私たちINA&Associates株式会社では、「人材の育成なくして、企業の成長なし」という考え方を重視しています 。社員一人ひとりの成長が組織全体の活性化につながり、ひいては企業の業績向上や持続的な発展の原動力になるからです。実際、企業の将来を担う若手社員の育成は企業成長の大きな鍵であり、多くの企業にとって重要な課題となっています 。社員のスキルアップや能力開発に投資し、成長機会を提供することは、企業が長期的に成功する上で欠かせません。逆に言えば、社員の成長なくして企業の成長はあり得ないのです 。
本コラムでは、世代別の社員育成ポイントや他業界の成功事例を交えながら、企業と個人が共に成長するための戦略について考察します。
Contents
世代別育成のポイント
社員育成と言っても、新入社員と管理職候補、シニア層ではアプローチが異なります。それぞれの世代・キャリア段階に応じた育成のポイントを押さえることで、効果的に人材を伸ばし組織力を高めることができます。
新入社員の育成ポイント
新入社員にとって最初の育成段階では基礎力の習得と組織への適応が中心課題になります。具体的には、業務の基本知識やビジネスマナー、会社の理念や文化の理解など、社会人・社員としての土台作りを丁寧に行う必要があります。また、新入社員の育成では周囲のサポート体制が重要です。リクルートマネジメントソリューションズの調査によれば、新人育成がうまくいったケースでは、直属の上司や育成担当者だけでなく周囲の同僚も協力して新人を支えている割合が約半数にのぼったと報告されています 。
逆に、新人育成で現場が苦労する点として「新入社員のメンタルやモチベーション管理」が最も多く挙げられており(26.1%が回答) 、新人が不安や悩みを抱え込み離職してしまわないよう、メンタル面のケアやモチベーション維持にも細やかな注意が必要です。具体策としては、先輩社員によるメンター制度や定期的な面談によるフォローアップが有効でしょう。新人が成長を実感できるよう、目標設定とフィードバックをこまめに行い、小さな成功体験を積ませることも大切です。
次世代リーダーの育成ポイント
次世代リーダー(中堅・若手の中から将来のリーダー候補となる人材)の育成は、企業の将来を左右する重要テーマです。彼らには専門スキルだけでなく、マネジメント力や意思決定力、チームを牽引するリーダーシップが求められます。そのための効果的な施策の一つが、「タフアサインメント」と呼ばれる手法です。タフアサインメントとは、社員の現在の能力の枠を超えたチャレンジングな職務やプロジェクトを意図的に任せる育成方法であり、敢えて高いハードルの目標を課すことで飛躍的な成長を促すことができます 。例えば、若手に重要度の高い新規プロジェクトのリーダーを任せたり、海外拠点への赴任や他部署とのジョブローテーションを経験させたりすることで、通常業務だけでは得られないリーダーシップや問題解決力を磨かせるのです。もちろん、無理な挑戦をさせっぱなしでは逆効果になりかねません。タフアサインメントを実施する際には、上司やメンターが定期的にコーチングや振り返り(リフレクション)の機会を設け、経験から学びを引き出し定着させるフォローが重要だと指摘されています 。加えて、アクションラーニング(実際の経営課題を題材にチーム討議し解決策を考える研修手法)など、実践を通じてリーダーシップを養う場を設けるのも有効です 。次世代リーダー育成では、日常業務の延長だけでなく、意図的に「学びと挑戦の機会」を組み込んだプログラムを用意し、彼らの視野を広げ能力を引き上げていくことがポイントになります。
シニア社員の育成ポイント
