アパート経営が相続税対策に!対策に向けたポイント&相続する際の注意点

相続には色々な問題がありますが、特に大きな悩みとして相続税が挙げられます。
日本の相続税率は、取得金額に応じて10~55%です。
引き継ぐ財産が高額になるほど税金は高くなってしまうので、少しでも相続税を減らすには対策が必要です。
相続税の対策に有効な策には、アパート経営があります。
本当にアパート経営が相続税対策になるのか、対策になるならそのポイントや注意点について知りたい方は多いでしょう。
そこで今回は、アパート経営で相続税対策ができる仕組みから相続での注意点まで解説します。

Contents

なぜアパート経営が相続税対策になるのか?

相続

資産運用だけではなく、相続税対策を目的にアパート経営への関心は高まっています。
なぜアパート経営が相続税対策になるのか、まずはその理由やメリットをご紹介します。

相続税評価額が下がる

相続税評価額は、相続税や贈与税を計算する際に使う財産の価額です。
現金の場合、額面の金額がそのまま相続評価額となります。
一方、土地や建物は一定のルールで相続税評価額が計算され、時価の30~50%ほどに圧縮されます。
現金と比べると相続評価額が少なくなるため、節税効果があるのです。

特に都市部の不動産の相続税評価額は、時価よりも安くなる傾向にあります。
この仕組みから財産は預貯金よりも不動産に替えた方が相続税の見込額は少なくなり、アパート経営は相続税対策に有効と言われています。

土地が広くなくても建てられる

アパートは、あまり広くない土地でも建てることが可能です。
60坪程度の広さがあれば、立派なアパートを建築できます。
また、工業専用地域や市街化調整区域を除けばどこでも建てられます。
木造や軽量鉄骨といった比較的安価な建築資材を使い、投資額を軽減することも可能です。
建てやすい物件であることも相続税対策に用いられる要素になります。

事業系の土地活用に比べるとリスクが少ない

土地の活用方法には住宅やアパート以外に、オフィスや店舗など事業系もあります。
経営面のリスクは、事業系よりもアパートのような住居系の土地活用の方が少なめです。

事業系の土地活用の場合、賃料単価が高くなる魅力がありますが、様々な事情から事業者が撤退するリスクあります。
また、好立地でないと事業者の誘致が困難になりやすく、賃料も景気により大きく変動する点もデメリットです。
一方、住居系の土地活用は常に一定の需要があるので、事業系よりも経営しやすいと言えます。

その理由から土地活用では事業系よりもアパート経営の方が選ばれる傾向にあります。

家賃収入を得られる

アパート経営を始めれば、家賃収入を得られる点も大きなメリットです。
入居者がいる限り毎月一定の収入が入るので、生活費に充てる金額や資産をさらに増やすことも可能です。

相続人もアパート経営を引き継ぐことにより、資産運用ができます。
家賃は景気変動の影響を受けにくいため、不景気の時も収入が減るリスクが少ない点も魅力です。

ただし、空室が多いと家賃収入を得られないため、その対策をしっかりすることが大事です。

借入金でさらに相続税評価額が減額されることも

アパートは借入金を使って建てるケースが一般的です。
建築費用に充てられる借入金は家賃で返済できるように組むため、実質的にローンの負担は最小限に抑えられるようになっています。

アパートを建てるのであれば、ローンの利用がおすすめです。
ローンを利用すると借入金の返済が必要になりますが、相続の時点で借入金が未完済の場合、債務控除が適用されます。
債務控除とは、借入金や未払金などの負債を相続財産から控除できる制度です。
相続税評価額から借入金の残高が差し引かれるため、相続税評価額の減額につながります。
たとえアパートを建てられるだけの自己資産があったとしても、ローンを利用して建てた方が節税では有利になります。
なお、借入金は家賃収入から返済できるようにローンを組むため、大きな負担になる心配も不要です。

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相続税額が減額する仕組み

税金

ここからは、相続財産と現金から不動産に替えることでどう減額されるのか、その仕組みを詳しく解説していきます。

相続税評価額はどのように算出される?

