屋根の形状には様々な種類があり、その形状によって特徴が異なります。
賃貸向けの物件では、雨漏りのしにくさやメンテナンス性能なども考慮して屋根の形状を選ぶことが大切です。
メリットとデメリットを理解した上で、適切な屋根の形状を選ぶことをおすすめします。
そこで、今回の記事では屋根の形状の種類や特徴、屋根材の種類、マンションで主に使われている形状の屋根の種類などを詳しく紹介していきます。
賃貸物件で屋根の形状や屋根材選びなどでお悩みの方は、参考に目を通してみてください。
Contents
屋根の形状にはどれくらいの種類がある？特徴は？
屋根の形状にはどれくらいの種類があるのでしょうか？
まずは、屋根の形状の特徴とメリット・デメリットをご紹介していきます。
切妻（きりづま）屋根の特徴とメリット・デメリット
切妻屋根は、世界的に最も普及している屋根の形状です。
2枚の板を左右対象に合わせたシンプルな構造で、本を開いて逆さまに置いたかのような見た目をしています。
屋根がない部分を「妻側」、屋根がある部分を「平側」と呼びます。
切妻屋根のメリットは、「施工費用が安いこと」「水はけが良く雨漏りしにくいこと」です。
シンプルな構造の屋根なので、換気やメンテナンスがしやすく、ソーラーパネルが設置しやすいことも切妻屋根の魅力です。
複雑な形状の屋根だと、屋根材が限られてしまいます。
しかし、切妻屋根なら様々な種類の屋根材を選ぶことができるので、和風な家にも洋風な家にもデザインを合わせやすいです。
切妻屋根のデメリットには、妻側や破風板が紫外線や雨風の影響で劣化しやすいことが挙げられます。
また、普及率が高い屋根の形状なので、個性を出しにくいこともデメリットと言えるかもしれません。
寄棟（よせむね）屋根の特徴とメリット・デメリット
寄棟屋根は、切妻屋根に次いで普及率が高い屋根の形状です。
屋根の中心の棟から四方に屋根が流れる形状をしています。
切妻屋根の妻側にも屋根があるようなイメージで、落ち着いた印象の家に仕上がりやすいです。
寄棟屋根のメリットは屋根が全面にあるので耐風性が高く、分散して水はけできることです。
そのため、切妻屋根よりも外壁が劣化しづらくなっています。
寄棟屋根のデメリットは、「屋根が増えることや構造が複雑なことから施工費用やメンテナンス費用が高くなりやすいこと」「屋根裏に湿気が溜まりやすいこと」です。
また、屋根の形状や面積的にソーラーパネルを乗せたい場合にはおすすめできません。
ソーラーパネルを検討している場合には他の形状の屋根を選んだ方が良いでしょう。
片流れ（かたながれ）屋根の特徴とメリット・デメリット
片流れ屋根は、1枚の板を片側に傾けた形状の屋根です。
最もシンプルな屋根の形状で、スタイリッシュなイメージに仕上がります。
モダンな家がお好みの方に採用されていることが多いです。
片流れ屋根のメリットは、「シンプル故に施工費用やメンテナンス費用を抑えること」や「ソーラーパネルを設置しやすいこと」です。
1枚の板が屋根となっているので屋根面が大きく、ソーラーパネルの設置に向いています。
南側に向けて傾けることで効率良くソーラーパネルを運用できるでしょう。
また、スタイリッシュな見た目に仕上がることも片流れ屋根の魅力と言えます。
片流れ屋根のデメリットは、大雨や大雪の際に雨樋に負担がかかりやすいことや雨漏りしやすいことです。
負担がかかりやすいので、片流れ屋根にする場合は雨樋を定期的にメンテナンスしなければなりません。
換気棟を設置できないので、外壁の劣化が早い傾向にあることもデメリットでしょう。
陸（ろく・りく）屋根の特徴とメリット・デメリット
陸屋根は、傾斜のない平たい屋根です。
屋上がある家やビルなどで採用されており、スタイリッシュな印象に仕上がります。
他の屋根と違って、屋根材ではなく防水シートで施工します。
陸屋根のメリットは、屋上を活用できることや、掃除やメンテナンスがしやすいことが挙げられます。
モダンでスタイリッシュな印象に仕上がることも、人によってはメリットでしょう。
陸屋根のデメリットは、屋根に傾斜がないので水はけが悪いことです。
