくことが大切です。
例えば、家賃の滞納や騒音、ペット禁止などが挙げられます。
記載内容がこれだけなら、どのくらい滞納するといけないのか、騒音はどのくらいまでが該当するのか、小動物の飼育も禁止なのか、といった判断ができない場合があります。
ペット禁止とするなら、「ハムスター・熱帯魚等小動物の飼育も禁止」とした方がわかりやすいです。
また、契約時にそれぞれ細かく説明しておけば、誤解が生まれることはないでしょう。
ルール違反に伴う対応について伝えておくことも、抑止効果が期待できるのでおすすめです。
弁護士と相談できる体制の構築
契約更新に関することはもちろん、賃貸経営における入居者とのトラブルなどは、できるだけ早期に対応しなければなりません。
トラブルは必要な対策を講じておけばある程度抑止することは可能ですが、必ずしも避けられるとは限りません。
万が一トラブルが発生しても、適切な対応を取って問題を最小限に抑えられるようにするには、日頃から弁護士に相談できるような体制を構築しておくことがポイントです。
弁護士と顧問契約していれば、小さなトラブルでもすぐに解決できる可能性が高いです。
特に、契約更新に伴う更新料の支払い拒否は、よくあるトラブルのうちの1つでもあります。
当事者だけで解決することが難しいケースもあるので、問題が大きくなる前に弁護士に相談することが大切です。
まとめ
今回は、契約更新に発生する更新料や更新手続き方法、支払い拒否された場合の対処方法、その他にも起こり得る様々なトラブル対策などをご紹介しました。
契約更新時に、更新料の支払いを拒否してくる入居者は少なからずいます。
ほとんどの方は、賃貸借契約書の記載内容をしっかり把握していない可能性が高いです。
賃貸借契約書に更新料に関する記載があるなら、入居者は更新料の支払い義務が発生します。
賃貸借契約書は、入居の契約を交わす上で最も効力を持つ重要なものです。
まずは記載内容を見直し、トラブル発生時にも適切に対応できるようにしておきましょう。
賃貸経営には様々なトラブルが発生するリスクもあるため、弁護士に相談できる体制を構築しておくことも大切です。