不動産の相続税評価額の計算方法は、建物と土地によって少し異なります。
建物と土地の評価額の計算方法は以下のとおりです。

・建物の場合
建物評価額=建物の固有資産税評価額×(1-0.3×賃貸割合)

・土地の場合
貸家建付地評価額=自用地としての価額×(1-借地権割合×0.3×賃貸割合)

賃貸割合とは、相続時の入居率を示します。
例えば、アパートが満室であれば家賃割合は100%になります。
アパートの一部を自宅として利用している場合は、その分を考慮して算定しなければなりません。

例えば同じ床面積で5室あるうち1室が自宅で、他4部屋を貸している場合の賃貸割合は80%と算定できます。
原則、賃貸割合は貸している部屋の床面積の割合から算定します。
また、「0.3」の数字は借家権割合を指しており、全国一律30%で固定です。
貸家建付地は、アパートやマンションが建つ土地のことを意味します。
貸家建付地の評価額の計算で必要になる借地権割合は、土地によって30~90%に設定されています。
借地権割合は、国税庁のホームページの路線価図や倍率表から確認可能です。

「小規模宅地等の特例」でさらに減額される

土地に建物が建っている場合、特定の要件を満たすことで小規模宅地等の特例が適用されます。
小規模宅地等の特例とは、土地の相続税評価額を最大80%まで減額できる制度です。

対象となるのは、元々住宅として使われていた特定居住用宅地等、事業で使われていた特定事業用宅地等、不動産貸付業に使われていた貸付事業用住宅地等の3種類です。
アパートやマンションが建つ貸付事業用住宅地等の場合、小規模宅地等の特例により相続する土地の200㎡まで本来の評価額よりも50%に減額できます。
評価額が減額となるため、現金での相続よりも大幅に相続税を抑えられます。
貸付事業用住宅地等に小規模宅地等の特例を適用するためには、以下の要件を満たさなければなりません。

・相続が開始される前からその土地が不動産貸付業用に使われている
・相続税の申告期間まで、土地の相続人が不動産貸付業を継続している

なお、2018度に税制改正が行われています。
以前は被相続人がなくなる直前に不動産貸付業を始めた場合でも小規模宅地等の特例が適用されました。
しかし、被相続人が亡くなる前の3年以内に不動産貸付業を始めた場合、特例の適用外となりました。
これは2018年4月1日以降に相続や遺贈で取得する土地に適用され、それ以前から不動産貸付業に使われる土地には適用されません。
また、節税目的ではなく、すでに事業的規模で不動産貸付業をしている人であれば、3年以内の取得でも特例が適用されます。
小規模宅地等の特例は、事業を継続していく上での負担を軽減するための救済措置です。
そのため、特例を適用するためには、被相続人が亡くなる以前から3年以上はアパート経営をしなければならない点に注意してください。

そのまま相続した場合と同額のアパートを相続した場合の税額

現金を相続した場合と同額のアパートを相続した場合、税額はどのくらい変わるのでしょうか?
相続財産1億円を1人が相続することを想定にそれぞれの税額を求め、比較してみます。

現金の場合

現金の税額は、「(取得金額-基礎控除額)×相続税の税率-控除額」で計算できます。
基礎控除額は被相続人の家族構成によって異なり、3,000万円に相続人1人あたり600万円ずつが加算されます。
例えば、相続人が1人だけであれば、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円」と算出することが可能です。
そして、相続税の税率と控除額は取得金額によって異なります。
取得金額が1億円の場合、国税庁の速算表を参考にすると5,000万円以上1万円未満に該当するので、税率は30%、控除額は700万円となります。
これらを計算式に当てはめると、現金の相続税額は以下のように算出されます。

(1億円-3,600万円)×0.3-700万円=1,220万円

アパートの場合

1億円相当のアパートを相続する場合、以下の条件を想定して計算していきます。

・基礎控除額:3,600万円(相続人1人)
・不動産の購入価格:土地4,000万円、建物6,000万円
・路線価評価:実勢価格80%
・固定資産税額:70%
・借地権割合:60%
・借家権割合:30%
・賃貸割合:100%(満室)