屋根部分を防水加工したり、塗装で防水性能を持たせたりする必要があるので、塗装単価が高くなりがちです。
また、断熱性能が下がってしまうことやソーラーパネルを設置したい場合には架台が必要なこともデメリットでしょう。
方形（ほうぎょう）屋根の特徴とメリット・デメリット
方形屋根は、4枚の三角形の板を合わせたピラミッド型の屋根です。
寄棟屋根に似ていますが、寄棟屋根よりも方形屋根の方が棟は少ないです。
屋根の形状的に、屋根の下にある部屋は正方形に近くなければなりません。
そのため、日本ではあまり見られない形状の屋根となっています。
寺院で見られる六角形・八角形の屋根も、方形屋根です。
方形屋根のメリットは、耐震性耐風性に優れており、雨漏りのリスクが低いことです。
バランス良く雨や雪を分散できるので、寒冷地の建物にも向いています。
方形屋根のデメリットには、正方形の家でないと方形屋根にできないことが挙げられます。
また、通気性が悪いことやコストがかかること、ソーラーパネルを設置しにくいこともデメリットです。
差しかけ屋根の特徴とメリット・デメリット
差しかけ屋根は、屋根が1階と2階で段違いになっている形状の屋根です。
総2階ではなく、2階よりも1階の方が広い家にありがちな屋根となっています。
屋根と屋根の間に外壁ができる形状なので、そこに窓を設けることができます。
差しかけ屋根のメリットは、耐風性や断熱性に優れており、ソーラーパネルを設置しやすいことです。
また、屋根と屋根の間に窓を設けることで、自然光を取り入れやすく通気性をアップさせることもできます。
外壁があるので、2階に屋根裏やロフトを作りやすいこともメリットです。
差しかけ屋根のデメリットは、雨漏りのリスクがあることです。
そのため、雨仕舞いをしっかりしなければなりません。
入母屋（いりもや）屋根の特徴とメリット・デメリット
入母屋屋根は、上が切妻、下が寄棟の形状になっている屋根です。
弥生時代から日本建築で使われている重厚感や高級感のあるデザインです。
日本瓦と相性が良く、和風の家に見られます。
入母屋屋根のメリットは、耐風性・断熱性・通気性に優れていることです。
複雑な形状をしているので、重厚感があり高級感のあるデザインに仕上がることも魅力的でしょう。
入母屋屋根のデメリットは、施工費やメンテナンス費用が高いことです。
また、雨漏りのリスクもあるので注意が必要です。
腰折（こしおれ）屋根の特徴とメリット・デメリット
腰折屋根は、切妻屋根の勾配が途中で急勾配になった将棋の駒のような見た目の屋根です。
ギャンブレル屋根とも言われています。
丸みがある屋根なので、他の屋根よりも可愛らしい印象に仕上がるのが特徴です。
日本では、北海道や東北などの北の方の地域で採用されていることがあります。
腰折屋根のメリットは、切妻屋根よりも水はけが良いことです。
雨が降った際に、雨樋にほとんどの雨水を流すことができます。
水はけが良いので、屋根の劣化がしにくいこともメリットに挙げられます。
また、雪も屋根の上に溜まりにくいので、寒冷地にもおすすめです。
腰折屋根のデメリットは、勾配の変わり目から雨漏りするリスクがあることです。
そのため、雨漏りしないように雨仕舞いをしなければなりません。
招き造り
招き造りは、切妻屋根と片流れ屋根を組み合わせたような形状の屋根です。
切妻屋根は左右対象の板を合わせますが、招き造りは左右非対称の板を合わせます。
片方の屋根が短く、デザイン性が高い印象に仕上がります。
招き造りのメリットは、採光性・通気性が良く、雨漏りしにくいことです。
切妻屋根と片流れ屋根の良いとこ取りをしており、片流れ屋根の雨漏りしやすさがありません。
招き造りのデメリットは、切妻屋根と同様に妻側や破風板が劣化しやすいことです。
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屋根の形状の他に屋根材も知っておこう
屋根の形状だけではなく、屋根材の種類も見てみましょう。
屋根に使われている素材は幅広く、それぞれ特徴が異なります。
ここからは、屋根材別の特徴についてご紹介します。
スレート
スレート屋根には、化粧スレートと天然スレートがあります。
