ベンチャー企業は、オフィス移転をするケースが比較的多く見られます。
オフィス移転をする際に、いくつか注意しておかなければいけないポイントがあります。
また、どのようなステップを踏んで移転するのかということもあらかじめ知っておくことが重要です。
そこで今回は、オフィス移転で注意すべきことと賃貸借契約締結するステップについて解説していきます。
Contents
オフィス移転で注意すべきこと
まずは、オフィス移転で注意すべきこととはいったい何なのかみていきましょう。
手続きに漏れがないようにする
1つ目は、手続きに漏れがないようにするという点です。
オフィスを移転すると会社の本拠地が変更になります。
家を引越すのとはわけが違って、色々な手続きが必要になることを忘れてはいけません。
どのような手続きをしなければいけないのかあらかじめ確認しておくことが重要なポイントになるでしょう。
オフィスを移転したら、法務局や社会保険事務所、税務署といった機関で手続きを行うため、報告を怠らないようにしてください。
郵便局に転居届を出すことも忘れないようにしましょう。
さらに、取引先に対する連絡も忘れないようにしなければいけません。
家の引越しをするのと同じように、電気やガス、水道、電話などに関する手続きも忘れないようにしてください。
新オフィスをリフォームするのであれば、あらかじめ業者に依頼し、引越しする日までに綺麗な状態にしてもらう必要もあります。
内装をリフォームするなら、オフィスのリフォームを手掛けた実績を有する業者がおすすめです。
それだけではなく、引越し業者への連絡も忘れてはいけないポイントの1つです。
オフィスには様々な機器があるため、大型のトラックなどを使って移動させなければいけないケースも珍しくありません。
進学や就職などのタイミングと被ってしまうと引越し業者の予約ができない可能性もあるため、できるだけ早めに手配することをおすすめします。
移転作業の日程を抑えておく
2つ目は、移転作業の日程を抑えておくという点です。
オフィス移転には、時間も労力も必要となります。
前述したように手続きもたくさんあるため、効率的に進められるようなスケジュールを立てておくことも大切になるでしょう。
オフィス移転を決めてから実行するまでに半年ほどかかってしまうケースも珍しくありません。
また、解約予告は半年以上前にしなければいけないと設定されていることが多いので、余裕のあるスケジュールを立てておくことをおすすめします。
各種手続きや新オフィス探しは、日程を分けることができます。
しかし、実際の引っ越し作業はあらかじめ決めておき、社員にも報告しておかなければいけません。
業務に支障が出ないようなスケジュールを考えることが大切になるので、社員との連携を密にし、日程を調整するようにすべきだと言えるでしょう。
そして、その日程で引越しが可能かどうか、引越し業者などの確認し、日程を確定するようにしてください。
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オフィス契約を締結するステップについて
オフィス移転を検討しているなら、賃貸借契約締結がどのようなステップで行われるのか知っておく必要があります。
そこで続いては、賃貸借契約締結のステップについて詳しく解説していくことにしましょう。
情報を集める
オフィス移転のための、情報を集めることから始めます。
まずは、どのような情報を集めるべきなのかみていきましょう。
契約内容について
1つ目は、契約内容についてです。
契約の形態は、普通借家契約もしくは定期借家契約のどちらかというケースが多いです。
普通借家契約は、権利保護が目的となっているため、テナントの同意がないと契約の打ち切りができないという内容になっています。
そして定期借家契約は、契約期間があらかじめ決められていて、その期間が終了すると新規で契約を結び直すという内容になっています。
契約を新たに結び直す場合、賃料の値上げを提示されることもあるので、それを踏まえた上でどのような契約方法を採用しているかチェックするようにしましょう。
中には、フリーレント期間を設けている契約もあります。
フリーレントは賃料が免除される期間のことを指しますが、物件によってその期間が異なるので契約前に確認しておいてください。
多くの場合、引越しの期間を考慮して1ヶ月~3ヶ月ほどのフリーレント期間が設けられています。
この期間は基本的に変更されることはありませんが、交渉するとそれに応じてくれるケースもないとは言い切れません。
賃料や購入代金の違いについて
2つ目は、賃料の違いについてです。
賃料は、契約する面積によって変わってきます。
専有面積だけではなく、グロス面積も加味して賃料は決定されます。
グロス面積というのは、廊下やエレベーターホールなどの共有面積を含んだ面積のことです。
グロス面積が100坪で月額賃料が1坪当たり3万円だった場合は、月額で300万円をテナントが負担するということになります。