土地の評価:4,000万円×0.8×(1-0.6×0.3×1)=2,624万円
建物の評価額:6,000万円×0.7=4,280万円
合計:2,624万円+4,280万円-3,600万円=3,304万円

土地と建物の評価額を合わせ、そこから基礎控除額を引くと3,304万円となります。
その場合、相続税の税率は3,000万円以上5,000万円以下の20%、控除額は200万円となります。
それぞれの数字を計算式に当てはめて、相続税は以下のように算出されます。

3,304万円×0.2-200万円=444万8,000円

同じ1億円でも現金の場合は1,220万円の税金が発生するのに対して、アパートは444万8,000円と算出されました。
この結果からアパート経営には大きな節税効果があることが分かるでしょう。

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相続税対策にアパート経営を行う際に注意したいこと

相続

相続税対策のためにアパート経営を行う場合、気を付けたいことがいくつかあります。
アパート経営における注意点を見ていきましょう。

事業として成立させるために綿密な計画を練る

アパート経営は事業として成立させなければなりません。
相続税対策はあくまでも副産物と考え、自分自身の財産経営や老後の資金対策、財産の保全と目的とした機能を果たせるように計画を練っていきましょう。

採算を度外視したり、資金計画がずさんだったりすると、ローンの返済が滞るといったトラブルにつながります。
最悪、せっかく所有している財産を手放さなければならない恐れもあります。

賃貸需要を見定める

アパートは一部エリアを除いてどこでも建てることが可能です。
だからと言って、適当に土地を選んで建ててしまうとアパート経営は失敗してしまう可能性があります。
アパート経営は入居者がいないと成り立たないビジネスです。

賃貸需要のないエリアに建てたところで入居者は集まらず、家賃収入は得られない状況となってしまいます。
それを回避するためにも、賃貸需要があるかしっかり調査して土地やアパートを購入することが大事です。
もしも入居者が集まらない場合、一括借り上げやサブリースの検討も必要となるでしょう。

一括借り上げは不動産会社や管理会社が、オーナー保有の物件を一括で借りる行為です。
一方、サブリースはオーナーから一括借り上げした物件を代わりに第三者へ貸し出す行為です。
いずれも対価として一定の賃料を得ることができ、空室が続いても収入を確保できます。
しかし、一括借り上げやサブリースはオーナー側が毎月手数料を支払う必要があるほか、賃料の見直しにより収入が減ったり、オーナーの意見が反映されにくかったりといったデメリットがあります。

不動産会社と管理会社とトラブルになるケースもあるので、一括借り上げやサブリースへの切り替えは慎重な判断が求められます。
一括借り上げやサブリースを避けたいのであれば、賃貸需要のある土地を選ぶことが大事です。

実質利回りを算出しておく

アパート経営では利回りも重要です。
利回りには表面利回りと実質利回りの2種類があります。
表面利回りは、物件の価格に対してどれだけの家賃収入を得られるのか示す数値です。

維持管理費はコストの計算に含まれているので、あくまでも表面的な収益性と表します。
一方、実質利回りは維持管理費などを考慮し、どれだけの家賃収入を得られるのか実質的な収益性を表す数値になります。
実質利回りの方が、投資する物件の利回りをより正確に見ることができるので、とても重要な部分です。

実質利回りは「(年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件の購入価格+購入時の諸経費)×100」で算出できます。

家賃収入で所得税・住民税が発生することも覚えておく

アパート経営を開始すると不動産所得が発生します。
不動産所得は給与や年金などと合算され、所得税や住民税の対象になることを念頭に置いておく必要があります。
建てた当初は設備の減価償却費があるので、不動産所得は少なめです。
しかし、新築から10年以上経過すると設備の減価償却が終わり、償却費が減ってしまいます。
経年劣化により家賃収入は目減りし、さらに償却費も減少すると不動産所得は増え、所得税・住民税の負担も増えていくので注意しましょう。

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アパートの生前贈与も検討してみる

相続

持っていたアパートは、亡くなった時点で相続する以外に生前贈与する方法もあります。
もしもの時を考えるなら、生前贈与についても検討してみましょう。
次に生前贈与のメリットとデメリットについて解説します。