化粧スレートは、セメントと繊維素材を混ぜて5mmほどの薄い板状に加工したものです。
軽量なので施工しやすく、施工費用が安いです。
しかし、割れたりカビや苔が繁殖したりしやすいため、10年ごとに塗装しなくてはなりません。
天然スレートは、玄昌石などの自然の素材を材料にした重量感のある素材です。
高価なことから、日本ではほとんど使われていません。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンで表面にメッキをした鉄板です。
金属であるものの、錆びにくいのが特徴です。
また、耐用年数が長く耐震性が高く、勾配が少ない屋根にも施工できます。
ジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板は、砂粒で表面をコーティングしてある金属の板です。
ガルバリウム鋼板は遮音性や断熱性が低いことがデメリットですが、ジンカリウムはこのコーティングによって遮音性や断熱性の低さが解消されています。
また、再塗装が要らず錆びや紫外線に強いことも特徴です。
アスファルトシングル
アスファルトシングルは、表面をアスファルトでコーティングしたシート状の屋根材です。
価格が安く軽量で、防音性や防水性が高いのが特徴です。
しかし、施工できる業者が少ないことや苔や藻が繁殖しやすいことがデメリットに挙げられます。
陶器瓦
陶器瓦は、粘土を原料にした屋根材で、釉系と無釉系があります。
釉系は、耐久性にすぐれており、基本的にはメンテナンスが要りません。
また、様々な種類の瓦があるので、和風な家にも洋風な家にも合わせることができます。
無釉系は、いぶし瓦だと和風の家に合います。
陶板
陶板は、陶器瓦を軽量化したものです。
陶器瓦よりも軽いことや再塗装が要らないこと、耐用年数が50年以上と非常に長いことが特徴です。
施工費用は高いですが、メンテナンスをせずに長く屋根が持つので長期的に見たコストパフォーマンスは高いと言えます。
トタン屋根
トタン屋根は、鉄板に亜鉛メッキを施したものです。
昭和～平成初期にはトタンの屋根が使われていましたが、錆びやすい素材なので現在ではあまり使われなくなりました。
施工費用が安く軽くて耐震性が高いことがメリットです。
しかし、耐用年数が10～20年と短く、錆びやすく、遮音性や断熱性も低いとデメリットが多い屋根材です。
セメント瓦
セメント瓦は、セメントと砂を固めてできた瓦です。
プレスセメント瓦は、スレートよりも厚みがあって重厚感のある印象に仕上がります。
コンクリート瓦は、立体感のある形状のデザインのものが多いことから、洋風な住宅におすすめです。
陶器瓦よりも施工費用が安いですが、現在はほとんど生産終了となっています。
陸屋根
陸屋根は、平らな屋根で屋上のあるマンションや戸建て、ビルなどで採用されています。
屋上のスペースを有効活用できることやメンテナンスがしやすく、安価なことが特徴です。
防水工法によって施工費用が異なり、耐用年数は12～20年ほどです。
表面の剝がれ・ふくれ・破れ・苔や藻の繁殖が見られた場合にはメンテナンスをしましょう。
銅板屋根
銅板は、日本家屋や寺社仏閣などの伝統のある建物で使われている屋根材です。
60年以上持ち、メンテナンスが要らないことが特徴です。
また、錆びても問題がなく、耐震性も高いなどメリットがたくさんあります。
施工業者がほとんどいないことや施工費用が高いことがデメリットです。
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賃貸物件の屋根に陸屋根を採用するケースが多い
賃貸物件は、陸屋根を採用するケースが多く見られます。
特に、マンションの場合は陸屋根の物件が多くなっています。
アパートの場合は陸屋根以外の形状の屋根も多いですが、中には陸屋根を採用しているケースもあるので、賃貸物件全体を見てみると多いと言えるでしょう。
続いては、マンションの屋根はなぜ陸屋根の物件が多いのか、陸屋根に使われる素材は何か、といった疑問に答えていきます。
マンションの屋根はなぜ陸屋根の物件が多い？
