人財戦略としての採用
優れた人財をどのように見極め仲間に迎えるか——これは企業経営において極めて重要なテーマです。INAでは、採用は単なる人事業務ではなく経営戦略の中核だと位置づけています。INAは「人」を最大の財産と考えていますが、では具体的にどのような人財を求め、どのような基準で採用の判断を行っているのでしょうか。本稿では、INAが大切にする採用方針について、スキルや経験以上に重視する“理念への共感”の理由、誠実さと前向きな姿勢を特に重視する背景、そして採用面接で確認したい応募者の「真の価値観」とは何か――これらについて経営者の視点から掘り下げたいと思います。
スキルや経験だけでなく、理念やビジョンへの共感を重視する理由
INAでは採用において、応募者の経歴やスキルセット以上に企業理念やビジョンへの共感を重視しています。企業文化はそこに働く人によって形作られるものです。どんなに優秀な人材であっても、会社の価値観と大きくかけ離れていれば組織に良い影響を与えることは難しいでしょう。反対に、スキル面で多少の不足があっても理念を深く理解し共有できる人であれば、強い一体感のもとで成長し合い、組織の力を最大化できると考えるからです。実際、組織に適した人財を採用することで企業のビジョンや価値観が社内に浸透しやすくなり、結果として強固な企業文化が生まれます。逆に採用段階でミスマッチがあると、入社後に組織全体の方向性がぶれてしまうリスクすらあります。
こうした考えから、価値観の合致はINAの採用基準の最重要ポイントの一つになっています。例えば当社では、応募者がINAの掲げる「事業を通じて関わるすべての方の幸せを実現する」というビジョンに共感しているかどうかを重視しています。このビジョンはINAの経営理念の根幹であり、単なるスローガンではなく日々の意思決定の指針となっているものです。応募者がこの理念に共感し、自らそれを体現したいという思いを持っているかどうか──そこに注目することで、その人が長くINAで活躍し共に価値を創造していける人財かを見極めようとしているのです。
言い換えれば、姿勢を採用し、スキルは育成するという考え方がINAの基本スタンスにあります。専門知識や技術は入社後の研修や実務を通じて向上させることも可能ですが、その人が大切にしている理念や価値観を後から植え付けることは容易ではありません。だからこそ最初の採用段階で、当社のビジョン・価値観に心から賛同できるかを重視するのです。共感で結ばれた人財は組織に良い影響を与え、チームに強い結束を生み、結果として企業全体の力を引き上げてくれると考えています。
誠実さ、前向きな姿勢を特に重視する背景
次に、INAが求める人財の人物面について、特に重視している要素が「誠実さ」と「前向きな姿勢」です。これらはINAの採用基準における重要なキーワードであり、その背景には明確な理由があります。
まず誠実さについてです。INAでは「信頼がすべてのビジネスの基本」であると捉えています。どれほど優れた戦略や商品があっても、関わる人々からの信頼を得られなければ長期的な成功は望めません。特に不動産というお客様の大切な資産を扱う事業において、誠実さは欠かせない資質です。私たちは顧客志向を持ち、相手の立場に立って物事を考えられる人を求めています。それは、顧客に対して誠実な提案や対応ができる人財こそがINAの成長に直結すると信じているからです。実際、お客様や取引先との信頼関係は社員一人ひとりの誠実な行動の積み重ねによって築かれます。面談や契約といったビジネスの場面で、小さな約束を守る、正直に向き合う、といった姿勢を崩さない人——そうした誠実な人財がいるからこそ、INAはお客様からの信頼を獲得し事業を発展させてこられました。社内においても、誠実に仕事へ向き合う社員は周囲からの信頼が厚く、健全なチームワークを育みます。以上の理由から、誠実さはINAが人財に求める最も重要な資質の一つなのです。
次に前向きな姿勢についてです。ビジネス環境が目まぐるしく変化する現代において、常に柔軟に学び成長しようとするポジティブなマインドセットは不可欠です。INAが言う「前向きな姿勢」とは、単に明るく楽天的であるということではありません。困難に直面した際に逃げずに立ち向かい、失敗から学び、次の挑戦への糧にできる力を指しています。不動産業務でも日々様々な課題や予期せぬ問題が起こりますが、そんな時に悲観的になって動きを止めてしまうのではなく、「どうすれば解決できるか」を前向きに考え抜く人が組織には必要です。
INAでは、社員が失敗を恐れず新たな挑戦に踏み出すことを奨励する企業文化を育んでおり、その文化にマッチする人を求めています。現状に満足せず自ら成長の機会を探し続けるような積極性を持った人財は、周囲にも良い刺激を与えます。前向きな人が増えることで社内には「挑戦を歓迎する風土」が広がり、新しいアイデアや改善提案が活発に生まれます。さらに、前向きな姿勢で仕事に取り組む人はお客様にも良い影響を与えます。難しい要望に対してもネガティブに捉えず「できる方法」を模索する社員は、お客様から見ても信頼できるパートナーとなるでしょう。その結果、生産性の向上やサービスの質的向上、ひいては顧客満足度アップにもつながっていくのです。
