はじめに
私たちINAは、賃貸不動産の管理ビジネスにおいて地方人財を積極的に活用する独自のモデルを推進しています。本記事では、当社がなぜこの取り組みを重視し、地方の人財を賃貸管理に活かしたいと考えているのか、その背景と狙いについてご説明いたします。この取り組みは、地域や個人の事情に左右されず誰もが能力を発揮できる環境を創出するとともに、オーナーの皆様に対して高品質で持続可能な管理サービスを提供することを目的としています。
人財投資の理念と持続可能な経営
INAは「世界No.1の人財投資カンパニー」を目指し、企業の最も重要な資産は人であるという信念を掲げています。私は、企業の本質は短期的な利益の追求ではなく、明確なビジョンのもとで関わるすべての方々の幸福を追求する持続可能な成長にあると考えております。そのために最も重要な資産こそ「人財」であり、人の成長こそが企業価値の源泉になると確信しています。こうした理念から、当社では従業員一人ひとりをかけがえのない資本(人的資本)と位置づけ、教育や働く環境への投資を惜しみません。地方に在住する人々も含め、優秀な人財に機会を提供しその成長を支援することが、長期的な企業価値の創造につながると考えているのです。
地方人財の持つ潜在力と首都圏とのバランス
現代の日本社会では、少子高齢化と東京圏への人口集中により、地方に優秀な人材がいながら十分に活躍の場を得られないケースが多々あります。たとえば、地元を離れられない事情(家庭の都合や健康、子育てなど)により、才能ある人財が都市部で能力を発揮できない状況が見受けられます。しかし近年、インターネット環境の整備やクラウド技術の発達によって、リモートワークが現実的な働き方の選択肢となりました。場所の制約を超えて地方在住者が都市圏の業務に携わる機会は飛躍的に拡大しています。当社は、こうした地方人財の潜在力を積極的に活用することが、企業の成長のみならず社会全体の生産性向上にも寄与すると考えております。首都圏と地方との人財活用のバランスを図ることは、地域格差や機会格差の是正にもつながり、持続可能な社会の構築に資する重要な視点です。
賃貸管理における地方人財活用のメリット
地方の人財を賃貸管理ビジネスに取り込むことは、従来の首都圏集中型の運営モデルに比べて様々なメリットをもたらします。ここでは、その主なメリットをいくつかご紹介いたします。
コスト最適化による競争力強化
地方人財を活用しテレワークを前提とした体制を敷くことで、都市部に大規模なオフィスを構える必要を最小限に抑えることができます。これによりオフィス賃料や光熱費といった固定費を削減でき、人件費も地方のコスト水準に合わせて最適化することが可能です。こうした運営効率の向上によって生まれたコストメリットは、賃貸管理の料金設定に反映されます。当社では業界でもトップクラスのリーズナブルな管理手数料を実現しており、オーナー様に経済的メリットを還元しています。同時に、効率化によって生まれたリソースをサービス品質向上のために再投資し、価格と品質の両立を図っています。
地域密着型サービスの強化
地方出身・在住の人財をチームに迎えることで、各地域の実情や文化に根ざした地域密着型のサービス提供が可能になります。たとえば、物件の所在する地域の慣習やニーズを理解したスタッフが対応することで、オーナー様・入居者様双方にきめ細かなサポートを提供できます。また、地方にスタッフが分散していることで、日本全国に現地ネットワークが広がります。遠隔地からでも提携する地元の協力企業(メンテナンス業者や清掃会社など)と連携し、迅速な現地対応が取れる体制を築いています。結果として「地域をよく知る人による管理」という安心感をオーナー様に持っていただけると同時に、各エリアの特性を活かしたサービス展開が可能となっています。
多様性の確保と専門性の活用
全国から幅広い人財を登用することで、組織のダイバーシティ(多様性)が確保され、様々な視点やスキルがもたらされます。INAでは、不動産管理に関する専門知識だけでなく、ITや不動産法務、金融、地域コミュニティに精通したプロフェッショナル人財を各地から採用しています。多様なバックグラウンドを持つ人財がチームに集うことで、複雑化・高度化するオーナー様のニーズにもワンストップで応えることが可能です。実際に、賃貸管理業務にとどまらず、相続や税務相談、空室対策としてのリノベーション提案、法人企業向け社宅ニーズへの対応など、専門性を活かした付加価値サービスを提供し、オーナー様の不動産経営を総合的に支援できる体制を構築しています。多様性と専門性の融合により、競争力のある創造的なソリューションを生み出し続けています。
リスク耐性と継続性の向上
地方人財を含めた分散型の運営モデルは、災害やパンデミックなど非常時における事業継続性(BCP)の面でも大きな強みを発揮します。特定の地域や本社オフィスに人員を集中させないことで、たとえば首都圏で大規模災害が発生した場合でも、他地域のスタッフが業務を引き継ぎ継続することができます。紙の書類や対面での手続きに頼らずクラウド上で業務を完結しているため、在宅勤務や遠隔地からの対応が常に可能です。このようなリスク分散型の体制により、オーナー様と入居者様へのサービスを途切れさせない強靭な運営を実現しています。大切な資産を安心してお任せいただくためにはBCPの観点が欠かせず、INAの地方人財活用モデルはその点でも高い付加価値を提供しています。
地方と都市を繋ぐ新しい賃貸管理モデル