マンションの屋根は、陸屋根が多く採用されています。
なぜ陸屋根が採用されているのか、その理由から解説していきましょう。
1つ目の理由は、建築スペースを多く確保するためです。
建物を建てる時は、高さや容積などの制限を守らなければいけません。
屋根を平らにすると居室数を確保しやすくなるので、陸屋根を採用する物件が多くなっているのです。
居室数を1つでも多く確保できれば、その分家賃収入を得られるため、大家さんにとってのメリットは非常に大きいと言えます。
2つ目の理由は、管理がしやすいためです。
マンションは一般的な住宅と比較すると高さがあります。
勾配がある屋根だと、屋上の管理やメンテナンスをする際のリスクが高くなってしまいます。
リスクを抑えるためにも、陸屋根を採用するのは効果的です。
アンテナなどの屋上設備が設置されているマンションも多く見られます。
そのような場合、一戸建ての住宅よりも屋上メンテナンスの頻度が高まるので、平らな屋根を好む傾向があります。
マンションの管理は、入居者の満足度にも直結するので、適切な管理が行える形状の屋根にするのは必要な条件だと言えるでしょう。
陸屋根に使われる素材について
マンションの陸屋根は、雨漏りや内部の腐食を生じさせないような対策を施さなければいけません。
陸屋根に多く採用されている屋根材は、ウレタン防水やFRP防水、シート防水、アスファルト防水といったものです。
続いては、それぞれの特徴についてご紹介します。
・ウレタン防水
ウレタン防水は、マンションの陸屋根で最も多く採用されている工法です。
耐水性があるウレタン防水材を塗布し、陸屋根を形成していきます。
ウレタン樹脂を専用のシートや下地に塗布することにより、防水層の形成ができるのです。
屋上が特殊な形状だったり、凸凹した箇所があったりしても、柔軟に適応できるのは大きなメリットです。
・FRP防水
FRP防水は、液状のポリエステル樹脂にガラス繊維を組み合わせて防水層を形成する工法です。
防水効果の高さに定評があります。
乾燥するまでの時間が早いので、1日で施工完了となるケースが多いのも特徴です。
また、軽量なので重量が気になる高層マンションでも多く採用されています。
・シート防水
シート防水は、耐久性の高さに定評がある塩化ビニルシートやゴムシートをビスや接着剤で固定し、防水層を形成する工法です。
シートを下地に貼り付けるので、施工が容易です。
また、シートには厚みがあるので、ひび割れがある場所にも施工できます。
・アスファルト防水
アスファルト防水は、ルーフィングシートに液状のアスファルトを染み込ませる昔ながらの工法です。
耐久性に優れていますが、ニオイが発生したり火気を使用したりするので、最近は採用されるケースが減少傾向にあります。
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メンテナンスには何をすべき？気になる費用も紹介！
一般の住宅と同じようにマンションやアパートといった賃貸物件の屋根もメンテナンスをしなければいけません。
続いては、屋根のメンテナンスは何をすべきなのか、どのくらいの費用がかかるのかご紹介します。
塗装工事
塗装工事は、屋根材に専用の塗料を塗布するメンテナンスです。
瓦屋根の場合は基本的に塗装工事の必要はありませんが、他の屋根材を採用している場合は定期的に塗装工事をする必要があります。
屋根は、塗装する塗料によって防水性が高まり、雨漏りを防いでくれます。
そのため、塗膜が劣化すると屋根の防水性も低くなり、雨漏りが起こる原因になりかねません。
塗装工事のスパンは、10年に1回程度が理想とされています。
10年に1回の頻度で塗装を行うと、所有する賃貸物件を健康的な状態に保ちやすくなるためです。
坪数が約30坪の場合、塗装工事の費用相場は40～80万円となっています。
しかし、使用する塗料によって相場より高くなる可能性もあります。
アクリル系塗料は塗料の中でもリーズナブルであり、無機系塗料が高価です。
高価な塗料はメンテナンス1回あたりのコストは大きいように感じますが、その分耐用年数が長くなるため、トータルで見てみるとそこまでコストが高すぎるとは言い切れません。