シニア社員(50代以降や定年前後のベテラン層)は豊富な知識と経験を持ち、企業にとって貴重な人的資源です。一方で、役職定年や定年退職が近づくにつれてモチベーションが低下しがちといった課題も指摘されています 。シニア社員の活躍を促すには、まず経験を活かす役割を与えることが有効です。例えば、技術職のシニアであれば若手への指導役(メンターやトレーナー)を任せることで、マニュアルでは伝えきれないコツやノウハウの継承が進み、後進の成長にも寄与します 。営業職であれば広い人脈や取引経験を活かして若手と組み、難しい交渉の支援役になるなど、シニアの強みを組織全体で共有する仕組みづくりが大切です。また、シニア社員自身に「自分は周囲から必要とされている」という実感を持たせることもモチベーション維持に効果的です。1対1の定期面談(1on1)で上司がシニアと振り返りを行い、これまでの貢献を称賛するなどの方法によって、本人の自己肯定感を高めると意欲向上が期待できます 。さらに、キャリア後半の目標設定やキャリアデザイン研修の実施も有用です。定年をゴールとせず、自身の経験を今後どう活かすか、どんな役割に挑戦できるかを考える機会を与えることで、シニア世代が主体的に学び直しやスキル習得に取り組む意欲を引き出せます。シニア社員が生涯現役のつもりで生き生きと働ける環境づくりこそが、組織全体の活性化につながるでしょう。

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効果的な教育方法の事例(異業種の成功例)
社員育成の方法は業界によって様々な工夫があります。不動産業界をはじめ、IT、製造、サービス業など他業種の成功事例に学ぶことで、自社の育成施策に新たなヒントを得られるでしょう。以下に各業界の取り組み例を紹介します。
• 不動産業界:不動産営業の世界では、人材の育成に業績が大きく左右されると言われます。例えば、優秀な営業人材を育てるには市場動向や関連法規、顧客心理まで常に最新の知識をアップデートし続ける教育が不可欠です。実際、不動産業における営業の成功は教育に大きく依存しており、教育への投資は営業担当者のスキル向上と収益拡大に直結します 。ある不動産会社では新人から段階的に必要な研修(宅地建物取引士などの資格取得支援、接客マナー研修、ロールプレイによる商談訓練等)を体系立てて実施し、社員のレベルに合わせた教育プログラムを整備しています。また、不動産業界では属人的になりがちな営業ノウハウを見える化・共有化する取り組みも重要です。例えば営業支援システム(SFA)の導入によって、トップ営業社員の商談プロセスや成功事例のデータを蓄積・分析し、組織全体で共有することで新人育成に役立てたケースもあります 。教育効果を数値で測定し、研修前後で知識定着度や営業成績の変化を検証するといった工夫により、現場での学びを着実に業績向上につなげています 。
• IT業界:IT業界では技術革新のスピードが速いため、社員が継続的に最新スキルを習得できる環境づくりが重視されています。例えば、ある企業では社内に「◯◯大学」と称するラーニングプラットフォームを設け、エンジニアがオンラインで自由に最新技術を学べる機会を提供しています。また、社内資格制度やハッカソン(開発コンテスト)などを通じて自主的なスキルアップを促す企業も多く見られます。PythonやRといった言語でデータ解析スキルを身につけさせることで、社員自ら業務効率化ツールを開発できるようになり、結果的に大幅なコスト削減につながったといいます 。このように、IT企業のみならず他業種でもデジタル技術の習得支援や社内研修の体系化によって、従業員のスキルアップと企業競争力の強化を同時に実現する例が増えています。
• サービス業界:サービス業(飲食、販売、ホテルなど)では顧客対応力やホスピタリティ精神の育成が肝心です。座学で接客マニュアルを学ぶだけでなく、実践さながらのロールプレイング研修によって接客スキルを磨くことが一般的です。例えばホテル業界では、新入社員研修でお客様役とスタッフ役に分かれてチェックイン対応の模擬練習を繰り返し行い、笑顔の作り方や言葉遣い、クレーム対応の仕方まで身体で覚え込ませます。「頭で理解すること」と「実際にその通りに振る舞えること」は別物であり、イメージ通りに接客できるようになるには練習あるのみだと言われます 。現場で失敗しないために、野球選手が素振りを繰り返すように接客も事前に体で覚えるまで訓練するのです 。また、サービス業は離職率が高い傾向にあるため早期離職を防ぐ新人教育も重要です。先輩社員がマンツーマンで教えるOJTと並行して、入社後数ヶ月間は定期フォロー研修を行い不安を解消したり、現場リーダーが新人の悩み相談に乗る場を設けたりといったフォローアップ施策を導入している企業もあります。接客の現場は忙しく時間を取りにくいですが、短時間でも継続した教育の機会を持つことで新人の定着と戦力化を早め、結果として顧客サービスの質向上と業績アップにつながっています。

