超富裕層向け不動産ビジネスの最前線

はじめに

近年、日本における「超富裕層」と呼ばれる人々の存在感が増しています。純金融資産5億円以上を保有する超富裕層世帯は2015年時点で約7.3万世帯と推計され、これは2013年から35%以上も増加したことになります。超富裕層・富裕層を合わせると121.7万世帯となり、日本の総世帯数に占める割合は約2.3%です。このように富裕層が拡大する中、不動産業界でも超富裕層を対象としたビジネスが新たな最前線として注目を集めています。本稿では、超富裕層向け不動産ビジネスの特徴と、INAが現場で感じているニーズの変化について考察します。

超富裕層が不動産に求めるもの

超富裕層の顧客が不動産に求めるものは、一般的な富裕層とは一線を画します。彼らは単に高額な物件を所有するだけでなく、その不動産がもたらす体験やステータス、さらには資産保全や承継といった長期的視点を重視します。例えば、東京・港区の一等地や海外の超高級物件など希少価値の高いロケーションへの関心が高い一方で、「誰もが手に入れられない特別なもの」を所有する喜びを求める傾向があります。また、資産の分散投資の一環として世界各地の不動産をポートフォリオに組み込む戦略を取る方も増えており、単なる居住用ではなく投資・収益物件としての視点も持ち合わせています。

こうした顧客は、物件そのものだけでなくプロセス全体の質を重視します。問い合わせから契約、アフターサービスに至るまで、一貫して高度なプライバシー保護ときめ細かな対応を求めます。例えば、内覧の日程調整一つをとっても秘書やファミリーオフィスを介して行うなど、特別な配慮が必要です。契約段階では弁護士や税理士など専門家チームとの連携が欠かせず、INAでも専任担当チームを編成して迅速かつ厳重な情報管理の下でサービスを提供しています。超富裕層のお客様は「安心して任せられるプロフェッショナル」を求めており、その期待に応えるためには高い専門性と信頼関係の構築が不可欠です。

超富裕層向けサービスの特徴を整理すると、以下のようになります。

  • 希少性とステータスの追求: 単なる高価格ではなく、市場にほとんど出回らない希少な物件や歴史的価値のある不動産を好む傾向があります。
  • カスタマイズされた体験: 内覧会での特別演出やコンシェルジュサービスなど、物件購入を人生のイベントとして楽しむ体験を重視します。
  • 高度なプライバシー配慮: 物件情報の公開範囲を限定し、契約プロセスも秘匿性の高い形で進めることを望まれます。
  • ワンストップの専門サポート: 法務・税務から資産運用まで、多方面の専門知識をワンストップで提供し、顧客の手間を最小限にします。

INAでの実践例

INAでは、創業当初より超富裕層のお客様へのサービス提供に力を入れてきました。例えば、都心の高級マンションでは一般公開前に信頼関係のある顧客ネットワークに物件情報を提供し、プライベート内覧会を開催しています。

また、INAは国内外の富裕層コミュニティとの繋がりを活かし、海外不動産への投資案件の紹介も行っています。信頼できる海外のパートナー企業と連携し、現地視察のアレンジから現地の法律・税制に詳しい専門家の紹介まで包括的にサポートすることで、「海外にも頼れるパートナーがいる」という安心感を提供しています。こうしたワンストップサービスは、多忙な超富裕層のお客様から特に感謝されるポイントです。

さらに、超富裕層のお客様は購入後のプロパティマネジメントにも高い期待を寄せます。INAでは購入後も専任チームが物件の管理運営をサポートし、賃貸に出す場合のテナント選定や契約管理、定期メンテナンスの手配まできめ細かく対応しています。これにより物件の価値維持・向上を図り、オーナー様の負担を軽減するとともに長期的なお付き合いを実現しています。

おわりに

超富裕層向け不動産ビジネスの最前線では、顧客一人ひとりに合わせた特別な価値提供が鍵となります。市場データが示すように超富裕層は増加傾向にあり、彼らのニーズもますます多様化・高度化しています。不動産という有形資産の提供にとどまらず、サービスや体験、信頼関係といった無形の価値が重視される時代です。私たち企業側も常に創意工夫を凝らし、徹底した顧客志向で臨む必要があります。超富裕層ビジネスの最前線に立つ存在として、INAはこれからも「本物志向」の顧客に寄り添い、唯一無二の価値を提供し続けていきたいと考えています。

稲澤 大輔

稲澤 大輔

INA&Associates株式会社 代表取締役。大阪・東京・神奈川を拠点に、不動産売買・賃貸仲介・管理を手掛ける。不動産業界での豊富な経験をもとに、サービスを提供。 「企業の最も重要な資産は人財である」という理念のもと、人財育成を重視。持続可能な企業価値の創造に挑戦し続ける。

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