葺き替え
アパートやマンションなどの賃貸物件を立ててから10年以上メンテナンスをしていない場合、前回のメンテナンスからだいぶ時間が経過している場合などは、屋根材の劣化がひどい可能性が高いです。
劣化がひどいと、塗装工事だけでは対応できないといったパターンも珍しくありません。
そのような場合は、屋根材の交換をする葺き替えがおすすめです。
屋根の葺き替え工事は、古くなった屋根材を全て取り除き、新しい屋根材を乗せていく方法です。
下地の状況を判断できるため、必要な補修を見極めることができます。
そのため、屋根の耐久力向上にもつながります。
どのような屋根材でも新しい屋根材に変えられるので、トタン屋根をスレート屋根にするといったことも可能です。
ただし、屋根材を解体したり、古い屋根材を廃棄したりしなければいけないため、工期が長くなる場合があります。
工賃に関しても、塗装より高くなってしまうケースが多いので、あらかじめどのくらいかかるのか確認しておきましょう。
葺き替え工事にかかる費用の相場は、約30坪で60～200万円です。
葺き替え（カバー工法）
葺き替え工事の中には、カバー工法と呼ばれるものもあります。
カバー工法は、重ね葺きとも呼ばれる方法です。
現状の屋根の上に新しい屋根材を敷いていく方法になります。
屋根材を撤去する必要がないので工期が短く、工賃を抑えられるというメリットがあります。
屋根材が二重になるため、断熱性や遮音性が高まるというメリットも得られるでしょう。
ただし、重さが増して耐震性が低くなりやすいというデメリットがあるので、アパートの耐震性を確認してから選択すべき工法だという点を忘れてはいけません。
また、カバー工法を考えている場合に知っておくべき注意点もあります。
それは下地が劣化している屋根にカバー工法を施すと、重みで劣化部が破損してしまったり、屋根の傷みを悪化させたりする可能性があるということです。
カバー工法を行う場合は、屋根の状態を専門家からしっかりとチェックしてもらいましょう。
葺き替え（カバー工法）工事にかかる費用の相場は、約30坪で80～120万円です。
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賃貸物件の屋根に太陽光発電設備を設置することは可能？
結論から言ってしまうと、マンションやアパートといった賃貸物件の屋根の太陽光発電設備を設置することは可能です。
そこで続いては、マンションやアパートに太陽光発電設備を設置するメリット、導入の流れ、太陽光発電設備を設置する際の注意点について解説していきます。
マンションやアパートに太陽光発電設備を設置するメリット
マンションやアパートに太陽光発電設備を設置するメリットはいくつもあります。
ここでは、3つのメリットをピックアップしてご紹介します。
・緊急時に非常用電源として使える
日本は災害が多い国です。
2024年1月1日に発生した能登半島地震では、石川県だけではなく富山県や新潟県など広いエリアで大きな被害が発生しました。
地震などの災害が発生すると、電力会社からの電力供給が停止し、マンションも当たり前ですが停電します。
そのような時に太陽光発電システムがあると、自動運転モードに切り替えてくれるので、電気を使用できます。
・物件に付加価値を付けられる
太陽光発電設備を設置することで、BELS（建築物省エネルギー性能表示制度）の認証を受けられる場合があります。
この認証を受けると、環境に配慮した物件だとアピールできるのです。
太陽光発電設備を設置すれば認証を受けられるというわけではありませんが、付加価値をつけられれば、環境意識が高い入居者へのアピールにつながります。
・屋根を有効活用できる
太陽光発電設備を設置すれば、解放できない屋上や屋根を有効活用できます。
日当たりも良いので、太陽光発電に適している場所でもあります。
また、発電設備を設置しておくと屋根に直射日光が当たりにくくなるので、屋根の劣化を抑えられるというメリットも得られます。
また、場所を有効活用できるだけではなく、共有部分の電力をまかなったり、売電収入によって物件のメンテナンス費用の負担を軽減したりできるといったメリットにもつながるでしょう。