生前贈与を行うメリット

アパートの生前贈与を行うことは、相続人の変更や協議を行わないため相続関連の負担を軽減できるでしょう。

・贈与財産の評価額が低くなる
生前贈与を利用することで、贈与財産の評価額を抑えられます。
例えば、事前にアパートの価値を知っておき、同じ価値の現金とアパートを贈与したとします。
この場合、現金よりもアパートの方が評価額も低くなるため、贈与税が抑えられるという仕組みです。
そのアパートの価値が5,000万円だったとしても、評価額では2,100万円程度まで下がります。
現金とアパートでは同じ価値でも評価額が異なるため、固定資産税評価額を抑えたいと考えるなら、アパートを受け取った方が大きなメリットになるでしょう。

さらに、無駄な支出を減らすという点でも納得してもらいやすいです。

・所得の分散が可能
親の所得が高かった場合、アパートの生前贈与を早めに行うことで所得の一部を子どもに移動できます。
所得税そのものは、累進課税での計算が行われます。
所得の低い子どもがいる場合は、生前贈与をしておくことで所得税を低く抑えられ、所得の分散としても有効な方法となるでしょう。

相続する相手が既に決まっている場合は、死後の相続よりもできるだけ早いうちに生前贈与を行うことで、税金対策として大きなメリットが得られます。

・特定の相手に引き継ぎができる
生前贈与をしたいものの、相続人が複数いると悩むことでしょう。
特に死後は、相続人同士で遺産争いが起こる可能性も否定できません。
このような場合は、事前に特定の相手に生前贈与を行い、引き継がせたい子を決めておくのが良いでしょう。
生前贈与であれば、亡くなった後に慌てることもなく、相続される側もアパート経営について学べたり、心構えができたりします。
急に亡くなった後に相続すると、引き継いだ相手も困惑してしまうかもしれません。
今後も、アパート経営を続けてほしいのであれば、生前贈与でアパート経営に関する知識やノウハウを習得できるように伝えておくのがおすすめです。

・賃料を収入として受け取れる
アパート経営者として生前贈与を受けた場合、アパート経営を任せられることになりますが、それ以外にも賃料収入が得られるようになります。
自身が経営者なので、管理などもしなければなりませんが、不労収入として家賃収入がプラスされます。

生前贈与を行うデメリット

生前贈与にはメリットもありますが、デメリットになる部分もあります。

・諸費用が必要
生前贈与としてアパートを渡した場合、受け取った相続人は所有権移転登記や不動産取得税などの費用を支払わなければなりません。
所有権移転登記では、登録免許税がかかってきますが、これが贈与となれば2%になります。
固定資産税評価額であれば0.4%で済みますが、贈与では大幅にアップしてしまう仕組みです。

また、不動産取得税に関しては相続での課税がありませんが、贈与となれば建物の固定資産税評価額の3%が課税されます。
そのため、生前贈与では多くの諸費用が必要になるということです。

・負担付贈与に気を付ける
一般的な贈与は、無償で財産を与えることを指しています。
一方の負担付贈与では、無償で財産を与える代わりに何かしらの負担を約束するものです。

当事者が合意する内容であれば、どのような負担も条件にできます。
例えば、家を贈与する代わりに住宅ローンの残金支払いや、車を贈与する代わりに一緒にローンの支払いなどを依頼できます。
アパート経営でも同様で、相続させる代わりにローンも負担してほしいという条件でお互いに了承できるなら、負担付贈与になるのです。
贈与財産の場合は、時価から債務を差し引いた額に贈与税が加算されます。
時価になるとどうしても通常の取引価格になってしまうので、固定資産税評価額より高額になることもあります。
このようなケースでは、贈与税も大幅に高くなってしまうので気を付けましょう。
さらに、負担付贈与では贈与者自身にも所得税が課せられます。
多くの負担があると、負担付贈与そのものは悪いことだと思われがちですが、決して損だけではないのでよく検討してみましょう。