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企業と個人が共に成長するための戦略
社員育成を効果的に進めるには、企業側と個人(社員側)の双方が「共に成長する」という視点を持つことが大切です。企業が一方的に研修を与えるだけではなく、社員自らも成長意欲を持って学び続け、互いに高め合う関係を築くことが理想です。そのための戦略として、以下のポイントが挙げられます。
• 長期的視点に立った人材育成計画と学習文化の醸成:場当たり的な研修ではなく、企業の経営理念やビジョンに沿った戦略的・長期的な人材育成方針を定めましょう。 にあるように、組織全体で継続的に学び成長し続けられる環境や人事制度を確立してこそ、企業は持続的に発展・成功することができます。経営層自らが「人材こそ会社の基盤」というメッセージを発信し、現場も日々の業務を通じて学び合う文化を育むことが重要です。具体的には、年間の育成計画に基づいて階層別・職種別の研修を体系化したり、社内勉強会やナレッジ共有会を定期開催するなど、「学びが当たり前にある職場」を作り上げましょう。
• エンゲージメントの向上(企業と従業員の共創関係の構築):社員育成を語る上で近年注目されるのが「エンゲージメント」です。エンゲージメントとは**「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」を指し、個人の成長が組織の価値向上につながり、組織の成長が個人の働きがいや成長を促すという考え方に基づいています 。社員が会社に信頼と愛着を持ち、自分自身の成長と会社の発展を重ね合わせて主体的に行動する状態を目指すべきです。そのためには、経営目標と個人目標のすり合わせが欠かせません。会社のビジョンや戦略を共有し、各人が自分の成長目標を会社の方向性とリンクさせられるようにサポートします。例えば、定期的な1on1面談でキャリア目標を話し合い、会社がそれを支援する(必要な研修受講や配置転換の検討など)仕組みを整えるとよいでしょう。社員の意見やアイデアを経営に取り入れるボトムアップの場**を設けることも、組織への参画意識とエンゲージメントを高めるのに有効です。エンゲージメントが高まった組織では、一人ひとりが主体性と責任感を持って働くため組織力が強まり、結果として業績向上も期待できます 。
• 個人の主体的なスキルアップ支援:企業と個人が共に成長するためには、社員自身が学び続ける主体性を持つことが重要です。その主体性を引き出すために、企業側は社員の自己啓発やキャリア開発を積極的に支援しましょう。具体的には、書籍購入費や資格取得費用の補助、業務時間内でのeラーニング受講制度、社外セミナー参加の推奨などの仕組みを整えることが考えられます。社員一人ひとりが自分のキャリア目標を描き、それに向けて必要なスキルを自主的に身につけられるよう後押しするのです。**「学ぶ意志のある社員にいくらでも機会を提供する」**というスタンスで臨めば、社員は安心して成長に挑戦でき、その成長がまた組織に新たな価値をもたらすという好循環が生まれます。社員の頑張りやスキル向上を正当に評価・報酬に反映する人事制度も整備し、学びと成果がリンクする仕組みにしておくと良いでしょう。
• 定期的な振り返りと育成施策の改善:人材育成施策は導入して終わりではなく、その効果を測定・検証してPDCAを回すことが大切です 。研修を実施したら受講者のアンケートや業務成績の推移を確認し、狙った効果が出ているか評価します。新入社員研修であれば配属後半年~1年の定着率や上司評価を追跡したり、管理職研修であれば研修後の部下育成状況をチェックする、といった具合です。結果に基づき研修内容をブラッシュアップしたり、新たな課題に合わせてプログラムを変えていく柔軟性も必要です。時代とともに求められるスキルや人材像も変化しますから、育成担当者自身が学び続け最適な施策を模索する姿勢が求められます。常に「より良い人材育成とは何か」を問い、改善を積み重ねていくことで、企業と社員の成長を両立させる仕組みが強固なものとなるでしょう。

