不動産業界は今、大きな変革期を迎えています。長い間、アナログな手法や多層的な取引構造が当たり前とされてきた業界において、テクノロジーの進化が新たな可能性を切り拓きつつあります。
しかし、テクノロジーだけで全てが解決するわけではありません。私は常々、「人財」の力こそが企業の真の競争力であり、持続的な成長の源泉であると確信しています。ここでは、テクノロジーと人間力の融合がどのように不動産業界に革新をもたらすのか、その展望と可能性について考えたいと思います。
不動産業界が抱える構造的課題
私はこれまで長年、不動産業界に身を置く中で、現場で一生懸命努力しているにもかかわらず、正当に評価されずに報われていない人たちを数多く目にしてきました。特に建築業界や不動産管理業界では、多層的な元請け・下請け構造によって、現場で努力している人々の貢献が見えづらくなり、評価されにくい状況が続いています。
さらに、技術力や実績を持っているにもかかわらず、不透明な取引構造のために適切な報酬や評価を得られていない現実が存在しています。賃貸管理の分野は特に、不動産業界の中でも情報の非対称性が激しい事業分野であると感じています。
このような課題に直面する中で、私は「頑張っている人がきちんと報われる社会を実現したい」という強い想いを持つようになりました。そしてこの想いこそが、INA\&Associates株式会社(以下「INA」)設立の原点となっています。
テクノロジーが切り拓く不動産の未来
不動産テックは「PropTech(プロップテック)」とも呼ばれ、AI、IoT、ビッグデータなどの最新テクノロジーを活用して不動産業界の課題解決や効率化を図る新しい取り組みです。これは「不動産(Real Estate)」と「技術(Technology)」を組み合わせた言葉で不動産テックとも呼ばれ、テクノロジーを活用して不動産業界の課題解決や業務効率化を図る新しいサービスや取り組みを指します。
不動産業界は長い間伝統的な手法で取引が行われてきましたが、最近ではテクノロジーの進化がこの産業にも大きな影響を与え始めています。不動産テックは、様々なプロセスや取引の効率化、透明性の向上、顧客体験の改善を目的とし、業界全体の効率性や透明性を向上させることを目指しています。
INAでは、不透明で多層的な業界構造に対して、明確な取次料体系や業務プロセスの見える化を通じて透明性を高めたいと考えています。元請け・下請け間の不明瞭な料金体系を排除し、公平で透明な取引環境を整えることで、技術力や専門性が正当に評価される仕組みを確立することを目指しています。
人財が生み出す価値への信念
テクノロジーの重要性は増していますが、私はそれ以上に「人財」の価値を信じています。INAでは経営において何よりも「人財」を重視しています。私たちは意識的に「人材」ではなく「人財」という言葉を用いますが、それは人を単なる労働力ではなく企業にとってかけがえのない財産と位置づけているからです。
人財こそが企業の競争力を決定づけ、持続的成長の原動力になるという信念に基づいています。社員一人ひとりが失敗を恐れず挑戦し、成長し続けることこそが企業価値を生み出し、高めていくと考えています。
私自身、ビジネス経験を通じて「人」が最大の財産であることを痛感してきました。テクノロジーや資金がどれほど発展しようとも、最後はそれらを活用する人間の創意工夫と情熱が成果を左右します。実際、日々の業務の中でも優れた人財が生み出す力を何度も実感しており、人財なくして企業の発展はあり得ないと確信しています。
テクノロジーと人間力の融合による価値創造

不動産業界における真のイノベーションは、テクノロジーと人間力の融合から生まれます。テクノロジーだけでは、人間の感性や経験に基づく判断を完全に代替することはできません。特に住まいや職場を選ぶという、人生における重要な決断においては、数値化できない価値や感覚が大きな役割を果たします。
私は「テクノロジーと人間力の融合」こそが、不動産業界の未来を切り拓くカギだと考えています。
これからの不動産業界が目指すべき方向性
不動産テックの発展により、不動産業界は大きく変わりつつあります。今後は、AIの登場がマッチングプロセスをさらに進化させていくことでしょう。しかし、特に不動産業界においては、マッチングの「浅さ」が課題となっています。多くの不動産営業担当者は不動産取引後に連絡を取る機会がなく、その取引が本当に良い選択だったかを振り返る場がありません。
私はこの課題に対して、テクノロジーの力と人間の温かさや細やかな対応を融合させることで解決できると信じています。テクノロジーにより効率化できる部分は効率化し、人間にしかできない価値提供に集中することで、より深いマッチングを実現していく必要があります。
未来を見据えて:真の価値を創造するために
不動産テックは急速に発展しており、従来の不動産ビジネスモデルを大きく変革しています。オンライン仲介プラットフォームの登場により、物件探しや売買がより簡単になりました。AIを活用した自動評価システムにより、不動産価値の算出が迅速化しました。さらに、VR/AR技術の進歩により、遠隔地からの物件内覧も可能になっています。
しかし、これらのテクノロジーを真に価値あるものにするのは、それを使いこなす「人財」の力です。INAではこれからも「頑張っている人がきちんと報われる社会を実現したい」という創業の想いを大切にしながら、テクノロジーと人間力の融合による新たな価値創造に取り組んでいきます。
最もデジタル化が困難で、最もデジタル化が必要な不動産業界において、テクノロジーと人間力の融合こそが未来を切り拓く鍵となるでしょう。私たちINAは、これからもこの信念のもと、不動産業界に革新をもたらし続けることを約束します。
