不動産を売却する際に重視したいポイントはどこでしょうか?
まとまったお金が必要なので短期間のうちに売却を済ませたい、思い入れのある物件なので時間はかかってもいいから納得のいく売却をしたいなど、状況によって変わりますが、どんな状況であっても抑えておくべきポイントは存在します。
また、スムーズな売却を実現するには、不動産売却における一連の流れを把握しているかどうかも大きく関わってくるでしょう。
そこで今回は不動産売却について、知っておきたいポイントや売却の手順についてご紹介します。
不動産の売却を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
Contents
不動産を売却する際に知っておくべきポイント
「なるべく高く売りたい」「とにかく早く売りたい」など、不動産の売却を検討する際に重視するポイントは人や状況によって様々ですが、いずれの状況でも共通するポイントというものが存在します。
不動産売却を行う前に、まずは知っておきたいポイントをみていきましょう。
アピールポイントやマイナスポイントを明確にしておく
不動産会社の担当者は、購入検討者に向けて不動産の魅力をアピールすることで成約を目指します。
そのため、事前に売却したい不動産についてアピールポイントはもちろん、マイナスポイントも明確にしておきましょう。
担当者は不動産のプロなので当然、アピールポイントのチェックは適切ですし、セールストークにも長けていますが、実際の持ち主からの情報として伝えた方が、説得力があります。
自身が不動産の購入を検討する場合にどんな情報がほしいのか、どんなことを知りたいと思うかなどを考えながらそれぞれのポイントをピックアップしていくといいでしょう。
物件は綺麗な状態にしておく
不動産の購入検討者が希望した場合は、物件の内部を実際に見てもらう内覧を行います。
内覧では室内はもちろん、シンクやトイレなど、購入検討者が希望する場所をすべて見せることになります。
内覧当日はどこを見られても慌てずに済むよう、隅々まで片付けておき、掃除をしておきましょう。
持ち主にとっては見慣れた光景のため、少しくらい汚れていても気にならないかもしれませんが、内覧に訪れる購入検討者は初めて目にする光景になります。
第一印象というのは後々も大きな影響を与えるため、少しでもいいイメージを持ってもらえるよう、きれいな状態にしておきましょう。
シンクやトイレといった水回りは生活感が出やすいため、念入りな掃除が必要です。
時間がない場合や、汚れが落ち切らないなどの場合にはプロのハウスクリーニングを利用することも検討してみましょう。
また、意外と見落としがちなのが建物の出入り口周りです。
乱雑な印象を持たれないためにも不必要な物を置かないようにするなど、きちんと片付けておきましょう。
内覧を希望している方には可能な限り対応する
不動産の購入検討者が内覧を希望するということは、購入候補の一つになっている、興味があるのでもっとよく見たいなど、ある程度購入の意思があると想定できます。
「どうしようか迷っていたけど実際に見たらイメージが固まった」「他の候補物件よりも内覧時の対応が良かったので決めた」などと、内覧が購入検討者の気持ちを後押しするといったことは珍しくありません。
そのため、内覧を申し込まれたらスケジュールを調整するなどしてなるべく応じましょう。
内覧により購入の意思がより強くなり、成約しやすくなります。
必要に応じてリフォームをしておく
掃除をしても落ちないなど、経年劣化により物件に汚れや破損がある場合はリフォームが有効です。
汚れや破損とは、たとえ小さなものでも目に付くと気になってしまうものです。
物件の古さを感じさせるだけでなく、持ち主の管理の仕方についても良くないイメージを持たれてしまうおそれがあるので、リフォームを検討しましょう。
ただし、無事に成約できたとしても、売却価格にリフォーム費用を上乗せできるとは限りません。
売り出し価格を決定する際に不動産会社の担当者とよく相談してから実施すると間違いないでしょう。
INA&Associates Inc.は、不動産、IT、投資などにおける専門性と技術を活かし、「不動産」×「IT」を実現するために発生する、複雑な事柄に真摯に向き合い、”不動産をもっと分かりやすく。住まいを探されている方にとってもっと使いやすく。取引をもっとスムーズに。” 不動産×ITで独自の価値をお客様に提供することを目指しています。
不動産売却のステップについて
では次に、不動産売却を行う際のステップについて、注意点とともにみていきます。
