はじめに
不動産業界において、賃貸管理は長い歴史を持ちながらも、多くのオーナー様にとって「分かりにくい」「費用が高い」「サービス内容に不満がある」といった課題が山積するセグメントでした。私たちINAが2021年7月に賃貸管理事業を正式に開始したのは、こうした業界の非合理性を解消し、オーナー様と入居者様の双方に価値を提供したいという強い思いからです。本日は、私たちがなぜ賃貸管理ビジネスに挑戦しているのか、その背景と理念についてお伝えします。
情報の非対称性に挑む
不動産オーナーが直面する課題
2020年に富裕層向けの収益不動産の売買仲介サービスを開始して以来、銀行等からのご紹介で数百にも及ぶ不動産オーナー様と面談する機会がありました。そこで浮き彫りになったのは、不動産賃貸管理の分野における「情報の非対称性」の問題でした。多くのオーナー様から以下のような声が寄せられていました:
- 管理費用が高すぎる(月額賃料の3~5%)
- 管理会社からの賃料振込までのタイムラグが生じる
- 空室が一向に改善されない
- 原状回復工事費用やビルメンテナンス費用が高い
- フロント担当者のレスポンスが悪い
こうした声を聞くたびに、「なぜ賃貸管理においてこれほどまでに情報の非対称性が生じているのか」と疑問に感じました。賃貸管理は本来、オーナー様の大切な資産を最大限に活かすためのサービスであるべきです。しかし現実には、多くのオーナー様が不透明な管理手法や高額な費用に悩まされています。この課題を解決することが、私たちの賃貸管理ビジネス参入の第一の動機となりました。
テクノロジーによる透明性の実現
私たちINAは「不動産×IT」の融合を推進し、自社内にテクノロジー部門を有しています。従来の不動産管理会社の多くは外部ベンダーのシステムに依存していますが、私たちは独自クラウドシステムの開発と外部システムの統合運用を行うことで、サービスを自社仕様に柔軟に最適化できます。
この強みを活かし、コールセンターの対応履歴や修繕進捗などをリアルタイムでオーナー様に公開し、工事取次時の手数料の算定基準も明確化しています。従来ブラックボックス化しがちだった部分を可能な限りオープンにすることで、オーナー様に「任せてよかった」と感じていただける環境整備に努めています。
「人財」を中心に据えた経営理念
「人財投資カンパニー」としての自己定義

INAは自社を「不動産会社」ではなく「人財投資カンパニー」と位置づけています。私たちは意識的に「人材」ではなく「人財」という言葉を用いています。これは、人を単なる労働力ではなく、企業にとってかけがえのない財産と位置づけているからです。
「企業の最も重要な資産は人財である」という揺るぎない信念のもと、私たちは人財育成を重視した経営に取り組んでいます。私自身も「優れた人財なくして企業の発展はあり得ない」と痛感しており、社員の成長なくして会社の成長はないと確信しています。
この理念は、賃貸管理ビジネスにも直結しています。不動産管理は結局のところ「人」が行うサービスであり、優秀な人財がいなければ質の高いサービスは提供できません。だからこそ、人財育成と活躍の場の創出を経営の中心に据えているのです。
地方人財の活用による新たな価値創造
現在の日本では、少子高齢化や東京一極集中の影響により、地方に優秀な人財がいながらも「家庭や体調、子育てなどの事情で十分に活躍できない」という状況が数多く見受けられます。
しかし、インターネット環境の整備やクラウド技術の発達により、リモートワークが現実的な選択肢となりました。そこで私たちは「地方人財を活用した賃貸管理ビジネスモデル」を構築しました。地方で埋もれている優秀な人財が持つスキルや知見を賃貸管理業務に活かすことで、地方創生にも貢献できると考えています。
このモデルでは、地域や個人の事情に左右されずに人財が活躍できる環境を創出するとともに、オーナーの皆さまへ高品質かつ持続可能な管理サービスを提供することを目的としています。テレワークを標準とするため、災害やパンデミックが発生しても業務が止まりにくい強みもあります。
オーナー様に提供する具体的価値
業界トップクラスの料金設定
遠隔勤務の活用により、都市部に大規模オフィスを構える必要がなくなることで、固定費や人件費を抑えられます。そのメリットを管理手数料に反映し、「1室あたり月額1,100円~」という業界トップクラスの料金を実現しています。
入金管理や書類作成をクラウド化し、AIやビッグデータを活用することで、サービス品質は大手並みの水準を維持しています。精緻な賃料査定システムにより適正賃料を算出し、高い入居率や空室期間の短縮を目指すことで、オーナー収益の最大化をサポートしているのです。
透明性と効率性の追求
私たちの賃貸管理サービスでは、以下のような特徴を持つことで、オーナー様の不安や課題を解消しています:
- 賃貸借契約、管理委託契約をはじめとした契約関連は全て電子契約
- 入居者様もしくは保証会社から不動産オーナー様の口座に直接振込
- 入居者様専用の24時間コールセンター設置
- 原状回復工事会社、ビルメンテナンス会社の当社からの指定なし
- 清掃写真・点検報告書等は、独自システムよりオーナー様指定のメールアドレスに送付
これらの取り組みにより、従来の賃貸管理に存在していた「情報の非対称性」を解消し、オーナー様にとって透明で効率的なサービスを提供しています。
今後のビジョン
私たちは「すべての人が正当に評価され、報われる社会を実現する」という使命のもと、地域格差や機会格差の是正に取り組んでいます。遠隔勤務モデルにより地方スタッフが都市部物件の管理業務に携われるようになり、新たな雇用が地方に生まれることで地方が活性化されることを期待しています。
私たちが進める地方人財活用型の賃貸管理モデルは、人財不足が深刻化する不動産業界に新たな可能性をもたらすと同時に、働き方改革や地方創生にも寄与する取り組みです。今後もIT技術やデータ分析の活用を強化しながら、オーナーの皆さまにさらなる価値をお届けし、日本全国の人財が自分の能力を最大限に発揮できる社会を目指してまいります。
おわりに
賃貸管理ビジネスに参入して以来、多くのオーナー様から「これまでの管理会社とは違う」「透明性が高く安心できる」といった評価をいただいています。しかし、私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。「人財が未来を創る」という理念のもと、これからも革新的なサービスを提供し続けることで、賃貸管理業界の変革を牽引していきたいと考えています。
オーナー様の大切な資産を守り、価値を高めるパートナーとして、これからも精進してまいります。どうぞご期待ください。