INAが構築する賃貸管理モデルは、テクノロジーをフル活用することで地方と都市をシームレスに繋ぐ仕組みを実現しています。具体的には、物件情報や契約データ、入出金管理から問い合わせ対応履歴に至るまで、独自開発のクラウドシステム上で一元管理し、関係者全員がリアルタイムでアクセスできる環境を整えています。遠隔地にいるスタッフと都市部のオーナー様・入居者様との間でも情報共有がスムーズに行えるため、地理的距離を感じさせない迅速な対応が可能です。また、当社は24時間対応のコールセンターを運営しており、深夜や休日でも入居者様からの問い合わせやトラブルに即座に対応できる体制を敷いています。コールセンターで受け付けた情報は即時にシステム共有され、担当の遠隔スタッフから必要に応じて現地協力会社へ作業手配が行われます。このように、人とITを融合させたネットワークにより、地方にいるスタッフが都市圏の物件管理を滞りなく行える新しいモデルを確立しました。
さらにINAでは、今後も積極的にテクノロジーを活用しモデルの進化を図ってまいります。AIによるデータ分析やIoTデバイスの活用など、プロアクティブな管理体制の強化にも取り組んでいます。例えば、センサーを用いた設備の異常検知や、ビッグデータに基づく市場動向の予測を行うことで、遠隔地からでも一層精緻で先回りした管理サービスを提供できるようになります。この地方人財と最新技術を組み合わせたモデルは、不動産業界が抱える人材不足の課題に対する一つの解決策であり、同時に働き方改革の推進や新たなサービス価値の創出にもつながると考えております。
地方創生と社会貢献への取り組み
地方の人財を活用する賃貸管理モデルは、当社の事業戦略であると同時に、日本社会における地方創生への貢献でもあります。INAは「すべての人が正当に評価され、報われる社会を実現する」という使命のもと、地域間の経済格差や雇用機会の格差是正にも積極的に取り組んでいます。都市圏と同等に地方にも雇用を生み出し、優秀な人財が地元にいながらキャリアを築ける仕組みを提供することは、地域経済の活性化につながります。実際に、当社の遠隔勤務型モデルにより地方にいながら都市部の業務に携わるスタッフが増え、新たな雇用と収入が地方にもたらされています。これは地元への人口定着や逆流(都市から地方への人の流れ)の一助ともなり、国全体としての持続的な発展に寄与するものです。
また、社会貢献の観点からも、地方人財の積極採用は意義深いものと捉えています。多様な地域から人財を受け入れることは企業の社会的責任(CSR)の一環であり、地域コミュニティとの共生にも繋がります。INAはビジネスの成功と社会的使命の両立を目指しており、地方人財活用は「社会から必要とされる企業」であり続けるための重要な施策でもあります。
人的資本経営の一環としての地方人財活用
当社は従業員を単なる「人材」ではなく価値を生み出す「人財」と位置づけ、その成長に投資する人的資本経営を実践しています。地方人財の活用はまさにこの人的資本経営の一環であり、人に投資する姿勢を具体的な形にしたものです。場所や勤務形態の柔軟性を高めることで、社員一人ひとりが自分の力を最大限に発揮できる環境を提供しようと努めています。地方在住の社員にキャリアの機会を提供することは、従業員エンゲージメントの向上にも寄与します。自分の希望する土地で働きながら成長できる環境は、社員にとって大きなモチベーションとなり、結果として企業への貢献度や定着率の向上にもつながっています。私たちは、人財への投資こそが将来的に大きなリターンをもたらすと信じています。地方人財の活用戦略は、自社の人的資本を厚みのあるものにし、組織全体のレジリエンスとイノベーション力を高める原動力となっています。
失敗を恐れず挑戦する文化の重要性
このような新しい人財活用モデルを推進する背景には、INAの企業文化として根付く「失敗を恐れず挑戦する」精神があります。不動産業界は従来型の対面中心の業務慣行が根強い分野ですが、INAは現状に甘んじることなくテクノロジー導入や働き方改革にいち早く挑戦してきました。地方の人財を積極起用し遠隔地から業務運営するというモデルも、当初は前例が少なくリスクも伴う試みでしたが、社内には失敗を糧に学び成長するカルチャーが醸成されており、社員一人ひとりが前向きに挑戦できる風土があります。私自身、「変化を恐れず、常に新しい価値創造に挑むこと」が企業の持続的発展には不可欠だと強調しており、その想いが全社に共有されています。地方人財の活用という革新的な取り組みも、社員たちの創意工夫とチャレンジ精神によって支えられています。
この挑戦する文化は、単に現行ビジネスモデルの成功に留まらず、将来のさらなる飛躍を支える原動力でもあります。テクノロジーの進歩や市場環境の変化に合わせて、常に新たなサービス開発や業務改善に取り組むことで、地方と都市を繋ぐモデルを進化させ続けます。失敗を恐れないマインドを持つ組織であるからこそ、地域人財活用の可能性を最大化し、不動産業界に新風を吹き込む存在でありたいと考えております。
おわりに
地方人財を積極的に活用する賃貸管理ビジネスモデルは、INAが掲げる「人財重視」の理念と「持続可能な経営」の実現に直結する戦略的取り組みです。人とテクノロジーを融合したこのモデルによって、私たちは地域と都市圏の架け橋となり、不動産管理の新しい可能性を切り拓いてまいります。優秀な人財が地域にいながら輝けるフィールドを創出し、オーナー様には質の高いサービスと安心を提供する――その両軸を追求する本取り組みは、単なるビジネス上のメリットに留まらず、社会全体への貢献と革新につながるものと信じております。
今後もINAは、人財への投資と地方人財の活躍機会創出に積極的に取り組み、時代の変化に即した最適な賃貸管理サービスを追求してまいります。皆様に「任せて良かった」と感じていただける不動産管理パートナーを目指し、社員一同、失敗を恐れず挑戦を続けます。引き続きご支援とご期待を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