毎月支払う賃料だけでかなり高額になってしまう可能性もあるため、どのくらい予算を用意しておけばいいか決める指標として賃料を念頭においておくと良いでしょう。
オーナーが変わる可能性について
3つ目は、オーナーが変わる可能性についてです。
近年、不動産の証券化が進んでいます。
そのような状況の中で、金融商品の1つとして不動産が取引されることも増えてきました。
中には不動産ファンドがオーナーになっている物件も増えてきたのですが、最終的には利益のために物件を売却します。
そのため、将来的にオーナーが変わってしまう可能性があるのです。
それは、個人保有のビルやデペロッパーが保有しているビルでもあり得ることです。
その可能性が高いか低いかという話になりますが、将来的にオーナーが変わる可能性があることを念頭においておくようにしましょう。
ビル管理に関するクオリティについて
4つ目は、ビル管理に関するクオリティについてです。
建築技術はかなり進歩しているため、設備面で比較することは難しくなっています。
そのため、ビル管理に関するクオリティを見極めるのが重要です。
清掃のクオリティや災害時の対応などは確認しておくべき点だと言えるでしょう。
中には、ビル管理のコストを極端に抑えようとしていビルもあります。
どのような管理がなされているのか、購入前に確認しておくと後から後悔してしまったり、トラブルの原因になってしまったりすることを防ぐことができます。
資金計画を立てる
オフィス移転のためには、資金の用意も必要不可欠です。
つまり、次のステップは資金計画を立てるということになります。
資金計画を立てるには、どのような費用が掛かるのか把握しておく必要があります。
では、どのような費用が必要なのかみていきましょう。
新しいオフィスの準備にかかる費用について
はじめに、新しいオフィスの準備にかかる費用から解説していきます。
オフィス移転をする際に、最初に思いつく費用が新しいオフィスの準備にかかる費用ではないでしょうか。
その中でも特に重要になるのが、敷金・保証金や前払い賃料、内装工事にかかる費用です。
敷金・保証金や前払い賃料といった初期費用は物件によって異なりますが、月額賃料の6ヶ月~12ヶ月分が必要となるケースが多いです。
住居用とアパートなどと比べると、賃料が高いだけではなく、保証金も高めに設定されていることは珍しくありません。
内装工事に関しては、OAフロアの敷設工事、電気・無線LAN・電話などの工事が必要になることが多くなっています。
工事費用は依頼する業者によって変動することがありますが、1坪当たり10万円~20万円ほどかかると思っておいた方が良いでしょう。
移転前のオフィスでかかる費用について
移転前のオフィスでかかる費用について把握しておく必要があります。
それは、原状回復工事や不用品廃棄にかかる費用です。
さらに、契約解除までに発生した賃料も支払わなければいけません。
原状回復工事の費用は、小規模もしくは中規模なオフィスだと1坪当たり2万円~5万円、大規模なオフィスだと1坪当たり5万円~10万円が目安になります。
賃貸契約のオフィスでは、賃貸をスタートした時と同じ状態に戻す必要があるため、原状回復工事費用が必要不可欠です。
不用品廃棄にかかる費用は、2トン車1台分だと7万円~8万円、4トン車1台分だと12万円~15万円が相場となっています。
引越しにかかる費用について
オフィス移転をするということは、引越し費用もかかります。
新しいオフィスへ社員のデスクやロッカーなどを運ばなければいけません。
オフィス間の距離によっても費用に差が生じますが、社員1人あたり2万円~5万円ほどかかると思っておくと良いでしょう。
ただし、重量物が多かったり、精密機器の運搬をしなければいけなかったりする場合は、追加料金がかかることがあるので依頼する引越し業者に確認しておくことをおすすめします。
その他の費用について
オフィス移転にかかる費用は、その他にもあります。
それが、社員の定期代の清算、定期の再購入費用、名刺・封筒・パンフレットの印刷代、移転の案内状作成代などです。
それだけではなく、火災保険料、仲介手数料といった費用もかかるので、あらかじめ確認しておく事が重要になります。
どのような費用がかかり、どのくらい予算を要しておけばいいのかあらかじめ確認しておくと安心して移転作業を進めることができるでしょう。
物件を選ぶ
資金計画を立てたら、次のステップへと進んでいきます。
それが、物件選びです。
では、物件選びをする際に知っておくべきポイントについてみていきましょう。
オフィス物件の種類について
物件選びする際に、どのような種類があるのか知っておく必要があります。
そのため最初は、基本中の基本であるオフィス物件の種類について解説していきます。
オフィス物件には、マンスリーオフィス、バーチャルオフィス、シェアオフィス、貸会議室、時間貸しオフィス、SOHOオフィスといった種類があります。