・土地の相続税評価額が上がる
生前贈与でアパートを相続する場合、建物がある土地は自宅などの自用地ではないとみなされます。
貸家建付地として考えられるため、相続税の評価も引き下げられるのです。
入居者が既に住んでいる状態でアパートの建物を生前贈与した際に、土地を子どもが無償で借りるとなれば土地も賃家建付地として引き継がれます。

賃家建付地の場合、入居者が変わらないことが条件になります。
引き継ぎ当時だけでなく、贈与後に入居者が変わってしまえば貸家建付地評価から自用地評価になってしまうのです。
自用地評価になれば、相続税評価額が上がり支出が増えます。
そのため、土地の相続税評価額は一時的に下がることを覚えておきましょう。
サブリース契約を結んでいる場合は、入居者の入れ替わりでも賃家建付地としての評価になります。

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【相続人向け】アパートを相続したらチェックすること

相続

アパート経営を相続した場合、これから何をすべきかわからない方も多いでしょう。
もしアパートを相続することになったらどのような手順で何をするべきか、この記事を参考に進めてみてください。

ローン残高を確認する

親が相続税の対策としてアパート経営を行っていた場合、引き継ぎたいという気持ちだけで進めようとするかもしれません。
しかし、最初に確認すべきこととしてローン残高について調べておきましょう。
ローン残高の金額で、収支のバランスはどうなっているかを判断しなければなりません。

さらに、ローン残高は遺産分割協議で相続人を決める際にも関係してきます。
その理由は、アパート経営を相続することは、ローンという負債も同時に相続することになるからです。
そのため、ローン残高があるか、ローンがあればどのくらいの金額かでアパート経営を相続すべきか判断できます。
相続前に必ず確認しておきましょう。

所有者が誰になるか決める

遺産を分割する際、現金であれば相続人の人数で分割できます。
しかし、アパートなどの不動産では、全員均等に分割するのは困難です。
そのため、遺産分割協議書で揉めてしまうこともあるでしょう。
もしもの時、スムーズに物事を進めたいなら事前に遺言書を書いてもらい、他に遺産がないかを確認して、所有者をすぐに決められる状態にしておきましょう。
また、所有者を決める場合は兄弟や親戚などと共有名義にするのは避けてください。
後ほど詳しく解説しますが、誰かと共有名義にしてしまうとアパートの売却や修繕時に全員の署名を集める必要があります。
相続人が決まったら、すぐにローンの残債務がある銀行に連絡してみてください。

相続登記を行う

相続人が決定したら、名義変更目的で相続登記をしましょう。
これは、被相続人から相続人に変更する手続きであり、相続者が決まってすぐに行わないとトラブルの元になる可能性も考えられます。

相続登記していない場合、いつの間にか相続人が増えていたり、不動産売却のタイミングで相続人の人数が変わったりする可能性もあります。
また、相続登記をしなければその先の進むことしかできません。
相続登記しない以上、売買や賃貸として貸し出せないので注意してください。

入居者に連絡する

無事に相続人が決まったら、アパートの名義変更について賃借人へと連絡しましょう。
亡くなってしまってからでは、銀行の口座が凍結されて引き落としがストップします。
口座の凍結により、家賃の振込もできなくなってしまうので、早めの連絡がおすすめです。

アパート経営を続けるか考える

アパート経営は、短期間で大きな成果を発揮できるものではありません。
じっくり時間をかけ、工夫を凝らすことで成功にもつながります。
しかし、アパート経営について継続するか止めるかの判断をしなければならない時もあるでしょう。
アパート経営を続けるべきか、売却すべきかは慎重に検討する必要があります。

アパート経営を続けた方が良いケース

アパート経営は様々なリスクがあり「儲かる」と言われる一方で、うまくいかない時もあります。
必ず相続したら、アパートを継続して運営しなければならない決まりはありません。

今後も維持できて、収入アップが見込めるアパートであれば経営を続けても問題ありませんが、リスクを負っても経営を続ける意味があるのかを考えてみましょう。
一般的にアパート経営には、空室リスク、家賃滞納リスク、自然災害リスク、ローン返済リスク、住民同士のトラブルリスク、修繕や老朽化によるリスクなどがあります。