高額な商品である不動産は、ステップの進め方次第で売却価格が100万円単位で変動するケースも珍しくありません。
流れをしっかりと把握することで納得のいく不動産売却を目指しましょう。
査定してもらう
不動産を売却する際はまず、不動産会社から査定を受けなくてはなりません。
査定とは、その不動産の価値や相場を調べ、適正価格を決定することを指します。
ここで注意しなければならないのが、売却を希望する不動産について、不動産会社が買い取るわけではないという点です。
不動産会社はあくまでも仲介を行うだけで、成約時の仲介手数料を得ることで利益を上げますが、万が一買い手がつかなくても不動産会社は一切の責任を負いません。
成約ほしさに不当に査定価格を上げ、顧客の囲い込みをするような不動産会社もあるため、一括査定を利用するなど、複数の不動産会社へ査定依頼を行うことをおすすめします。
事務所物件にはこんな特徴がある
事務所物件と居住用物件では売却に際して明確な違いがあります。
事務所とは、入居者が事業の拠点とするために利用するため、景気に左右されやすいのが特徴です。
景気が良くなれば事業の立ち上げが増え、事務所物件の需要が高まりますが、景気が悪くなると減少します。
景気にかかわらず一定の需要がある居住用物件とは大きな違いといえるでしょう。
また、居住用物件に比べると事務所物件の流通市場は小さく、立地やアクセスの良し悪しが大きく影響します。
そのため、成約までに時間がかかりやすい傾向が高いです。
高く売るには実績が豊富な不動産会社に依頼する
不動産会社には居住用物件や事務所物件、エリアや沿線など、それぞれ得意とする分野が異なります。
複数の不動産会社に査定を依頼することで適正価格を把握するとともに、それぞれの得意とする分野を調べましょう。
自身が所有する不動産をなるべく高く、スムーズに売却するには事務所物件の取引実績が豊富でノウハウのある不動産会社を選ぶことがポイントです。
前述の通り、不動産会社の中には成約ほしさに高額な査定価格を提示してくるところもあります。
実は不動産の適正価格とは相場によってほぼ決まっているため、そんな価格で売り出しても買い手がつくことはまずありません。
そのため、売れないことを理由にどんどん価格を下げられてしまい、最終的には相場よりもかなり低い金額で成約させられてしまうという手口も横行しています。
悪質な業者を避けるためにも査定依頼は複数社に行い、査定内容や応対などの比較検討に時間をかけるようにしましょう。
媒介契約を結ぶ
不動産の売買とは、多くの法律がかかわる専門的な取引です。
そのため、必ずといっていいほど不動産会社が関わっており、それは不動産の売却についても同様です。
不動産を売却しようと不動産会社に仲介を依頼する場合、売り手はまず、不動産会社と媒介契約を結ぶことになります。
媒介契約とは?
媒介契約とは、不動産を売却する際の条件や、成約時の仲介手数料について事前に取り決める契約をいいます。
この媒介契約によって不動産の売却がスムーズに進められるのです。
媒介契約には3種類あるため、自身が所有する不動産の状況を踏まえ、有利に働く契約を結ぶ必要があります。
・一般媒介契約
一般媒介契約とは、複数の不動産会社と同時に結べる契約であるうえ、自身で買い手を見つけた場合は不動産会社の仲介を受けずに売買を行ってもいいとされています。
3つの媒介契約の中でもっとも柔軟性のある契約で、レインズ(不動産流通機構)への登録義務や販売状況を売り手に報告する義務もありません。
・専任媒介契約
1社の不動産会社としか契約を結べないものの、自身で買い手を見つけてきた場合は不動産会社を仲介せずに売買を行えるのが選任媒介契約です。
一般媒介契約との違いは、仲介活動による実費の負担を求められる場合があるという点や、契約から7日以内に物件情報をレインズへ登録すること、14日に1回以上、売り手に販売状況の報告を行う点です。
・専属専任媒介契約
1社の不動産会社のみと契約を結び、売り手が自身で買い手を見つけてきても仲介を必要とするのが専属専任媒介契約です。
売り手にメリットが少ないように思われがちですが、レインズへの登録は契約から5日以内と早いため、人の目に触れる機会が多い特徴があります。
また、7日に1回以上の頻度で販売情報の報告を得られるので、タイムリーな情報がほしい場合に便利です。
媒介契約のチェックポイントを把握しておこう
媒介契約には3種類あり、不動産の状況に合わせて選ぶ必要があります。
専任媒介契約や専属専任媒介契約ではレインズへの登録義務や、販売状況の報告を受けられるので有効活用しましょう。
また、いずれの契約でも不動産会社から仲介を受けて売買を行った場合、仲介手数料が発生します。