マンスリーオフィスは1ヶ月単位で契約できるタイプのオフィスで、バーチャルオフィスは住所のみレンタルするという形式になっているのです。
シェアオフィスはベンチャー企業の立ち上げ時に使用されることが多いタイプで、他の入居企業とコミュニケーションを取ったり、オフィスの運営者からサポートを受けたりすることができるようになっています。
物件を選ぶ時のポイントについて
物件を選びで失敗しないために知っておくべきポイントもあるので見ていきましょう。
・立地条件はどうか
オフィス移転を検討するなら、立地条件はとても重要なポイントになります。
最寄りの駅からの距離はどのくらいか、路線の種類はどのくらいあるか、街の雰囲気はどうか、スタッフが通勤する際の利便性はどうか、クライアントとの位置関係はどうなっているかなどは必ず確認しておきましょう。
・将来性はどうか
オフィス移転を検討している物件が建つ敷地に計画道路や区画整理などがかかっていないかということは、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
それだけではなく、周囲の事業予定地や空き地、駐車場などについてもリサーチしておくと良いでしょう。
将来、規模が大きな建物が建つ可能性もあります。
・物件の状態はどうか
オフィス物件を選ぶ際に、入居後に使うことを踏まえて細かい部分まで状態をチェックしておくと良いでしょう。
設備などが劣化していると入居後に多額のリフォーム費用が掛かってしまう可能性もないとは言い切れません。
また、シェアオフィスのような形の物件を選ぶなら、共有部分がどのような状態か確認しておくことをおすすめします。
仲介業者を選ぶ時のポイントについて
不動産を購入するなら、仲介業者選びも重要なポイントになります。
仲介業者を選ぶ際に押さえておくべきポイントもいくつかピックアップしてご紹介します。
・不動産会社の種類を知っておく
不動産会社は大きく分けると、賃貸仲介業務を行っているところ、賃貸管理業務を行っているところ、物件の売買を行っているところの3種類に分類できます。
賃貸仲介業務は、入居を希望している側の立場になって、希望に合う物件選びを手伝うというものです。
物件の案内から契約まで、多岐に渡る業務を担っています。
そして賃貸管理業務は、オーナーから物件の管理業務を依頼されて行っている業務で、維持管理に必要な仕事や集金などを行っています。
・大きい会社と小さい会社のどちらに依頼すべきか
不動産会社の中にも、規模が大きい会社と小さい会社があります。
規模が大きい会社は、支店が多く、これまでに多くの売買実績を有しているケースが多いです。
また、知名度も高いため、安心して任せられるというメリットも感じられるでしょう。
それに対して規模が小さい会社は、地域に密着したサービスを提供している、融通が聞きやすいといったメリットが享受しやすくなっています。
賃貸借買契約を結ぶ
物件選びの次は、賃貸借契約を結ぶというステップに進んでいきます。
賃貸借契約の流れやポイントについてみていきましょう。
不動産の賃貸借契約を結ぶために申し込みをする
新しいオフィスとして移転する物件が決まったら、賃貸借契約を結ぶために申し込みをする必要があります。
貸主が提示する条件の確認や調整を行い、双方が納得できると判断されたら賃貸借契約へと進んでいきます。
重要事項説明を受ける
賃貸借契約を結ぶ前に、不動産会社からは重要事項説明を受けなければいけません。
重要事項説明書について、しっかりと理解した上で不動産物件を借りないと、後々トラブルになってしまう可能性もあるので注意が必要になります。
不安や疑問がある場合は、きちんと質問するようにしましょう。
賃貸借契約を締結する
重要事項説明にも納得することができたら、賃貸借契約を締結することになります。
賃貸借契約時には、契約書を作成します。
その契約書の中には、賃料、賃貸の対象となる面積、引渡しの時期などが明記されるので、必ず作成しなければいけません。
さらに、契約する際に物件の状態がどうなっているか示すための設備表というものもあります。
諸費用の支払いや物件の引き渡しをする
契約締結が終わったら、諸費用の支払いをしたり、物件の引き渡しを行ったりします。
この時に、鍵の受け渡しもされます。
入居する
手続きを済ませたら、オフィス物件への入居となります。
まとめ
オフィス移転を検討している場合、引越し先に関する情報を収集し、どの物件を選ぶか決めなければいけません。
また、移転時には手続きに漏れがないようにする、移転作業の日程を抑えておくといった注意点もあるので、スケジュールを考えて無理のない予定を立てることも重要になります。
それだけではなく、賃貸借契約締結がどのようなステップで進められるのかということも把握しておいた方が良いでしょう。
そうすることで、無理のないゆとりのあるスケジュールを立てることができます。