以上のように、誠実さと前向きな姿勢を兼ね備えた人財は、INAの企業理念を体現し組織の成長エンジンとなる存在です。採用の場ではこれらの資質を見極めることに特に注力しており、「この人物となら信頼関係を築き、共に成長していけるか」という観点で選考を行っています。
採用面接で確認したい応募者の「真の価値観」とは
採用面接は、応募者の経歴やスキルを確認する場であると同時に、その人の内面にある真の価値観を知る重要な機会でもあります。INAではミスマッチのない採用を行うため、書類上の情報だけではわからない人柄や考え方を面接で丁寧に見極めるようにしています。では、面接を通じて具体的にどのような「価値観」を確認しようとしているのでしょうか。
まず一つは、仕事に対する姿勢や動機です。応募者がなぜその職種を志望し、何にやりがいを感じるのかといった問いかけから、その人が大切にしている価値観が垣間見えます。たとえば「お客様の役に立てることに喜びを感じる」といった答えが返ってくれば、顧客志向や貢献意欲が感じられますし、「常に新しいスキルを習得して成長したい」であれば向上心や挑戦意欲が伺えます。一方で動機が報酬や安定のみを強調する場合、当社の理念との親和性という点で慎重に考える必要があるかもしれません。もちろん報酬や安定も大切ですが、それだけではなくどんな価値を周囲や社会にもたらしたいと考えているかを知りたいのです。
次に重視しているのは、意思決定や行動の背景にある信念です。面接では経歴の事実関係を確認するだけでなく、「困難に直面した時にどのように対処しましたか」「失敗から何を学びましたか」など、応募者の過去の具体的な経験について質問します。これらは単に成功体験を聞くためではなく、その人が課題に直面した際に何を大事に考え、どう判断し行動したのかを知るためです。例えば、チームプロジェクトで意見が対立した場面を尋ねれば、協調性や他者への敬意といった価値観が浮かび上がります。納期の厳しいプロジェクト経験について聞けば、責任感や仕事への倫理観が見えてくるでしょう。さらに、あえて失敗経験について聞くことで、失敗に向き合う姿勢や自己成長への意欲、そして誠実に自己を省みる謙虚さが感じ取れることもあります。こうした質問を通じて、応募者の人間性や価値観の本質に触れることができるのです。
また、将来のビジョンやキャリア観について語ってもらうことも、その人の価値観を知る手がかりになります。INAのビジョンへの共感度合いを確認するため、「あなたが仕事を通じて実現したいことは何ですか?」といった問いを投げかけることもあります。ここで自分自身の言葉でしっかりと将来像を語れるかどうか、そしてその内容が当社の掲げる理念と響き合うものかを注意深く聞き取ります。例えば「不動産を通じてお客様の人生に貢献したい」「チームを率いて周囲の成長を促したい」といったビジョンを語る方であれば、INAの理念とも通じる部分が多いでしょう。逆に、将来像が描けなかったり会社の理念とあまりにも懸け離れていたりする場合、その方にとってINAで働く意義が見出しにくいかもしれません。面接ではこうした点も含め、応募者が本当に大切にしている価値観を浮き彫りにしていきます。
最後に大事なのは、言葉と態度の一貫性です。面接中の受け答えの内容だけでなく、言葉の端々や表情・態度にもその人の人柄や価値観は現れるものです。どんな質問にも真正面から向き合おうとする姿勢や、自身の考えを率直に語る様子からは誠実さが伝わってきます。一方で用意された模範回答だけを述べているように感じられる場合、本心がどこにあるのか見極めにくくなります。INAでは面接官同士でそうした印象も共有しながら、「この応募者は当社の一員として共に働くイメージが持てるか?」という観点で総合的に評価しています。最終的には、応募者ご本人も含めてお互いにミスマッチがないかを確認し合う場が面接だと捉えています。会社の価値観と個人の価値観が合致していれば、入社後に双方がハッピーな関係を築けるでしょうし、そうでなければ不幸な結果を招きかねません。ですから、INAの採用面接ではお互い飾らずに本音で語り合うことで、「この人となら同じ志を持って歩んでいけるか」を見極めることに徹しているのです。これこそが、応募者の「真の価値観」を知る目的であり、お互いの未来のために欠かせないプロセスだと考えています。
共に成長できる人財を求めて
INAが求める人財像は、単に優秀な人材ではなく、当社の理念に心から共感し信頼と挑戦文化を共に育める「人財」です。スキルや経験はもちろん重要ですが、それ以上に何のために働き、何を大切にしている人かが重要だと考えています。誠実さを持ち、前向きに学び続ける人であれば、INAのチームの中で必ず活躍できるはずです。私たちはそのような人財と出会い、共に働けることを何よりの喜びと感じています。
採用基準は高いかもしれませんが、私たちは共感と信頼で結ばれた仲間を迎え入れたいのです。応募者にとっても、自分の価値観に合った会社でこそ最大限の力を発揮でき、充実感を得られるでしょう。INAはこれからも、人財に対して真摯に向き合い、その可能性を見極める採用に全力を注いでいきます。そうして集まった「人財」たちと共に、INAは使命である「事業を通じて関わるすべての方の幸せの実現」に向けて邁進していく所存です。社員一人ひとりが自身の価値観を輝かせながら、会社のビジョンを共有し、ともに成長し続けていける——
それがINAの描く理想の人財像であり、私たちの採用のゴールなのです。