不動産会社へ支払う仲介手数料には上限が定められており、課税対象でもあるため、実際には、仲介手数料に加えて消費税も支払わなくてはなりません。
仲介手数料は、以下のように売買価格によって上限の割合が定められています。
・売買価格が200万円以下の部分…売買価格の5%
・売買価格が200万円を超え、400万円以下の部分…売買価格の4%
・売買価格が400万円を超える部分…売買価格の3%
万が一、売買にあたり不動産会社が負担する経費がかさんでしまっても、媒介契約の範囲内の内容であればこの上限を超えて請求されることはありません。
違約金が発生することを忘れてはいけない
一般媒介契約と専任媒介契約では、売り手が自身で買い手を探してきた場合は不動産会社の仲介を受けなくてもいいことになっています。
ところが専属専任媒介契約では、必ず不動産会社の仲介を受けなくてはならず、仲介手数料の支払いが発生します。
これを無視して不動産会社を挟まずに売買を行った場合、契約違反となり、違約金を支払わなくてはなりません。
売り出し価格を決める
不動産会社と媒介契約を結んだら、不動産の適正価格を基に売り出し価格を決めていきます。
売り出し価格とは実際の販売価格のことで、買い手が支払う金額となりますが、不動産売却には税金や経費がかかります。
どのような税金がどれくらいかかるのか把握しておき、備えておきましょう。
譲渡所得税について
自身が取得した時よりも高い金額で売買した場合、売却によって利益を得たとみなされるため、譲渡所得税がかかります。
そのため、譲渡所得が発生した場合は確定申告を行わなくてはなりません。
譲渡所得にかかる税金の税率は不動産の所有期間によって変わり、長く所有していた方が、税率が低くなります。
ただし、自身が取得した時よりも安い価格で売買を行った場合は、譲渡所得税はかかりません。
消費税について
居住用ではなく、事業用に不動産を売買する場合は消費税がかかります。
テナント誘致を行って家賃収入を得ている、投資用に所有している不動産は“事業用”と判断され、建物に消費税がかかるのです。
そのため、買い手から消費税を受け取り、納税しなくてはなりません。
その他かかるコストを踏まえて売り出し価格は決まる
不動産を売却する際は税金の他にも、買い手と交わす売買契約書へ貼付する印紙代や不動産会社へ支払う仲介手数料など様々な費用がかかります。
また、不動産取得時に利用したローンの返済が残っており、売却代金によって完済を予定している場合、抵当権の抹消登記が必要です。
手続きを司法書士に依頼するケースが多いですが、依頼先によって報酬が異なるため、事前に確認しておく必要があるでしょう。
こういった細々としたコストがかかることを踏まえて、不動産会社は売り出し価格を算出しています。
購入を検討する方に対して内覧を行う
売り出し価格を決め、情報公開を始めると購入検討者から内覧の申し込みがくるので、対応をします。
人気のある物件の場合は内覧希望が多く、スケジュールの調整なども必要です。
内覧の必要性について
購入を検討する物件を実際に訪れることで、階段や通路などの様子や設備の使い勝手など、公開されている物件情報だけでは判別しにくいことや雰囲気などを知ることができます。
内覧が購入の決め手となるケースも少なくないため、内覧の申し込みを受けたらなるべく応じるようにしましょう。
オンライン内覧という方法も
内覧では買い手が不動産会社を訪れ、担当者と一緒に物件まで足を運ぶ場合と、現地集合の場合がありますが、どちらにしても外観や内装、設備など細かくチェックを行い、疑問点や不明点については質疑応答なども必要です。
しかし、内覧日を調整した結果、スケジュールが合わないということもあるでしょう。
せっかくの成約のチャンスをふいにしないためにも、インターネットを活用したオンライン内覧の導入を検討してみてください。
Web会議システムやアプリを利用したオンライン内覧であれば、不動産会社の担当者が物件の様子をカメラで配信しながら説明を行うので、参加者は自宅や出先など場所を問わずに内覧が行えます。
オンライン内覧のメリットとデメリット
オンライン内覧の最大のメリットはネット環境変え整っていればどこからでも内覧ができるという点です。
移動にかかる時間を省けるので、スケジュールの調整もしやすく、気軽に物件探しができるので成約のチャンスが広がります。
ただし、オンライン内覧では通信状況によっては途中で途切れてしまったり、物件内の雰囲気が伝わり切れなかったりするなどの理由から成約につなげられないといったデメリットもあります。