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成長する企業の特徴と実践すべきアクション
最後に、社員育成を通じて成長し続ける企業に共通する特徴を整理し、明日から取り組めるアクションを提案します。
成長企業の特徴としては、まず第一に「人への投資を惜しまない」ことが挙げられます。社員研修や教育制度を単なるコストではなく将来への戦略的投資と捉え、人材育成に経営の重要資源を充てています。第二に、ビジョンに基づく明確な育成方針と体系的なプログラムを持ち、各層の社員が計画的にスキルアップできる環境を用意しています。新人から経営幹部候補まで階層別に育成目標が設定され、OJTとOff-JT(職場外研修)を組み合わせて着実に力を伸ばせる仕組みがあるのです。第三に、社員との信頼関係(エンゲージメント)が強く、社員の意欲や創意工夫を引き出す企業風土を育んでいます。そうした企業では「社員の成長=会社の成長」という価値観が全社に共有されており、まさに社員と会社が二人三脚で共に成長していきます 。
一方、実践すべきアクションとして、企業経営者や人事担当者の方は次のような取り組みから始めてみてはいかがでしょうか。
• 自社の育成方針・計画の点検:まず、自社に明文化された人材育成方針や体系だった研修計画があるか確認しましょう。もし未整備であれば、経営戦略を踏まえ「どのような人材を育成したいのか」を明確にした上で年間計画を策定します。既に計画がある場合も、現状の課題(若手の定着率は十分か、管理職候補は育っているか等)に照らしてアップデートを図りましょう。
• 現場での育成力向上:どんな立派な研修制度も、日々の現場で部下を指導する風土がなければ成果は出ません。先輩社員や管理職の「教える力」を伸ばす研修を実施したり、OJTの進捗を人事部がフォローする仕組みを導入するなど、現場で継続的に社員育成が行われるよう支援します。また、頑張る社員を周囲が称賛しサポートする社風づくりも大切です。育成は人任せにせず組織全体で新人や若手を育てる文化を根付かせましょう。
• 社員一人ひとりとの対話:社員が自分のキャリアについて考え、成長意欲を持てるよう、定期的な対話の場を設けましょう。上司との1on1ミーティングで目標や不安を共有し、必要な支援策を一緒に考えるのです。本人の志向を把握した上で適材適所の配属や業務アサインを行えば、社員のエンゲージメントも高まります 。また、社員には自己啓発の成果やチャレンジしたことを発表し称え合う機会を与えると、社内に良い刺激と学びが広がります。
• 継続的な改善サイクル:人材育成施策の効果はすぐには現れませんが、だからこそ定期的な振り返りと改善が重要です。育成施策ごとにKPIや評価基準を設定し(例:研修後の業績指標、従業員満足度アンケート結果など)、それをモニタリングしながら施策をブラッシュアップしていきましょう 。小さくても成果が出た取り組みは社内で共有し横展開し、課題が見えたものは次回改善するというPDCAサイクルを回すことで、育成の精度が高まります。
最後に、キャリアアップを目指すビジネスパーソンの皆さんへのメッセージです。自らの成長に主体的に取り組む姿勢は、長い目で見て必ず自分自身の価値を高め、そして組織への貢献度も高めます。企業側からの研修機会提供を待つだけでなく、日々の業務から学ぶ意識を持ち、必要と感じたスキルは積極的に身につけていきましょう。幸いなことに、昨今はオンラインで学べる講座や社外セミナーも充実していますし、社内にも先輩や上司など学ぶべきロールモデルがいるはずです。学び続ける人材はどの業界でも求められ、そうした人材の集まる学び続ける企業こそが強い競争力を発揮します。社員の成長が企業の成長につながることは間違いありません 。