これらのリスクに対しても対応できるなら、アパート経営を続けた方が良いでしょう。
アパート経営を継続できる目安は、毎月の収支がプラスになっていること、築年数が15年以下であることです。

アパートを売却した方が良いケース

アパート経営を継続できるケースがある反面、売却した方が良いケースも存在します。
相続税の支払いに必要な資金がない場合や、他の相続人とアパートの分割で揉める可能性が高い場合は売却した方が良いでしょう。
相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日から10ヶ月以内に申告して納税しなければなりません。
しかし、相続税を支払う資金が十分でない場合は、相続したアパートの売却金を税金の支払いに充てた方が良いでしょう。
また、兄弟がいる場合、アパートの分割方法について話し合いでも決まらない可能性が高いです。
前述した通り、アパートを共有名義にしていると何かあった時に全員の署名が必要であり、手間がかかってしまいます。
そのため、収益改善の見込みが少ない場合は売却するのがおすすめです。
他にもアパートの収支がマイナスであること、入居者関連のトラブルがある場合も売却した方が得策でしょう。

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相続手続きにおける4つのポイント

相続

アパート経営を相続する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
ここでは、そのポイントについて説明していきます。

共有名義にしない

アパート経営を相続した場合は、共有名義にしないことがおすすめです。
複数の名義人が存在する場合、それぞれの相続割合に応じた分で共同所有します。
このような方法は、相続において公平な手段に見えるかもしれません。
しかし、共有名義にしたことで名義人の間でトラブルが生じるリスクも高まります。
共有名義にした場合、名義人全員の同意なしにアパートの売却や3年以上の長期間の賃貸契約を結ぶことができません。
特に売却に関しては名義人間で意見が割れることが多く、思うように売却できないケースもあります。
また、現状維持のための改築や修繕は所有者のうちの1人の判断でできますが、資産価値向上のためのリノベーションなどは、共有名義人のうちの過半数の同意が必要です。

法定相続分に沿って借金を分割されないようにする

相続問題において、アパート経営を引き継いだ際には、手続きを済ませない限り借金まで法定相続分通りになってしまいます。
民法では、債権者尾後のために被相続人の借金も相続の対象です。
遺産分割協議を行い、アパート経営を相続する人が決まったとしても、この内容を銀行に申し出なければ借金も分割されてしまいます。
アパートを引き継がない相続人からすれば、権利を決めたにもかかわらずローン返済を求められたら驚いてしまうでしょう。
このような事態にならないためにも、銀行への連絡を怠らないようにしてください。

相続登記は早めに実施する

アパート経営の相続は、他の財産相続とは異なります。
その違いは相続登記です。
相続登記は名義変更のことであり、所有者が亡くなっただけでは勝手に変更されません。

この名義変更をするために、登記の申請が必要になるということです。
現在、相続登記に関しての申請義務や期限は設けられていませんが、2024年4月1日からは相続登記の義務化、相続で不動産取得を知った日から3年以内に名義変更や登記をする必要が求められています。
行わない場合は、10万円以下の過料対象になるので、早めに実施してください。

自力で相続登記するよりも司法書士に相談する

登記関連の手続きは相続人が法務局に出向いて行うこともできますが、申請書の作成や書類の請求に関しては難しい部分もあります。
時間や手間もかかってしまうため、専門化である司法書士への依頼が便利です。

司法書士への依頼は、一般的に7万~15万円程度かかってしまいますが、これらの手続きや申請などを全て代行してくれるだけでなく、相続関連の問題にもアドバイスしてくれます。
司法書士への依頼なら、相続関連を専門としている事務所への相談がおすすめです。

アパート経営は良好な経営で安定した収入源になりますが、相続税対策としても活用できる方法です。
アパート経営によって相続税が減額する仕組みであり、生前贈与もできます。
経営者が将来を考えるなら、これらの点についても知っておくと良いでしょう。
また、元気なうちに相続人を決めておいたり、アパートの売却について検討したりしましょう。
もし今後のことが不安な場合は、事前に相続関連専門の司法書士への依頼もおすすめです。

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