導入は簡単にできる？
導入が簡単かどうかという点は、既存の賃貸物件か、分譲マンションか、新築の賃貸物件かによって変わってきます。
・既存の賃貸物件に後付けする
既存の賃貸物件であれば、オーナーの判断で設置可能です。
しかし、トラブルを避けるためには入居者への許諾を得るようにしましょう。
入居者が設置を希望する場合は、専有部分であってもオーナーの許可を得なければいけません。
・分譲マンションに後付けする
分譲マンションに後付けする場合は、法律で管理組合や入居者からの許可が必要とされています。
規模が大きい分譲マンションはたくさんのオーナーが関与するので、管理組合の理事会における合意は得にくいのが現状です。
設置することで得られるメリットやデメリットなどをすべて伝え、納得してもらえるかどうかがポイントになります。
・新築の賃貸物件に設置する
近年、ZEB（ネット・ゼロ・エネルギー・ビル）やスマートマンションといった太陽光発電を導入した物件の建築も進められています。
既存のマンションと比較してみると、新築マンションやアパートは太陽光発電システムの設置を前提とした設計になっているケースが多いです。
そのため、既存の物件より安心して設置できます。
太陽光発電設備を設置する際の注意点
太陽光発電設備を設置するなら、どのような注意点があるのかといった点も確認しておきましょう。
・マンションだと全世帯への電力供給が難しい
既存のマンションに太陽光発電システムを後付しても、コスト面や設備面から全世帯への電力供給は難しいのが現状です。
設備の設置を想定していないマンションだと、屋根のスペースが限られているためです。
全面に太陽光パネルを設置したとしても、全世帯に対して十分な電力を供給するのは難しいことを念頭に置いておかなければいけません。
また、全世帯に電力を供給するためには、配線などの設備投資も必要になります。
そのため、トータルで見たときのコスト負担が非常に大きくなってしまうのです。
・発電量に対して共用部分の消費電力が30%以上必要
賃貸物件のオーナーは、屋根に太陽光設備を設置し、発電や売電をたくさんしたいと考えるものです。
その気持ちもわかりますが、2020年度のFIT改正によって、10kW以上50kW未満の太陽光発電システムだと発電した電気の30%以上を自家消費しなければいけないと決まりました。
つまり、共有部分の消費電力が少ない物件は10kW以上50kW未満の太陽光発電システムを設置した際のメリットを得にくくなってしまうのです。
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太陽光発電システムとの相性が良いのはどんな物件？
太陽光発電システムはどのような屋根でも性能を発揮できるわけではありません。
最後に、太陽光発電システムとの相性が良い物件についてご紹介します。
陸屋根でも太陽光パネルを設置できますが、相性が良いのは傾斜がついている屋根です。
切妻屋根や片流れ屋根などの住宅やアパートで一般的に採用されている屋根を想像すればわかりやすいでしょう。
太陽光パネルは屋根に穴をあけて固定することが多いので、排水能力が重要になります。
マンションで多い陸屋根は傾斜がないので排水能力がそこまで高くなく、雨漏りのリスクが高まってしまいます。
このような問題を回避するためにセメントで固めたブロック架台を使う方法もありますが、コストが高くなってしまうというデメリットが生まれるのです。
屋根の形状には、切妻屋根や寄棟屋根、片流れ屋根、陸屋根などがあります。
それぞれに異なる特徴があり、メリットやデメリットも当然ながらあるものです。
賃貸物件を建てる際にもそれぞれの特徴やメリット・デメリットなどを把握しておく必要があるでしょう。
また、どのような屋根材にするかといった点も重要です。
今回の記事で紹介した屋根材を参考に、どれを選ぶべきなのか吟味してみてください。
メンテナンスに関しても把握しておけば、どのくらい費用を準備すべきかわかるので、念頭に置いておくことをおすすめします。