オンラインならではの手軽さを最大限に活かせるよう、内覧希望者には事前に重視して見たい場所や知りたいポイントをヒアリングしておくと満足度の高いオンライン内覧となるでしょう。
売買契約を結ぶ
内覧を終え、購入する意思を固めた買い手と、不動産会社を仲介して売買契約を結びます。
売買契約時に必要な支払い
しかし、契約を結んだからといってすぐに物件の引き渡しとはなりません。
まず、それぞれが代金の受け渡しを行います。
【売り手】
・印紙代を支払う
・不動産会社へ仲介手数料の半分を支払う
【買い手】
・印紙代を支払う
・売り手に対し、物件価格の10~20%にあたる手付金を支払う
・不動産会社へ仲介手数料の半分を支払う
ローンが残っている場合
不動産取得時に利用したローンの返済が残っている場合は、金融機関に対して売買による一括返済と抵当権抹消について手続き準備を依頼しましょう。
抵当権抹消に関する書類は用意に時間がかかるため、1ヶ月ほど見ておくと慌てずに済みます。
また、手続きの方法は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
一括返済に関しては、ローンの支払いを行う口座を指定して、売り手から不動産購入代金を振り込んでもらいます。
振込後、金融機関に着金確認を依頼し、残ったローンの全額を引き落としてもらえば完済です。
その後は法務局にて抵当権抹消書類を基に抵当権の抹消と、不動産についての所有権の移転について登記申請を行います。
物件を完全引き払えるよう、引越しはもちろん、公共料金の支払いなども済ませておきましょう。
物件の引き渡しを行う
売り手がローンを完済して抵当権を外し、物件の所有権が買い手に移ったことで、引き渡しが可能となります。
必要書類と鍵を売り手から買い手に渡すことで物件の引き渡しは完了です。
引き渡し当日は、司法書士に依頼して不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)に売買の事実を記載してもらいましょう。
確定申告を行う
不動産の売却を行ったら、確定申告が必要です。
売却した翌年の2月15日ごろから、申告期限の3月15日までに税務署へ申告を行いましょう。
ただし、確定申告が必要になるのは「売却益がある」「売却損の損益通算を受けたい」場合に限られます。
売却益があるケース
住居用の不動産を売却して売却益を得たとしても、要件を満たすことで特別控除を受けることができるため、3,000万円までの売却益は非課税となります。
しかし、事業用の不動産についてはそのような特例制度は設けられていないため、不動産を売却して売却益を得た場合は譲渡所得税の申告が必要です。
これは、売却価格から差し引かれた取得費用に減価償却費が含まれるためです。
売却損があるケース
売却額が取得時よりも低く、売却損がある場合は、事業用であっても住居用不動産と同様に「売却損の損益通算」が可能です。
売却損の損益通算とは、給与所得などにかかる税金が還付される制度のことで、利用するには税務署などへの申請が必要です。
売却益の損益通算が利用できるのは次の2つの場合です。
・住宅の買い替えで売却損が出た場合
・ローンの支払いが残る住宅を売却し、売却損が出た場合
事業用の不動産でも住居用の制度が利用できますが、そのためには確定申告が必要となるので忘れずに行いましょう。
確定申告を忘れてしまった場合
不動産を売却したら、翌年は確定申告が必要です。
しかし、期日までに間に合わなかったり、申告を忘れてしまったりすることもあるかもしれません。
期限はあるものの、確定申告はいつでもできるので、もし、確定申告を忘れてしまった場合は気付いたタイミングで早めに申告を行いましょう。
確定申告をしないまま放っておくと延滞税が科せられるばかりか、期限を過ぎた後の申告には無申告加算税が加算されてしまいます。
申告できる期間は決められているため、事前に準備をしておくなど、計画的な申告を心がけましょう。
まとめ
今回は不動産について、売却の際に知っておきたいポイントや売却の手順についてご紹介してきました。
住居用となる戸建てやマンションと違い、事務所物件は買い手のチェックするポイントも異なります。
自身の所有する不動産が少しでも高く売れるよう、売却のポイントを抑えておきましょう。
また、売却の手順についても、一連の流れを知っているのといないのとでは対処の幅が変わります。
不動産はおおよその相場が決まっているものの、不動産会社が違うだけで100万円単位の価格差が生じることも珍しくありません。
納得のいく不動産売却ができるよう、ポイントと手順をしっかりと把握しておきましょう。